巳年なので蛇のことわざと俗説を
帰省していた娘と孫につきあって図書館へ行った。ついでに私も見てまわったが、うまいぐあいにおもしろい本があったので借りてきた。「干支のことわざ事典」(日本地域社会研究所)という、干支に関する名言や金言、俗説、迷信などを集めたものだ。
干支別に収録してあり、巳だけで200以上ある。とりあえずおもしろそうなものをいくつか紹介してみよう。
●蛇がふところへ入った夢はお金が入る
播州赤穂地方の俗信とある。特に説明は記されていないが、そのままの意味だ。地域としては現在の兵庫県赤穂市らしい。栃木県宇都宮市では「その夢のことは他人に話すな」と伝えられているという。
ところで私は「はてな」と思ったのだが、そんな、蛇がふところへ入るなどどいう夢を見る人はいるのだろうか。
そんなことを思っていたらもっとすごいのがあった。「大蛇に呑まれている夢はよい」というものだが、これこそそんな夢を見る人はいまい。ちなみにこれも赤穂地方。
●蛇の夢を見ると縁起がいい
この類いのものは多い。「蛇の夢を見ると金を儲ける」や「蛇の夢を見ると帯があたる」がある。「あたる」は手に入るという意味。
ほかに「蛇の夢を見たら三日言わぬと果報あたる」がある。三日黙っていればいいことがあるという、花巻地方の俗信だ。花巻といえば岩手県花巻市のあたりであろう。
しかし、なかには逆の意味を持つものもある。三重県四日市地方の「蛇の夢を見れば験(げん)が悪い」というもの。ことわざに対語はつきものだ。
●蛇の交尾を見れば吉
南総(現在の千葉県市原市のあたり)の俗信。これも、そんな現場を見たことがある人は皆無であろうと思われるが、前記のふところへ入る夢よりはありそうだ。
蛇なんて、ただでさえ気持ち悪いのに、そんなのが絡み合っているようすなんか見たくはない。いや、絡み合うかどうかも知らないけど。
奈良県には「蛇がつごうているとき前垂れをかぶせたら福を得る」というのがある。「つごう」は交尾、「前垂れ」は前かけのこと。
●道で蛇三匹にあうとご馳走がもらえる
これも播州赤穂地方の俗信だが、この地方にはなぜ多いのだろう。同じこの地方で「蛇を三匹見ると夜はご馳走がある」というのもある。現在のような飽食やら食品ロスやらとはほど遠い昔、ご馳走にありつくのが少なかったことから生まれたのだろうか。
●蛇に巻かれている夢は良い
やはり赤穂地方の俗説だが、そんな夢をみるのはなかなかないと思う。
同じく「蛇がとぐろを巻いているのを見るとよいことがある」というのもある。ちなみに私は、猛毒のヤマカガシがとぐろを巻いているのを見たことがあるが、いいことがあったかどうかわからない。ああそうか、私は赤穂ではなく群馬県だからか。
赤穂地方のほか岩手県九戸郡には「家の中に蛇が入ると暮らし向きがよくなる」というのもある。
●蛇は竹の筒に入れても真っすぐにならぬ
生まれつき根性の曲がっているものは直すのがむずかしいという例え。
このことわざで、以前投稿した「ヘビがまっすぐだったら横に倒れるか」という記事を思い出した。蛇はわずかなゆがみもない、真の一直線になれるのだろうか。
そしてもうひとつ新たな疑問がわいた。どの蛇も曲がり方が同じなのだろうか。例えば順序。頭からまずは右へ曲がるとか、あるいは左だとか。曲がる数は同じなのか。どの蛇も同じなのか、個体によって異なるのか。
そして、その曲がり方は一生変わらないのか。それとも、気分次第でしょっちゅう変わるのか。ああ、私は新年早々、重箱の隅をホジクリエイター。
今年が皆さんにとってよい年でありますよう。
