レティシア書房店長日誌
デヴィッド・ストーン・マーチンの世界
ジャズを聞く人なら、デヴィッド・ストーン・マーチンをご存知かもしれません。彼は、一世を風靡したアルバムジャケットデザイナーです。2024年、村上春樹が「デヴィッド・ストーン・マーチンの素晴らしい世界」(新刊2530円)を出版して、再評価されています。

マーチン(1913〜1992)は、20代で出会った、友人でも師匠でもある画家のベン・シャーンに多大な影響を受けています。シャーンの独特の線画や、当時のアメリカ社会を風刺するスタイルを受け継いでいます。二人とも、戦前はニューデール政策のプロジェクトに参加し、戦時中は戦争プロパガンダポスターの監修もやっていました。戦後、社会的なテーマを主題にした作品に向かったシャーンとは、対照的にマーチンは好きだったジャズの世界へと向かいます。
毎回楽しい企画満載のフリーペーパーのジャズマガジン「WAY OUT WEST」最新6月号は、マーチンの特集です。(店に置いています)

この中で、マーチンが優れたイラストレーターであると同時に、アートディレクターだったことが書かれています。
「『DSMライン』とも呼ばれる複数の種類のペン先や筆を駆使して生み出される特徴的なペン画。そして、余白を活かした浮世絵のような大胆な構図。」(注:DSMはデヴィッド・ストーン・マーチンの略です)「書体のトレンドにも敏感で、作品にあわせて手書き文字と活字を使い分けた。表面だけでなく、裏面のライナーノーツに使う書体にも口出ししたという。印刷へのこだわりも尋常ではなかった。銀行小切手を刷る特殊な印刷所で、オリジナルのインクを使用し、紙やコーティングにこだわり、納得がいくまで試験刷りを繰り返した。」
独特のデザイン、全体にみなぎるスィング感、そしてユーモアの漂うアルバムジャケットを見ていると、ジャズの楽しさが聞こえてくるようです。

テナー奏者フリップ・フィリップスのアルバム「スウィンギン・ウィズ・フリップ」を、村上は著書で「看板に偽りありというか、中身はそれほどホットにスイングしてはいない。(中略)しかし中身はさておき、ダンスをする男女の大胆なポーズのジャケット画によって、このレコードは有名になった。DSMらしい生き生きとした線画が躍動的で素晴らしい。若いカップルはとても楽しそうにダンスに興じている。」と、書いています。
そう、本当に楽しそうなジャケットを世に送り出していたのです。まずは、無料の「WAY OUT WEST」をお持ち帰りいただき、その楽しさを満喫してください。
⭐️レティシア書房ギャラリー案内
5/28(水)〜6/8(日)「売りたいけど売れない本展」 上野かおると仲間達
6/11(水)〜22日(日)「よあけのあしおと」展 まご原画展
7/2(水)〜13日(日)烽火書房「世界の紙をめぐる旅」展
7/16(水)〜27日(日)ペーパークイリング展 山中さおり
⭐️入荷ご案内
「book like spotlight02」(500円)
木耳「シリーズ人間1 トレーニング」(1100円)
雅子ユウ「そこに本屋がある 本屋本書評集」(990円)
山本夜更詩集「/50/50/50/50」(2200円)
「そぞろ日記Vol.1」(500円)
佐藤友美「今日もコレカラ」(3300円)
たやさない」5号(1100円)
まご「よあけのたび3号』(1300円)
雑誌「広告」リニュアル号「領域侵犯合法化」(1000円)
赤染晶子「初子さん」(2200円)
藤原辰史&伊原康隆「数学と歴史の対話」(3850円)
野口理恵「生きる力が湧いてくる」(1980円)
古賀及子「おかわりは急に嫌 私と『富士日記』」(サイン入り1870円)
佐々木ののか&しいねはるか「ほんとうは、どうしたい」(1540円)
夏森かぶと「仕事と生活のバランス」(990円)
劇団三毛猫座「優美な死骸の採集」(1500円)
川崎大介「夢のかなたの街」(1980円)
大崎清夏「湖まで」(2200円)
misaki「気づけば歩いてばかりいた」(1000円)
ひらいめぐみ「ひらめちゃん」(1980円)
佐々木里菜「ティミッドとティンブクツーのあいだ」(1210円)
中島岳志&堀部安嗣「建築と利他」(1980円)
大槻ケンジ「そして奇妙な読書だけが残った」(1870円)
日下三蔵「断捨離血風録」(2420円)
新井とみよ&黒川創「富岡多恵子の仕事」(2750円)
「てくり34号」(770円)
松永弾正「本屋の周辺4」(1100円)
