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読書メモ カレーの時間

カレーの時間
寺地はるな @terachi0109

カレーの時間

私は普段、金曜日にテレワークをすることが多い。
その時、妻がランチに作ってくれるのが、カレーライス。

カレー自体はインド発祥ではありますが、日本で独自に発展したいわば『国民食』。

そんな身近な料理を通じて、家族の関係が紡がれていく。
寺地さんの優しい物語がそこにはありました。

主人公・桐矢は、祖父・義景と一緒に暮らすことになる。
義景は頑固で口数も少なく、家はゴミ屋敷のよう。
カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは。
カレーを通じた物語は『現在』と『過去』を行き来する。
やがて、その秘密が明らかになるとき、胸の奥にじんわり広がる感動が。

人は100%分かり合えなくても、一緒に生きていける

祖父と孫の間にある埋められない溝。
しかしそれは決して『ダメなこと』ではない。
人は親子だって兄弟だって、姉妹だって、夫婦だって、100%わかり合えるなんてことは決してない。

『そういったことを含めてやり過ごす』ことが人間関係に大事なことなのだと改めて感じさせられました。

人はそれぞれの時代や環境、経験を背負って生きている。
だからこそ簡単にはわかり合えない。

それでも寄り添い、時に黙って同じ食卓を囲むことに意味があるのだと感じました。

「彼女たちには、祖母の物語を否定する権利がある。自分たちが抱えてきたさびしさを、今後もさびしさのまま保持して生きる権利がある」

『さびしさ』という感情一つ取っても、そこにはいろいろな思いがある。
決して『さびしい』という一つだけの感情ではない。
人それぞれの『さびしい』がある。

だから、他人が「あの人はさびしいんだな、ではそのさびしさを取り除いてあげよう」なんてのは、優しさなのではなく、お節介。
だって、自分が思っている『さびしい』と、あの人の思っている『さびしい』は違うかもしれないのだから。

人間は『わかり合えない』存在であることを前提に、それでも関わり続ける。
その姿勢こそが、家族や他人との関係を育むのだと、この物語に気づかせてもらいました。

・人と接することが苦手だと感じている人
・家族とぎくしゃくしていると悩んでいる人

そんなあなたに、この物語は『それでも一緒に食卓を囲むことの意味』を教えてくれます。

静かであたたかい余韻を残す傑作。
読後、カレーの香りが無性に恋しくなること間違いなしです。

カレーの時間
寺地はるな @terachi0109



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