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レティシア書房店長日誌

マイク・フラナガン監督「サンキュー、チャック」
 摩訶不思議な映画でした。原作はスティーブン・キングの中編小説「チャックの奇妙な人生」で、キングの作品系列では、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」「スタンド・バイ・ミー」等に連なる作品です。
 映画はいきなり「第三章」というクレジットからスタートします。アメリカ各地を襲う巨大地震で、カリフォルニア州は崩壊していきます。町のハイスクール教師マーティーは、住人が逃げ出し、誰もいなくなった街中で「ありがとう、チャック」と書かれた広告を目にします。テレビのCMにも度々でてくる「ありがとう、チャック」。誰だ、チャックって?
 映画はここから、過去へと遡っていきます。「第二章」では、そのチャックが登場します。彼は公認会計士で、出張である町にやってきます。町の大通りでは、一人の女性がドラムスを叩き始めます。偶然通りがかった彼は、突然踊り出します。さらに、そこにいた若い女性も巻き込んでいきます。この映画最大の見所です。傑作ミュージカル「ラ・ラ・ランド」も振り付けを担当したマンデイ・ムーアのダンスシーンは、今を生きる喜びに満ちていて感動的でした。
 

 そして、映画は「第一章」へ。ここでは幼少の頃のチャックが描かれます。実は最初の「第三章」には、39歳という若さで余命わずかな病人が、家族と寄り添うシーンが挿入されます。実はそれがチャックの現在です。映画は一気にチャックの人生をまるごと描いてゆくのですが、最初に出てきた「ありがとう、チャック」の宣伝の意味は最後まで分かりません。早すぎる死が運命だったチャック。ダンスを愛し、恋をして、仕事に励み、家族を大事にしてきた普通の男の人生が、時間軸を超えて描き出されていきます。
 終末間近の世界を、抜群のSF的センスで描いた第三章から、生命感にあふれて心弾むダンスシーンへと転換し、短い人生だったチャックの生の輝きをアクロバティクな手法を駆使して存分に描いた傑作でした。パンフレットを読みたくなったので、売店にいったら売切でした。誰かの意見をとても聞きたくなる映画なのかもしれません。もう一度観たい!という気持ちになりました。

⭐️レティシア書房ギャラリーご案内
5/13(水)~5/24(日)「風薫る」こだま亭
5/27(水)~6/7(日) 「Tiny Works About Birds」渡谷圭子展
6/10(水)~6/21(日)「境界を渡る小舟」熊谷誠展
⭐️入荷ご案内
「アルテリ21号」(1430円)
小澤みゆき「リーン·インにまたね」(1100円)
「季刊日記2号 特集ー日記のくるしみ 日記と植物」(2170円)
「随風3号」(2200円)
平城さやか「ふつうに働けないから、好きなことして生きています」
(1760円)
子鹿·紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
「ランバーロール08」(1650円)
「仕事文脈27」(1320円)
きくちゆみこ「人といること、すさまじさとすばらしさ」(2420円)
ゆうあん「本づくり日記」(800円)
高倉嘉男「インド映画はなぜ踊るのか」(2970円)

あまみやうみ「どさんこ日和」(800円)
小津夜景「書庫に水鳥がいなかった日のこと」(1980円)
青木海青子「図書館、山へ分け入る」(1980円)
税所篤快「大地との遭遇」(2200円)
碇雪恵「そいつはほんとに敵なのか」(1870円)
植本一子「とある都市生活者のいちにち」(1540円)
佐々木里菜「近く訪れる彗星」(2200円)
「蟹ブ店番日記」pha(1090円)
能町みねこ「デッドエンドで宝探し」(2200円)
渡邊愛知「guriのぐるり」」(1980円)
テラニシシュウヘイ「喫茶結社の”読む”ラジオ·アーカイブス」(1100円)


村瀬孝生「朽ちて死ぬ自由」(2420円)

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