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今週の全米アルバムチャート事情 #304- 2025/9/6付

いよいよ今週から暦は9月に入り、今年も残すところ4ヶ月。とはいえ今週の残暑は猛烈にきついですねえ。一方MLBもいよいよシーズン最終月に入り、ペナントレースの行方と個人記録の行方が気になるところ。最後にすべての強力手駒が揃うことを前提に戦っているドジャーズはWSにたどり着けるか、大谷シュワーバーを抑えて2年連続NLHRキングになれるか、そして我等がメッツは?まだまだ今月は熱い月になりそうですね。

"KARMA: The 4th Album" by Stray Kids

9月最初の今週の全米アルバムチャート、9月6日付のBillboard 200の首位は、先週ももう既定路線とお伝えしたKポップのストレイ・キッズの通算4作目の韓国語アルバム『Karma』が313,000ポイント(うち実売296,000枚)といういずれも彼ら自身に取ってもキャリアハイの出力でぶっちぎりの1位初登場。そして先週もお伝えしたように初チャートインから連続1位記録の方もこれで7枚となり(先週6枚、と誤ってお伝えしました。失礼しました)前作の『HOP』で達成した6枚連続の新記録を更新しています(従来の記録は1998〜2003年にかけて故DMXが記録した5枚連続)。そして2000年以降では、BTS、リンキン・パーク、デイヴ・マシューズ・バンドを抜いて、グループとしては最多ナンバーワンアルバムを記録してますね。いやしかし出せば必ず高出力で1位を取り続けるストレイ・キッズ、ファンの購入動員力と結束力が半端なく、他のKポップアクトと比較しても群を抜いてます。記録更新なのでここでこれまでの彼らの7枚のナンバーワンを確認しておきましょう。(初登場したチャート、1位週数、タイトル - 実売枚数/ポイント数)

  1. 2022/4/2 (1 week) Oddinary (EP) - 103,000 / 110,000

  2. 2022/10/22 (1 week) Maxident (EP) - 110,000 /117,000

  3. 2023/6/17 (1 week) 5-Star: The 3rd Album - 235,000 / 249,500

  4. 2023/11/25 (1 week) ROCK-STAR (EP) - 213,000 / 224,000

  5. 2024/8/3 (1 week) ATE (EP) - 218,000 / 232,000

  6. 2024/12/28 (1 week) HOP (mixtape) - 176,000 / 187,000

  7. 2025/9/5 (1 week*) Karma - 296,000 / 313,000

3枚めのナンバーワン『5-Star』で一気に殻を破ってからは毎回初週ほぼ20万枚を売ってきただけでもえらい勢いなんですが今回更に30万枚のキャリアハイを記録したということで、今後も出せば必ず20〜30万ポイントは叩き出すのは間違いなし。ということは出し続ける限りはこの記録が途絶えそうもなく、前人未到の記録が継続する可能性大ですね。

こういう絶好調さの要因が何なのか、と考えた場合、やはり彼らはBTSをはじめとする他のKポップボーイズバンドと比べて、自作・プロデュースにこだわってることと、かなりエッジの立った楽曲スタイル(単にヒップホップ・トラップ寄りというだけでない、EDMとかファンクとかいろんなジャンルを取り込んでる)のが大きいのかな、と思いました。今回も全曲グループメンバーの制作チーム(3Rachaバンチャン、チャンビン、ハン)が書いてます。まあ日本ではオバちゃん人気も高い彼らですが、USでは結構この辺が評価されてファンを集めてるのかも。だとするとこの勢い、やはり当分続きそうです。

"A Matter Of Time" by Laufey

商いの薄い週だったら充分1位を狙えた99,000ポイント(うち実売71,000枚で今週アルバムセールス・チャート2位初登場)で4位に初登場、初の全米トップ10を果たしたのは、先日2度目の来日を果たして日本でもファン急増中の、中国系アイスランド人ジャズ/シンガーのレイヴェイのサード・アルバム『A Matter of Time』。基本昨年の第66回グラミー賞で最優秀トラディショナル・ポップ・ボーカル・アルバムを見事受賞した前作の大ヒットアルバム『Bewitched』(2023年18位)同様スペンサー・スチュアートとのプロデュースですが、一曲だけテイラー・スウィフトとの仕事で一気に有名になったザ・ナショナルアーロン・デスナーと「A Cautionary Tale」を共作・プロデュースしてます。

リリースから2年経ったつい先週までジャズ・アルバム・チャートの1位を走り続けて来て通算49週1位を記録していた前作に代わって今週ジャズ・アルバム・チャート初登場1位、UKアルバムチャートでも3位に初登場している今回のアルバムも前作同様、2025年のアルバムとは思えないほどのクラシックでノスタルジックなスタイルの素敵なジャズ・ボーカル・アルバムになっていて、それがすべてレイヴェイスペンサー・スチュアートの自作というのがこの人の特異であり、ジャズ・シンガー・ソングライターとして卓越しているところですよねえ。加えて今年7月の来日ではピアノやギターの弾き語りだけでなく、ウィットと愛嬌たっぷりのMCぶりが素晴らしかったらしいから、これは次来たら観に行かなきゃなあ!

