#1093 漫画論81|QP(キューピー)
本日は不良漫画界のカリスマ・高橋ヒロシが「クローズ」と「WORST」の間に執筆した不朽の名作・QP(キューピー)を紹介しましょう。
メチャクチャ好きな漫画です。
QP(キューピー)とは?

ヤングキングで1998年~2000年に連載されていた漫画です。
主人公の石田小鳥(通称キューピー)は、その可愛らしい名前とは裏腹に幼少期からとんでもない暴れん坊で、売られた喧嘩は全部買い、中学時代から暴力の世界に生きる暴力大魔王だったんですけど、色々あって少年院に服役し、そこで「院長先生」との出会いがあって、このままじゃイカンと暴力の世界から抜け出そうとします。
しかし、この物語のもう1人の主人公の我妻涼は、そんな小鳥の幼少期からの親友であり、改心した小鳥とは対照的に「暴力の世界で小鳥とのし上がっていきたい」という野望を持ち、小鳥に接近してくるのです。
もともと小鳥が少年院に服役したのは、この涼が原因だったりするのですが・・・
で、平和に生きたい小鳥と、暴力でのしあがりたい涼、そのすれ違いがのちに大きな事件に繋がってしまうのですが、両者の気持ちも分からないではなく「生きる」ということの難しさを感じる漫画ですね。
メチャクチャ面白いです。
「クローズ」「ワースト」も勿論面白いんですけど、違う角度の面白さがありますね。
「大人のクローズ」「大人のワースト」という感じです。
QP(キューピー)の魅力
1. 引き込まれる構成
とんでもない不良が更生して真面目に働いている所からスタートして、そこからしばらく現代のままで、2巻が終わったタイミングあたりから高校時代編に戻り、そこから5巻まで過去編で、6巻からまた現代に戻るという展開が非常に引き込まれて面白かったですね。
時間の流れも非常に良くて、小鳥と、小鳥が働くガソリンスタンドの主任の幸四郎の関係性が凄く良くて、伝説の不良だった小鳥を恐れていた幸四郎が、気付いたらタメ語で話すようになっていたあたりの時間の流れが凄く良かったです。
このシーンとか、この語り掛けとか本当に素晴らしい。

2. 涼の気持ちも分かる
暴力大魔王の小鳥を利用し、暴力の世界でのし上がっていきたい涼は一見悪い奴なんですけど、不器用なだけで「気持ちが凄く分かる」というのが良いんですね。
中学・高校時代の親友がみんな変わっていく中で1人だけ変われず、ヤクザとの交渉に成功し、仲間に褒められる妄想をしながら河原でタバコを吸いながらするシーンとかは非常に切ないです。
そして小鳥とついに通じ合った、このシーンとかも凄く良いのですが・・・

3. 相も変わらず個性があり魅力的なキャラクター
クローズの世界はほぼ不良しかいませんでしたが、今作ではわりとノーマルなキャラクターも出てきたのは非常に良かったですね。みんな個性があり、相変わらず描写が上手いです。
高橋先生はキャラクターを我が子の様に愛してそうですからね。
そして嬉しかったのはクローズのヒロミの登場ですね。
終盤で物語には何も関係ないんですけど、元気そうで安心しました笑

QP(キューピー)で好きなキャラクターBEST10
10位 河島

こいつは涼の組織のNo.2でした。
結構切れ者を思わせる描写があり、クーデターを企てる所までは良かったのですが、ダブルスパイだった市井にも騙されて、情けなく命乞いして、死ぬという哀れな末路でした笑
こいつが余計なことしなければ、SMOKE-Sとの抗争も無かったと考えると罪深い男ですね。
9位 市井

顔の痣が印象的な男で、涼に対する忠誠心はハンパないです。
前述の通り河島に「最近の涼のアニキはダメだ!」と言って接近しつつ、実はスパイだったという悪い奴です。
この市井もSMOKE-Sとの抗争で命を落としてしまうんです。
で、市井の躯を見た涼は表面上はドライを装い、仲間が死んでも涙を流さない一面を持つのですが、この市井の敵討ちをしっかりする辺りが非常に秀逸でしたね。
8位 木場

