#11:僕たちは『ちょうど良いDX』で、会社を育てている
「変化」することが正義のように語られる時代です。
業界のトレンド、社会構造、テクノロジー。変化に適応しなければ、取り残される——。その危機感が、DXやAIといったキーワードを“魔法の言葉”に仕立て上げています。
でも僕は思うんです。
変化することは、実はそれほど難しくない。
“やってみる”くらいのエネルギーと、ちょっとした外圧やブームがあれば、人も組織も動きます。
本当に難しいのは、**その変化を「続けること」**なんですよね。
僕は、平均年齢56歳の小さなガソリンスタンドを経営しています。
DXなんて縁遠そうな現場。でも、僕たちはここで、変化と継続の両立に挑んできました。
目指したのは、“華やかに変わる”ことじゃない。
日常に馴染む、小さな変化を地続きで積み上げていくこと。
それを、僕は「ちょうど良いDX」と呼んでいます。
この考え方は僕の書籍でも細かく説明しています。
このnoteでは、そんな僕たちの「変わり続ける努力」「ちょうど良いDX」について書きたいと思います。
それは、ただの成功体験でも、派手なツール導入の話でもありません。
むしろ、“地味に続いている”という事実こそが、一番の成果なのだと思っています。
もしあなたがーー
✅ 一度取り組んだDXやAI活用が定着せず困っている
✅ 小さな現場で「継続できる改革」を模索している
✅ 地域やチームに合った、無理のない変革を目指したい
と悩んでいる場合、この記事はきっと何かヒントになるはずです。

1. 「変わること」は、きっかけがあれば誰でもできる
僕がこのガソリンスタンドの経営を継いだのは、約3年前。
社員さんは5名、平均年齢は56歳。業界的にも年齢的にも、いわゆる“アナログな現場”でした。
だけど僕は、経営に就いたその日から「変える」と決めていました。
というのも、過去の文化を受け継ぐことが、この会社にとってのリスクだと直感していたからです。
「先代のやり方は、一切引き継がない」
ちょっと乱暴にも聞こえるこの決断は、僕にとっては“変化のスイッチ”を押すための儀式のようなものでした。
そして、思った以上に変化は早かった。
デジタルツールの導入、社内ルールの再整備、コミュニケーションの仕組み化、AIの活用……。
でもここで、ある違和感にぶつかります。
「あれ、これは“変わった”んじゃなくて、“変わったつもり”かもしれないな」
一度きりの施策では、現場には馴染まない。
熱量は一瞬で冷めてしまう。
「変わり続ける仕組み」こそが、必要なんじゃないか?
ーー 僕の視点は「導入」から「持続」に切り替わりました。
2. 「変わり続ける」には、“ちょうど良さ”が必要だ
DXって、派手なビフォー・アフターが注目されがちですよね。
でも、実際に現場で必要なのは「どうやって続けるか」なんです。
だからこそ僕は、「ちょうど良いDX」という言葉を創りました。
デジタル活用も、すぐやめても問題ないサイズ感で設計しています。
ChatGPTでメール文を生成するBotを導入したのもその一例。
これなら社員さんの業務を邪魔せず、自然に稼働できる。
人の仕事を奪うのではなく、「ちょっとだけ手を貸す」ような存在にしているんです。
規模も、設計も、使い方も、“ちょうど良く”。
この「やりすぎない設計思想」があるからこそ、僕たちはいまも変わり続けられているのだと思います。
3. 静かな変化を「習慣」に変えるために、やったこと
「変わり続けるには仕組みが大事だ」とよく言われます。
でも僕たちの現場では、それほど立派な“仕組み化”というものを用意していない気もしています。
ただ、これだけは守ろうと決めている3つのマイルールがあります。
① 変化は、社員さんと一緒に設計すること
DXやルールづくりは、上から与えるものではなく、一緒につくるものだと考えています。
どんなに正しい仕組みでも、「誰かが決めたもの」だと、人は動きづらい。
だからこそ僕は、仕組みやルールの設計フェーズから、社員さんを巻き込むようにしています。
小さな改善も、些細な設定も、「これは何のためにあるのか?」という問いを共有しながら進めました。
② 一度決めたら、徹底的に守ること
「曖昧なルール」、「緩いルール」は、むしろ現場を混乱させます。
だから僕たちは、一度合意したら、例外なく運用すると決めています。
これを続けていくと、社員さんたちの中にも「ルールはちゃんと守るもの」という空気ができてきました。
現場にとっても、「ぶれない」ことは安心材料なんですよね。これは、ITでもアナログでも変わりません。
③ フィットしていなければ、すぐにやめること
逆に、続けることが目的化してしまったら、それは本末転倒です。
僕たちは、「しっくりこない」と思ったら、迷わずやめます。改善の余地があるなら直せばいい。
でも、「やり続けること」が優先になってしまうと、現場の疲弊につながります。
「やめる自由がある」とわかっているからこそ、安心して続けられる。この柔軟さが、むしろ継続性を高めている気がしています。
これらが僕たちの変化が「続いている理由」になっている気がします。
4. まとめ:「変化」を継続できたとき、“進化”になる
変わることは企業として必須です。
でも、変わり続けられない企業に、未来はないと思っています。
僕たちはそのために、身の丈に合った“ちょうど良いDX”という考え方を選びました。
それは、誰かに評価されるためではなく、自分たちが変わり続けられるための思想です。
めざすのは、「変化の成功」ではなく「進化の習慣化」。
その第一歩は、変わらないために、変わり続けるという矛盾を、自分たちなりにデザインすることだと思っています。
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