#1267 漫画論94|マイホームヒーロー
ヤングマガジンの漫画から最後にもう1つ!
こちらのマイホームヒーローを紹介しましょう。
マイホームヒーローとは?

『マイホームヒーロー』は、山川直輝(原作)、朝基まさし(作画)によるサスペンス漫画です。
朝基先生と言えば、サイコメトラーEIJIやクニミツの政の作画でも有名な日本を代表する漫画家の1人であり、個人的に朝基先生の絵はメチャクチャ好きですね。
そんなこの漫画は2017年より講談社の『週刊ヤングマガジン』で連載が開始され、2023年にはテレビドラマ化、2023年と2024年にはアニメ化もされるなど、大きなメディア展開が行われています。
(アニメ化される無いようじゃない気がしますが・・・)
主人公の 鳥栖哲雄 は中年サラリーマンで推理小説マニアで、彼は娘・零花の交際相手が半グレのろくでもない男であることを知り、彼女を守るために咄嗟に男を殺してしまいます。
そんな感じで「ごく普通のサラリーマンの父親が、娘を守るために殺人を犯してしまう」という衝撃的な幕開けから始まり、警察やヤクザ、半グレに疑われながらも、家族を守るため数々の知恵と策略を巡らせていく…というストーリーで、ありそうでなかった漫画じゃないでしょうか?
あと、この漫画の設定が面白いのが、父親だけでなく、母親も共犯として手を貸すんです。
なので、1人だったら捕まって終わっていた場面でも、2人なので乗り切れるという展開です。
まぁその乗り切る内容が殺人容疑を人に擦り付けたりなのですが・・・
マイホームヒーローの魅力

1. 平凡な父親がヒーローに変わる構図
主人公は特別な能力を持つわけでもなく、武力にも秀でていません。
しかし、娘を守るという一点のために知恵を絞り、泥臭くも奮闘します。この「どこにでもいそうな父親がヒーローになる」構図は、多くの読者に共感を呼びました。
そんな感じで従来の「強い父親像」とは違い、多くの読者に「もし自分ならどうするか」と考えさせました。
2. 推理小説的な頭脳戦・心理戦
主人公は推理小説好きという設定が物語に活かされており、死体の隠し方、証拠の処理、アリバイ工作など、リアリティを帯びたサスペンス展開が続きます。
推理小説は生きるための知恵になるので、読んどいたほうがいいとも思ってしまいましたね。
ちょっと金田一からおさらいした方がいいかも知れません。
あとは「カルト集団」も出てくるんですが、そのカルトの考え方とかもなかなかイカレており、色々考えさせられるものがありますね・・・
3. 犯罪と正義の境界線を考える
主人公の鳥栖哲雄は殺人という罪を犯してしまうのですが、そんな鳥栖哲雄を狙う相手も半グレも犯罪者集団なので、両方が犯罪者なんです。
なのでどっちの犯罪者が正しいも悪いも無いという考え方もありますが、もちろん主人公サイドに肩入れしてしまいます。
「そもそも娘が殺されそうだったら、相手を殺して当然」という考え方もありますし、色々と考えさせられる内容だったりします。
とにかく、正義とは何かを考えさせられる作品ですね。
マイホームヒーローの印象に残るキャラクターBEST10
次点 鳥栖 零花

主人公の鳥栖哲雄の娘ですね。
父が犯罪に走る切っ掛けになったのはこの子がろくでもないクズ男と付き合ってしまったのが原因です。
元々、半グレ集団が鳥栖家の資産を狙っていたので、このクズ男と付き合わなくても違う形で狙われていた可能性もありますが・・・
そして、ただ可愛くてか弱い娘で終わらせず、のちに刑事になって犯罪者と思われる父親を追い駆けるという展開は凄く良かったですね。
10位 麻取息子

第1話で哲雄に殺された、半グレのクズ息子です。
とにかく周りからも相当評判も悪かったようで、殺されるべくして殺された感もあるのですが・・・
零花はこの男のどこに惹かれたんですかね?謎でした。
9位 麻取父

