なぜ日商簿記1級は連結会計を連続出題したのか
前回試験の171回検定で7年ぶりに連結財務諸表作成の総合問題が出題され、149回以来の連結総合問題であったことから、「しばらく連結総合問題は出題されないのではないか」と考えた受験生も多かったのではないだろうか(私もそのうちの1人で、会計学の出題で予想していた)。
しかし、皆さんご存じの通り173回検定では再び連結総合問題が出題された。まさかの2回連続での出題だ。今回は、なぜ日商簿記1級が連結会計を連続出題したのか考察してみたい。
おそらく、また試験委員の順番が変わったのかとふと思ったが、出題の意図・講評を読まない限りわからない。また、順番はそろそろ関係なくなりそうです(傾向がだんだん変わってきてますが、試験対策としては今まで通り基本的な問題を確実にできるようにする練習をしておきましょう)。

171回と173回は同じ連結問題ではない
171回と173回はどちらも連結財務諸表作成問題であるが、その性格は大きく異なる。
171回は連結会計そのものの理解を問う問題であった。主に連結税効果、連単分離、持分変動など
・段階取得に係る差益
・取得関連費用
・開始仕訳
・その他の包括利益
・成果連結(未実現利益の消去、貸引など)
・連結税効果会計
・一部売却
一方、173回は連結会計を土台としているが複数の子会社と孫会社といった企業グループ全体の総合問題であった。

・企業結合に係る特定勘定 初出題
・顧客関連資産 初出題
・契約資産 連結修正仕訳としては初出題
・代理人取引 連結修正仕訳としては初出題
・子会社株式の減損 初出題
・親会社による子会社従業員への株式報酬 初出題
・孫会社を含む連結グループ 初出題
・子会社相互間取引 初出題
今回は私のような日商簿記1級のみ対策してる受験生にとってはあまり目にしない論点が盛り込まれていた。ほとんどが初出題論点だった。会計士受験生ではよく見る論点らしいが、それ以上の難易度でもあったそうです。
会計基準の理解を重視する流れ
近年の日商簿記1級では、単なる計算テクニックではなく会計基準および計算の理解を重視する傾向が強まっているように感じる。また、単年度だけでなく、複数年度の連結財務諸表を作成させる問題が多く、連携を重要視している。
前回試験では収益認識は理論問題のみで、今回は計算問題がたくさん出ると予想しましたが、グレードアップして連結修正仕訳にとどまった。契約資産や代理人取引など。以前のように頻繁に収益認識が出なくなったのではなく、連結会計の中で当然に使いこなすべき知識として扱われているように感じる。
会計士受験生の存在
近年は公認会計士受験生、受験経験者が日商簿記1級を受験するケースも少なくないと思われる(Xの投稿より)。171回レベルの連結総合問題であれば対応できる受験生も増えているだろうし、前回試験の合格率を見るとよくわかる。そのような状況の中で合格率を一定水準に保つためには、これまであまり出題されなかった論点を取り込む必要があったのかもしれない。
174回はどうなるのか

ただし、連結会計が重要論点であることと、連結総合問題が毎回出題されることは別問題であると思う。
171回、173回と連続して連結総合問題が出題された今、次回の174回では王道の個別財務諸表作成問題への回帰も十分考えられる。近年はP/L作成の出題頻度も高く、B/Sや後T/B jの総合問題がそろそろ出題されても不思議ではない。
連結会計の理解として本支店会計も重要な論点であり、久しく出ていないのでこちらも要チェックである。
おわりに
171回と173回を比較すると、試験委員は単に連結会計を繰り返し出題したかったのではなく、連結会計をプラットフォームとして連結グループでの連結修正仕訳や連結財務諸表作成の理解を広い視野から見て問いたかったのではないだろうかと推測する(本当かどうかは8月ごろに掲載される出題の意図・講評にて判明すると思われる)。
今後も連結会計は重要論点であり続けるだろう(4〜5年前以上に重要論点に格上げされたようにもみえる)。しかし174回では、久しぶりに王道の個別財務諸表作成問題の復活にも期待したいところである。
