【ワールドカップ観戦記⑮】 〜デンバーで暮らすようにワールドカップを観る〜
ワールドカップの旅というと、
毎日スタジアムへ行き、
試合を見て、
次の街へ移動する。
そんな慌ただしいイメージがあるかもしれない。
でも、デンバーで過ごした一日は少し違った。
旅人というより、
暮らすように過ごした一日だった。
ニューヨークから
レイクウッドへ
ブラジルワールドカップで知り合った友人は、17年間ニューヨークで暮らしていた。
仕事の都合で、4年前からデンバー近郊のレイクウッドへ移り住んでいる。
私は勝手に、
「アメリカだから車がないと生活できない。」
そう思っていた。
ところが違った。
普段の移動は公共交通機関が中心。
必要な時だけレンタカーを利用するという。
17年間暮らしたニューヨークでの生活スタイルが、今も自然と残っているそうだ。
同じアメリカでも、
暮らし方は人それぞれ。
旅をすると、そんな思い込みが少しずつ修正されていく。
バスが消えた
この日、Googleマップでバスを調べていた。
目的地までのルートも表示され、
「このバスに乗れば大丈夫。」
そう思って画面を見ていると、
突然、乗る予定だったバスがマップ上から消えた。
「あれ?」
「運休?」
「もう行ってしまった?」
一瞬焦る。
ところが数分後。
何事もなかったかのように、
そのバスが目の前へやって来た。
思わず友人と笑ってしまった。
どうやらリアルタイム表示がうまく更新されなかっただけらしい。
海外では、こんなこともある。
細かいことを気にしすぎない。
そんな大らかさも、この旅で何度も感じた。
英語実況で観る
ワールドカップ
昼になると、友人宅でテレビをつけた。
この日の試合は、イングランド対ガーナ。
数日前まではモンテレイのスタジアムで日本代表を応援していた。
今日はレイクウッドのリビングで、ソファに座ってテレビ観戦である。
同じワールドカップなのに、
まるで違う景色だった。
解説は英語。
CMも英語。
テレビをつければ、開催国の日常の中にワールドカップが溶け込んでいる。
日本で観るワールドカップとも違う。
メキシコのスタジアムで体感した熱気とも違う。
開催国で、開催国の言葉でワールドカップを観る。
それもまた、現地に来たからこそ味わえる体験だった。
観光では見えないもの
ニューヨークでは観光客だった。
ロサンゼルスでもそうだった。
モンテレイでは、
日本代表サポーターだった。
でもデンバーでは違う。
友人宅に泊まり、
スーパーへ行き、
公共交通機関を使い、
友人宅でワールドカップを観る。
観光地を巡るだけでは見えない、その土地の日常に少しだけ触れることができた。
有名な観光地へ行くことだけが旅ではない。
その街で暮らす人と同じ時間を過ごす。
それもまた、
旅の魅力なのだと思う。
ワールドカップ
がくれた時間
今回の旅は、
日本代表を応援するために始まった。
でも振り返ると、
試合だけではなく、
人との出会い、
再会、
そして、その土地の日常に触れた時間が強く心に残っている。
ワールドカップがなければ、
デンバーへ来ることも、
レイクウッドで暮らす友人の日常を知ることもなかった。
試合を追いかけていたはずなのに、
気が付けば、人の暮らしを旅していた。
それもまた、ワールドカップが私に見せてくれた景色だった。
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