そんなクズ息子の過保護すぎる父親です。
元々は一流商社かなんかで働いていたんですが、闇落ちして半グレの詐欺担当になり、とにかく悪い金を稼ぎまくった男で、半グレ組織に息子をコネ入社させるという、なかなかハードコアお父さんだったりします。
息子を殺されたので、殺した相手を許さないという、正に哲雄のコントラストとなる存在ですね。
8位 竹田

半グレ組織で、恭一と並んでリーダー的な存在なのがこの竹田です。
竹田と書くとどうしてもリベロのほうではなく、稲中の竹田が浮かんでしまいますが、見た目といい、ファッションといい、なかなかカッコいいキャラクターでした。
朝基先生は本当にこうしたイケてるキャラを書くのが上手いですね。
7位 恭一

恭一は半グレ組織のリーダー的存在で、クズ息子を殺したのは鳥栖哲雄だと一番に疑惑を持ったのですが、なかなか決定的な証拠を掴めずに、最終的には哲雄にハメられ、半グレ組織に犯人扱いされてしまう可哀想なキャラクターでした。
ただ、何故かベースは悪なのに、そんなに悪い奴に見えないという不思議な魅力を持ったキャラクターでもありましたね。
6位 鳥栖 洋二

この洋二は、半グレ組織の次の哲雄の敵のカルト集団の暴力担当みたいな感じですが、この洋二も雰囲気があってカッコいいんですね。
YAZAWAっぽいというか、その辺がクールで悪いのに魅力があるキャラクターでした。
5位 鳥栖 歌仙

哲雄の嫁です。
哲雄の殺害現場を見てしまい、「死体を隠しちゃいましょう」とこの嫁が言い出したが故に、隠蔽工作をしていくという、なかなか肝が据わっている嫁さんですね。
そして、この嫁さんがカルト組織の秘蔵っ子だったりして、更に物語が展開していきますが、この辺はマジで読んでいて展開読めなかったですね。
旦那を信じ、娘を愛する、良い奥さんだと思います。
4位 志野

ここからは悪い奴らを紹介していきましょう。
まず、今回「鳥栖家の資産を狙おう」という事の発端になった悪い奴なんですが、しっかりと努力や勉強をする悪であり、仲間を大切にする悪という感じで、これまた今までの漫画には居なかったタイプの悪で、その辺も魅力的でしたね。
3位 鳥栖 郷一郎

こいつもろくでもない男でしたね。
やはりカルト集団のTOPは本当にロクな奴がいない、というのを完璧に表現してくれた、そんなキャラクターです。
とにかく最初から最後まで狂っていて、救えない感じの教祖でしたね。
2位 窪

そしてこの窪が凄いんです。
序盤は麻取父と息子に苦しむ、ちょっとした半グレ組織の中間管理職的な立ち位置で登場したんですが、とんでもないサイコキラーだったという笑
悪の教典に出てくる蓮見と同じレベルのサイコキラーですね。
そして、こういう殺し屋の悩みみたいなのを表現する手法も新しいと思いましたね。
1位 鳥栖 哲雄

そして、やはりこの主人公がなかなかセンセーショナルでした。
最初は「しょうがなく娘を殺そうとしたクズ彼氏を殺してしまったお父さん」という感じで、その殺人だけで終わると思いきや、そこから殺人鬼の窪に一目置かれてしまうようなサイコパスに昇華し、色々と突っ走る感じが非常に秀逸でした。
この辺の暴走と言うか、自衛の為の戦いがやはり先が読めず、非常に魅力的でしたね。
◆ まとめ
そんな感じの『マイホームヒーロー』ですが、
普通の父親が家族を守るために犯罪に手を染める
推理小説的な頭脳戦とサスペンス要素
家族愛と倫理の葛藤
といった要素が融合した異色のホームドラマ・サスペンス漫画です。
ドラマとかも割と原作の世界観に近そうで、面白そうですね。

興味がある方は全26巻と手ごろで読みやすいので、チェックして見ましょう!