"Private Music" by Deftones

続いて5位に初登場してきたのはおお何と、2000年代に圧倒的な存在感を見せていたオルタナ・メタル・バンド、デフトーンズの5年ぶり、通算10作目の『Priviate Music』です(87,000ポイント、うち実売66,000枚)。先行シングルの「My Mind Is A Mountain」は今週のメインストリーム・ロック・チャートで彼ら初のナンバーワンを達成してます。こちらもUKでも人気が高く、今週アルバムチャート2位初登場。2000年代以降活躍していたロック系のバンドが最近のチャートでは奮わないことが多い中、この人気ぶり(人気だけでなく、評価も高く、メタクリティック91点!)は特筆に値しますね。

内容は彼ら一流の重厚感あふれる重量級ハードロック(単純なメタル、という感じではないところがいい)が存分に浴びれるアルバムで、2000年のブレイク作『White Pony』(3位)で僕らに衝撃を与えてくれた圧倒的な圧のロックからはちょっと一歩引いた感じ、ちょっと抑え気味の、それでも充分にテンションが伝わってくるナンバーが次々に繰り出されてきますね。そして彼ら一流の「カッコいい」様式美ヘヴィーロックっぽさもいいです。「Infinite Source」のギターリフなんかも一発でロックキッズの胸を鷲掴みにしそうだし。とにかく自分的には今年のハードロック系アルバムではスリープ・トークンを抑えて一気にトップという感じです。レコード、買っちゃおうかなあ。

"Cherry Bomb" by Tyler, The Creator

そしてこれは初登場ではないんですが、6位に再登場してきたのは、タイラー・ザ・クリエイターの2015年のアルバム『Cherry Bomb』(52,000ポイント、うち実売51,000枚)。今回リリース10周年記念のフィジカル・リイシューで、3種類のヴァイナルと3種類のタイラー・ブランド・アパレル同梱のデラックスCDのリリースで再登場したものです。

ついこの間最新作『Don’t Tap The Glass』がナンバーワンを記録したばかりのタイラー、でもこうやって旧作をヴァイナルとかで出してくれるのはうれしいものです。当時はまだオッド・フューチャー系の実験的なスタイルだったので今と随分作風は違うんですが、ロイ・エアーズをフィーチャーした「Find Your Wings」とか、ボーイズIIメンワンヤ・モリスをフィーチャーした「Blow My Load」、ギャップ・バンドチャーリー・ウィルソンをフィーチャーした「Fucking Young / Perfect」などオールド・スクールな人たちとやってる曲なんか結構興味深いですね。

"I Hope You're Happy" by BigXthaPlug

そしてトップ10最後の初登場は、今注目のダラス出身のラッパー、ビッグXザ・プラグのサード・アルバム『I Hope You’re Happy』、47,000ポイント(うち実売5,000枚)で今週7位に初登場、ブレイク作となった前作『Take Care』(2024年8位)を超えるキャリア・ハイを達成してます。この間のカントリーのベイリー・ジマーマンとのコラボシングル「All The Way」がいきなり全米5位の大ヒットになったんで、カントリーとのコラボ路線に本格的に今回コミット、何と全11曲中8曲で、ジェリー・ロール、ダリウス・ラッカー、エラ・ラングレー、トーマス・レット、ルーク・コムズなどカントリーのスター達とのコラボがガチガチに固めたアルバム作り。それが功を奏して今回のキャリアハイ達成につながってますね。

この人も以前はブレイクヒットの「Mmhmm」(63位)はウィスパーズ、「The Largest」(71位)はウォーをサンプリングしていい感じのオールド・スクールを取り込んだ独特のスタイルのヒップホップやってたんですが、「All The Way」のヒットで「これは稼げる!」ということで一気にカントリー・コラボに舵を切ってきたんですかね。しかしほとんどの曲はカントリー部分と彼のラップ部分があまり有機的に機能してないような気がするんですがね。そんな中でもシャブージーとやってる「Home」とかはちょっと違う感じだったんで、次は取って付けたようなカントリーコラボよりも、シャブージーみたいな微妙に近い人とかとガップリ組んだ方がいいような気がします。

