レティシア書房店長日誌
「スペルホーストのパペット人形」
ケイト・デイカミロ作&ジュリー・モースタッド絵
「王さまとオオカミと少女と少年とフクロウは、トランクのなかで、ぎゅうぎゅうづめになっていました。トランクのふたと横には、金色の文字でスペルホーストという名前が刻印されています。王さまとオオカミと少女と少年とフクロウはパペット人形で、物語が始まるのを待っていました。」

そして物語が始まります。「仕立て屋の二階にある小さな部屋に、むかし船長だった老人がすんでいました。名前はスペルホーストといい、妻も子どもも親せきもいません。」カフェの、窓辺に座るいかにも孤独そうな老人の姿が、モースタッドによって描かれています。
ある日、彼はおもちゃ屋のショーウインドで、王さまと狼と少年と少女とフクロウのパペット人形を見つけます。すみれ色の目をした少女の人形に、強く惹かれた彼は、まとめてしか売らないというおもちゃ屋に押し切られる格好で全てのパペットを買います。少女の人形がかつて愛した女性にそっくりだったのでどうしても連れて帰りたかったのです。しかし孤独な老人は、その人形に語りかけた後で、世を去ってしまいました。遺品は二度と逢えぬ恋人に宛てた手紙と、五体のパペットを仕舞ったトランク一つです。
トランクは、仕立て屋からガラクタ屋に売り飛ばされてしまいます。そして、一揃いの人形はとある姉妹の元へたどり着きます。物語が大好きな姉が人形芝居の脚本を書いて、家族に見てもらおうと計画します。けれど人形達はいたずらっ子の妹や、自由に憧れるメイドの手で連れ出されて様々な災難に遭遇することになります。それぞれに経験を積んだ人形たちが、再結集して、姉の作った劇を演じるシーンの晴れがましさが、とても素敵です。
「『おもちゃ屋さんがいったとおりだったね。』少年がいいました。『僕らはみんなでひとつの物語を語るんだって。』」
運命の糸が知らず知らずに繋がっていくという、物語の王道の心地よさをたっぷり味わいました。心地よい筋立てって、物語の醍醐味ですね。耳を澄まして人形たちのささやくような声を聞きとろうとしているうちに、私も彼らのうちの一人になっていたり、彼らが私の物語も演じてくれているのではないか、というロマンチックな気分のなったり。
ラストは、姉妹の家のメイドだったジェーンが、人形たちを元のトランクに入れて、新しい物語を紡ぐために旅に出ます。夜の砂漠をらくだに揺られてゆくジェーンと人形たちを描いた絵が強く印象に残りました。(新刊1650円)
●レティシア書房ギャラリー案内
11/27(水)〜12/8(日)「ちゃぶ台 in レティシア書房」ミシマ社
12/11(水)〜12/22(日)「草木の色と水の彩」作品展
⭐️入荷ご案内
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「オフショア4号」(1980円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
創刊号「なわなわ/自分の船をこぐ」(1320円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」
いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
「つるとはなミニ?」(2178円)
「ちゃぶ台13号」(1980円)
坂口恭平「自己否定をやめるための100日間ドリル」(1760円)
「トウキョウ下町SF」(1760円)
モノ・ホーミー「線画集2『植物の部屋』(770円)
モノ・ホーミー「2464Oracle Card」(3300円)
古賀及子「気づいたこと、気づかないままのこと」(1760円)
いしいしんじ「皿をまわす」(1650円)
黒野大基「E is for Elephant」(1650円)
ミシマショウジ「茸の耳、鯨の耳」(1980円)
comic_keema「教養としてのビュッフェ」(1100円)
太田靖久「『犬の看板』から学ぶいぬのしぐさ25選」(660円)
落合加依子・佐藤友理編「ワンルームワンダーランド」(2200円)
秦直也「いっぽうそのころ」(1870円)
折小野和弘「十七回目の世界」(1870円)
