「文庫カラーカバーの思い出」と「通底する何か」
「別れの春」はこんなところにも。
有隣堂さんの名物である全10色の「文庫カラーカバー」が、在庫限りで提供・販売を順次終了するとのこと。使用している紙が生産を中止したことに伴う処置のようです。
全10色。すべては持っていません。部屋の書棚を調べると、新潮文庫から出ている三島由紀夫の著作にワインレッドが、岩波文庫のルソー「社会契約論」にブラックのものが掛けられていました。自分なりに「この内容にはこの色」という緩やかな基準があったのかもしれない。
特に印象深いのは↓です。
刊行は2015年10月。森博嗣さんの「彼女は一人で歩くのか?」(講談社タイガ)です。
人工細胞で作られた「ウォーカロン」という生命体が出てくるWシリーズの第一作。有隣堂さんで衝動買いし、ダークブルーのカバーを掛けてもらったのを覚えています。この表紙なら青しかないと。
すると不思議なくらいに読書が捗る。ページを開く際のテンションがいつもより高いのです。ゆえに自分のなかで、有隣堂さんのダークブルーを「Wシリーズ専用機」に位置づけ、二作目以降を買う時も同じ色を選びました。他の書店で購入する際はカバーをもらわず、家で既刊に掛かっていたものを外して流用しました。
カバーと本の相性みたいなものは、おそらく実在します。ドラクエの一作目に出てくる「りゅうのうろこ」みたいなもので、効果は小さいかもしれない。ただ少なくとも私の場合は、有隣堂さんがくれたカバーのおかげでWシリーズを楽しく完走できました。
「機動戦士ガンダム」でシャア・アズナブルが乗る赤いザクは、機動性が通常の3倍といわれています。詳しいことはわかりませんが、彼が赤いモビルスーツを好んだ背景と私がWシリーズに青いカバーを掛けた理由には通底する何かがあるかもしれない。そんなことを思いました。
無くなる前に買いに行きます。
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