"Hearts Sold Separately" by Mariah The Scientist

再登場も合わせて5枚のアルバムがチャートインしてきた今週のトップ10ですが、今週は圏外11〜100位も6枚初登場と賑やかです。その筆頭は11位初登場と僅かにトップ10を逃した、アトランタのR&B歌姫、マライア・ザ・サイエンティストの通算4枚目にして2作目のチャートインの『Hearts Sold Separately』。こちらも前作『To Be Eaten Alive』(2023)が93位でしたから、今回大きく飛躍してキャリアハイを記録したことになります。

アルバムリリースに先立ってヒット、彼女に取って初のトップ40ヒットとなった「Burning Blue」(25位)が1980〜90年代のクラシックなスタイルの正統派R&Bバラードであることからも、今時のR&B女性シンガー達と一線を画しているマライアですが、自分のようにその頃のR&Bにどっぷり浸かっていた人間にとっては正しくツボのシンガー。今回は惜しくもトップ10を逃しましたが、次回はきっとトップ10上位にチャートインしてくると期待しています。

"I Barely Know Her" by sombr

続いて14位にチャートインしてきたのは、若干20歳のNY出身の新感覚派のロック系シンガーソングライター、ソンバー(sombr)ことシェイン・マイケル・ブーズのデビュー・アルバム『I Barely Know Her』。既にシングル「back to friends」(最高位今のところ30位、今週31位上昇中)と「undressed」(今週24位上昇中)が並行してHot 100を上昇中という、最近では珍しいシングルとアルバムのヒット・シンクロ・パターでブレイク中です。そしてUKでは更に盛り上がっていて、前者は7位、後者は4位を既に記録、アルバムは10位に今週初登場してます。

UKで人気が高いのもうなづける、ここ最近ではあまり聴かないカッコいいサウンドは、ティアーズ・フォー・フィアーズあたりをちょっと思わせる、80年代UKの音響派ロック・バンドっぽい音作り。エコーが効いたそのサウンドは、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドが現代に換骨奪胎したような、そんなクラシックさとコンテンポラリーさを備え合わせたような不思議な魅力に満ちてますね。要注目です。

"Kiari" by Offset

続いて16位にチャートインしてきたのが、カーディBの旦那でラップ・デュオ、ミーゴスの片割れ、オフセットのソロ3作目『Kiari』。前2作はトップ10だったんですが、今回はトップ10を外してます。

いつものエモな感じのトラックにオフセットのフロウが淡々と載せられるという基本スタイルは変わらず、今回もガンナヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン、JIDといったラッパーたちをフィーチャーしたトラック満載。そしてそんな中でのハイライトは特にエモ度の高いトラックにジョン・レジェンドをフィーチャーした「Never Let Go」でしょうか。そして未だにやはり3年前に亡くなったテイクオフのことを思わせるリリックもそこここに顔を出してます。

ぐっと下がって38位に初登場してきたのは、カナダのベテラン・ハードロック・バンド、スリー・デイズ・グレイスの通算8作目のアルバム『Alienation』。コンスタントにHot 100ヒットを飛ばしていた2000年代(最大のヒットは2006年に44位まで上がった「Pain」)にはトップ10にアルバムを3作連続入れてたんですが、前作ではとうとう100位に入らず、今回トップ40に復活のアルバムとなりました。

内容的には、楽曲的にもまあなかなか粒の揃った、タイトでキャッチーなロック・ナンバーなんで悪くはないですね。彼らも90年代に出てきた「明るいエモ系ポスト・グランジ・ロック・バンド」の一つで、当時ティーンエイジャーだったロックファンがいかにも好んで聴きそうなスタイルのロックなんですが、今のティーンエイジャー達はあまりこういうのは聴かないのかもなあ。

"Mt. Zion" by Josiah Queen

57位にチャートインしてきたのは、フロリダ州タンパ出身の若手男性クリスチャン・コンテンポラリー・ポップ・シンガーソングライター、ジョサイア・クイーンのセカンド・アルバムにして初チャートイン作『Mt. Zion』。テーマやアルバム・タイトル(シオニズムの語源になってるユダヤ民族主義の象徴として言及される、エルサレム南東の丘、シオンの山)はガチキリスト教だし、今のガザ情勢を考えると「ん?」と思わないでもないですが、音楽スタイルはベンソン・ブーンとかアレックス・ウォーレンとかいった、今時のコンテンポラリー・ポップで悪くないです。

