全部を賭けない恋がはじまれば
この小説を世に出すために出版社がつくられたという『全部を賭けない恋がはじまれば』。
信じられないくらい美しいタイトルと装丁ではあるものの、普段は『水滸伝』『蒼穹の昴』『隠蔽捜査』なんかを好む私の趣味とは真逆の、
・恋愛小説
・短編集
なので読むかどうかとても迷いました。
が、「ひろのぶと株式会社」から出版される初めての本、そして「たまには恋愛ものに触れてときめいてみるのもいいかも、装丁も可愛いし」ということで手に取ってみた。
湯から上がったら、またSNSで見栄を張ろう。
温まっていく身体に気持ちが追いつかない、一致しない、けど健康で平和そうな1日の終わりも幸せに見えるはずと自分を騙し髪を乾かそう。
心の中に言葉を深く入れなければ、こういうことでいちいち傷つかない。人の言葉をずっと抱えておくと、それは次第に自分の言葉になってしまう。
憧れた成功をしないまま20代が終わりそうだ。正しい努力の仕方が分からない。もっと早くいろんな結果が欲しいのに、その手前で逃げてしまう。
ときめきはどこに…?
40代の私は「今の若い子は大変そうだな」と常々思っているのだけれど、それがストレートに表れていてとても苦しかった。
20年前はまだSNSが無かったので、必要以上に見栄を張ることも、無責任な言葉で傷つけられることも、見知らぬ人の成功を見せつけられることも少なかったと思う。
心に傷を負う危険が伴う分、思いがけないチャンスも掴みやすいのかもしれないけど、多感すぎる時期の心をみんなどうやってコントロールしているんだろう?
「全部を賭けない恋」とは?
そもそも、小説に出てくるような関係は「恋」なんだろうか?
私自身はこの本に出てくるような距離感で人と接したことが無いので、何をどうしたらこんな発想が出てくるのか気になって、作者さんのnoteを読んでみた。
怒りって消えないです。きっと私たち、ずっと怒っているんです。私はずっと怒ってるので、キリがなく一生この感情に付き合うしかないので、もう書いてしまおうと思ったんです。
「愛憎劇」というのはよく聞くけれど、怒りを源泉として描かれた恋愛小説を読んだのは初めてかもしれない。
もし20代前半でこの作品を読めていたら今とは全く違う印象を持てたんだろうなと思うと少し残念だけれど、それもまた縁ですね。
「恋ばっかしたいよね。」には全面的に賛成!
「ひろのぶと株式会社」って?
普段あまり読まないジャンルの本を読んでみたのは、「出版業界に革命を起こす」という挑戦を応援したかったから。
次回作にも期待しています。
