【SF詩小説】「ノスタルゼア」~ボクの隠れ場所~ (3つのお題に空想のひらめきを)
カシャ。
ボクはゴーグルを被り
目線を中心部へとセットする。
キュイ───────────ン
こめかみの横にある起動スイッチを「オン」にする。
と!!
ブウウウウウン─────────────
カキャ

パシャ

カシャ

キャシャ
目の前に─────────────
立て続けに「3つの風景」が現れる────────────
「夕暮れの空き地」
「祖父のラジオ」
「兄のお下がり」
【この中に隠れている『幼い自分の記憶』を見つけ出す事】
それが今回の・・・
ボクに課せられたミッションの内容だ。
タイムリミットは5分。
のんびりしてはいられない!?
早速 調べなくては!?
1)
「空き地」から探してみよう。
ボクの意識は最初の映像へとぶ。
土管の中、隅の建物の影、コンクリ―ト塀の奧。
全ての空間を探すが何も見つからない。
(ボクが幼い頃に通った遊び場、けど何の思い入れもない)
うん、この場所は却下。 あと4分。
次へ──────────
2)
意識が「祖父の部屋」へ跳ぶ。
(ああ・・・ジッちゃん久しぶり!)
よく遊んだ・・・ジッちゃんの匂い。懐かしい。
ん? ジッちゃん、ラジオ好きやったもんね。
ジッちゃんの部屋。 誰もいないな。 異常なし。
3)
3番目、最後は─────────
一番怪しい・・・かつてのボクの部屋。
兄ちゃんのお下がり・・・広げて・・・これも懐かしい。
この部屋こそ、幼いボクの隠場所っぽいな。
机の下、物陰、押し入れ・・・ダメだ。
何処にもいそうにないな。 あと3分。
その後もう一度
3つの場所を隈なく探すが
まったく見つからない。
何かを見落としてる。
何かが引っかかる。
ボクの隠れ場所─────────────
ボクの好きな隠れ場所・・・
ボクは只管、集中して考える
と!!
あった!!
あと1カ所だけ!!
探してなかった
盲点となる場所が!!
ボクは急ぎ「祖父の部屋」に跳ぶ!?
あと2分!?
4)
ボクはジッちゃんの横に立ち・・・
「じっちゃん、ゴメン!!」
祖父の懐に手を入れ─────────掴む!!
「見いつけた!!」そう言うがいなや
幼いボクを
祖父の体から引き剥がす!?
《幼いボクの記憶》は────────
祖父の体の中に隠れていたのだ!?
時間はあと1分!?
「やっと会えたね。幼いボク。」
5)
ボクと──────
幼いボクは向かい合う。
やがて
そこに佇む
幼きボクが
泣き笑いして
今のボクに縋り付く
この胸焦がるノスタルジア
この指溢るるファンタジア
ああ・・・ 過去へ
あの安らぎの日々に
戻りたいんだね。
ああ・・・
けど・・・
明日へとも
歩みたいんだね。
大人のボクは
《幼いボク》を抱きしめる。
優しく・・・
でも・・・
ギュッと
強く抱きしめる。
そして
やっとボクは・・・ひとつになった。
これで明日へ
踏み出せるんだ。
カキョン
キュウ────────────ン
「ミッション終了。」
「治療完了。」
時計は
あと8秒で
0を告げるところだった。
6)
失っていた「幼き記憶」を取り戻し
死の淵から生還したボク。
2180年────────
この時代、《幼い記憶》が精神から乖離し
そのまま死に到るという不治の病「ノスタルゼア」が蔓延し
人類は絶滅の危機に瀕していた。
そんな中、病で死にかけていたボクは────────
【記憶を捕まえる】という新しい治療法の実験に
自ら志願し、そのミッションに無事、成功したのだ。
そして今や
あの時の記憶はもう殆ど残ってはいない─────────
が・・・
たった1つの事だけは絶対に忘れない。
ボクは絶対に忘れない。
幼きボクの記憶を抱きしめた────────
あの時の感触だけは。
あのノスタルジアの感覚を。

( 了 )
★片桐みかん様
「3つのお題」
ボクなりに考えて
願晴って
仕上げてみましたので
よろしくお願い致します。
★片桐みかん様、マガジンに収録くださり ありがとうございます。