小鳥の無二の親友であり、暴走する小鳥のストッパーとなるグッドキャラクターでした。
惜しむらくは出番が割と後半だったので、そこまで作中で活躍できなかったという点ではありますが・・・それでも世代の顔役として、良いポジションのキャラクターでしたね。
日本一顔が怖い保父さんという進路も非常に秀逸でしたね。
7位 野口

野口は、服役した小鳥のガソリンスタンドの同僚の太っちょなんですが、所謂一般人で、前作クローズにはいないタイプのキャラクターでした。なんでガソリンスタンドでバイトしているかは謎ですが・・・
多分作中で一番初めに服役後の小鳥を「悪い人じゃない」と言うのですが、こういう普通のキャラクターが、小鳥に惹かれていく辺りが物語として非常に秀逸でしたね。
6位 幸三

中学~高校時代の小鳥が交友を共にした4人組のうちの1人です。
4人の中で一番大人で、一番世渡りが上手だったのはこの男ですね。
小鳥に対しても冷静に諭したり、先輩と交渉したりと、頭のキレる男でした。
高校時代では喧嘩に飽きて女の尻を追っかける事に夢中になり、彼女ができて結婚して大工さんになるという良き人生を送ります。
5位 ツネ

ツネも中学~高校時代の小鳥が交友を共にした4人組のうちの1人です。
「横道坊主」「ビーツ」「モッズ」「ミッシェル」「ブランキー」を愛するロックンローラーで、ヒロミと一緒にバンドを後に結成します。
結成の際に「坂東とヒロミはベースとドラムを探している」と言っていたので、担当はベースだと思ってましたが、思いっきりギター持ってますね笑
そんな感じでグッドなキャラクターでした。
4位 上田 秀虎

この漫画で一番カッコいいカリスマ的な扱いだったのが秀虎さんですね。
小鳥の2個上なんですが、一度タイマンでやりあってから小鳥が尊敬し、小鳥が唯一敬語で話す、誰からもリスペクトされるパイセンでした。
小鳥に対して「喧嘩に明け暮れるより仲間と笑ってるほうが似合ってる」と、本質を見抜くアドバイスができる男で、この作品の中で「院長先生」と並ぶ圧倒的な存在でした。
そんな秀虎さんが襲撃されたが故に、小鳥も暴走してしまうんですね・・・
3位 山金 幸四郎

幸四郎も不良ではなく、普通の視点を持った一般人で良かったです。
そしてそんな幸四郎が当たり前のように「小鳥」と呼び、窮地に陥った涼を助けに行こうとした小鳥に対して「小鳥、行くな!」と心配する描写とかが本当に良かったですね。
高橋先生も自分の姿を金四郎に重ねたのではないでしょうか?
2位 我妻 涼

そして涼ですね。とにかく圧倒的な闇を持ったキャラクターでした。
とにかく悪のカリスマであり、自分の道を信じる信念に生きる男でした。
そして仲間を大事にする描写が本当に良いですね。
幸三とツネを兄弟として、若い頃の市井が呼び捨てしただけで「鈴本さんだろ」と切れたり、その辺が非常に良い味を出しています。
スピンオフ作品までは流石に見ていないですが、スピンオフになるくらい魅力的なキャラクターなんですね。
1位 石田 小鳥(キューピー)

そして小鳥です。とにかく魅力的な主人公でした。
中学校時代は本当にアホなんですけど、秀虎と出逢った高校位から少しずつ変わり、少年院に行って改心してからは本当に良いキャラクターになります。
春道や花と違う魅力を持つ主人公で、小鳥には幸せになって欲しいですね。
まとめ
以上、全8巻とコンパクトで読みやすく、本当に面白いです。
是非これは多くの男性に読んで欲しい漫画ですね。
そんな感じで高橋ヒロシ熱も高まってきたので、次回はWORSTを紹介しましょう。