前作のデビュー・アルバム『The Prodigal』からのタイトルナンバーはアダルト・コンテンポラリー・チャートで10位を記録、アルバムはクリスチャン・アルバム・チャート1位CCMのグラミー賞と言われる2024年のGMAダヴ・アウォードポップ・コンテンポラリー・ソング・オブ・ジ・イヤーと最優秀新人部門にもノミネートされてブレイク、今回ナショナル・チャートへのクロスオーバー・ヒットにつながったようです。まあ僕らはリリック内容を気にしないなら、純粋に聴きやすいポップ・アルバムとして聴けばいいんじゃないでしょうか。

"Escape Room" by Teyana Taylor

今週100位までの最後の初登場は67位に入ってきた、テイアナ・テイラーの通算4作目のアルバム『Escapse Room』。あんたはグレイス・ケリーか!というエキセントリックなビジュアルのジャケだった前作『The Album』(2020年8位)でキャリアハイを記録した彼女でしたが今回はかなり順位を下げてこの順位。でも、センシュアル系のR&Bをエモーションたっぷりに聴かせるスタイルは健在で、内容的には(ジャケも含めてw)こっちの方が自分的には好みかも。

もともとカニエに認められてシーンに登場、セカンドの『K.T.S.E.』(2018年17位)では素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれていたテイアナなので、ちょっと前作以降エキセントリックな面も見えるものの(今回も女優のタラジ・P.・ヘンソンの冒頭のモノローグ「Taraj P. Henson’s Narration」では4レター・ワード連発でちょっと引く)ラッキー・デイとの「Hard Part」とか、ジル・スコットタイラをフィーチャーしたクラシックな感じの「Pum Pum Jump」、ケイトラナダフィーチャーのエレクトロなビートを効かせた「Open Invite」など多様なナンバーが楽しめますね。何でも前作からの5年の間に元NBAブルックリン・ネッツアイマン・シュンパートと結婚、2人の娘を生んで昨年離婚と波乱万丈だったようで、全体に漂うエキセントリックさとセンシュアルさが同居したムードはそれを反映しているのかも。そしてアルバムはアコギベースの「Always」がしっとりと歌われた後、その2人の娘からの「Thank you for coming back to music」というメッセージで終わるというなかなかホッコリする構成になってます。今回はアルバム、買おうかな。

ということで今週は100位までの初登場アルバムが合計10枚という最近稀に見る賑わいでした。一方Hot 100の方ではKPDHの「Golden」が3週目の首位をキープすると同時に今週もそのサントラから4曲が同時トップ10にチャートインする状態が継続しています。いったいこの記録、何週続くんでしょうか。そしてこのサントラからは「What It Sounds Like」が現在19位上昇中なので、もしこれもトップ10入りということになるとまたまた歴史的記録達成、ということになります。うーんKPDH恐るべし。では今週のトップ10おさらいです(順位、先週順位、チャートイン週数、タイトル、アーティスト、<総ポイント数/アルバム実売枚数、*はHits Daily Double調べ>)。

*1 (-) (1) KARMA: The 4th Album - Stray Kids<296,000 pt/313,000枚>
*2 (2) (10) KPop Demon Hunters - Soundtrack <125,000 pt/18,000枚>
3 (1) (15) I’m The Problem - Morgan Wallen<116,000 pt/3,717枚*>
*4 (-) (1) A Matter Of Time - Laufey <99,000 pt/71,000枚>
*5 (-) (1) Private Music - Deftones <87,000 pt/66,000枚>
*6 (RE) (6) Cherry Bomb - Tyler, The Creator <52,000 pt/51,000-枚>
*7 (-) (1) I Hope You’re Happy - BigXthaPlug <47,000 pt/5,000枚>

8 (5) (40) You’ll Be Alright, Kid ● - Alex Warren <38,000+ pt/803枚*>
9 (4) (3) The Last Wun - Gunna <38,000 pt/113枚>
10 (7) (130) One Thing At A Time ▲7 - Morgan Wallen <38,000- pt/606枚*>

ストレイ・キッズが一人旅の連続ナンバーワン記録を更新した今週の「全米アルバムチャート事情!」いかがでしたか。それでは最後にいつもの来週の1位予想ですが(チャート集計対象期間:8/29-9/5)、今回は今週ドロップされたサブリナ・カーペンターの新譜が多分20万ポイントくらいは叩き出すでしょうから、これが1位でしょうね。どうやらKPDHの1位はなしで終わりそうな感じです。ではまた来週。


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