国連が「AIに『ありがとう』は言わないで」と呼びかけた本当の理由──AI時代、日本の希望はIOWNにある。
国連が「AIに『ありがとう』は言わないで」と呼びかけた本当の理由──AI時代、日本の希望はIOWNにある。
「AIに『お願いします』や『ありがとう』を付けなくてもいい。」
そんな国連大学の提言が話題になりました。
「そこまで気にする必要があるの?」
そう思った人も多いでしょう。
しかし、この提言の本質は礼儀の話ではありません。
生成AIが、人類の新しい”資源消費型インフラ”になったことへの警鐘なのです。
生成AIは、質問するたびに世界中のデータセンターで膨大な計算を行います。
その計算には大量の電力が必要であり、発熱したサーバーを冷却するためには大量の水も使われます。
一人が「ありがとう」と入力したところで、消費電力はわずかです。
しかし、それが世界で何十億回、何百億回と積み重なれば、無視できない規模になります。
だから国連は、「不要な言葉は省略してもよいのではないか」と提案したのです。
しかし、私が驚いたのは「ありがとう」を省略する話ではありません。
その背景にある数字です。
2025年、世界のデータセンターが消費すると見込まれる電力量は約4,480億kWh(448TWh)。
これはフランスやサウジアラビア一国の年間電力消費量に匹敵します。
さらに2030年には**約9,450億kWh(945TWh)**まで増加すると予測され、日本全体の年間電力消費量に迫る規模になるといわれています。
冷却に使われる水は年間約9兆3,000億リットル。
CO₂排出量は約3億9,900万トン。
データセンターが占める土地は1万4,500平方キロメートル以上になるとの試算もあります。
私たちはスマートフォンで数秒AIと会話しているだけです。
しかし、その裏側では発電所が動き、送電網が電気を送り、巨大なサーバー群が計算を続け、大量の水が循環しています。
つまり、AIはクラウドの中に浮かぶ魔法ではありません。
電気・水・半導体・土地という現実の資源の上で成り立つ巨大産業なのです。
ここで私は、一つの学びを感じました。
昭和の学校では、
「電気をこまめに消しましょう。」
「水を大切に使いましょう。」
と教えられました。
平成になると、「通信容量(ギガ)」という新しい資源が生まれました。
そして令和。
新たに管理すべき資源として加わったのが、
**AIの計算資源(コンピューティングパワー)**です。
これから企業が考えるべきことは、AIを導入することではありません。
AIという新しい資源を、いかに効率よく使うか。
その視点です。
例えば、
* 同じ質問を何度も繰り返さない。
* 一度で伝わるプロンプトを書く。
* AIエージェントで定型業務を自動化する。
* 人とAIの役割を最適に設計する。
これは、トヨタが長年取り組んできた「ムダ・ムラ・ムリ」をなくす改善活動と、本質は変わりません。
AIにも「カイゼン」が必要な時代になったのです。
そして、この課題を前にして、私は日本の技術に期待しています。
その一つが、NTTが推進する次世代情報通信基盤**IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)**です。
IOWNは、光技術を活用して通信や情報処理を大幅に省電力化しながら、高速・大容量・低遅延を実現しようという構想です。
生成AIの普及で世界中のデータセンターが膨大な電力を必要とする時代だからこそ、通信インフラそのものを省エネ化する技術は、ますます重要になります。
もちろん、IOWNだけですべての問題が解決するわけではありません。
しかし、日本には、AIを使う技術だけでなく、AIを持続可能に支えるインフラ技術があります。
私は、ここに日本の大きな可能性を感じています。
国連の提言は、「ありがとう」を言うか言わないかという小さな話ではありません。
私たちに問いかけているのは、
「便利さの裏側まで想像できますか。」
ということです。
便利なサービスには、必ず見えないコストがあります。
そのコストを理解し、限られた資源を賢く使い、さらにその課題を解決する技術を生み出す。
それこそが、AI時代に本当に求められるリテラシーではないでしょうか。
そして私は、その未来を支える技術の一つとして、日本発のIOWNに大きな期待を寄せています。
国連が「AIに『ありがとう』は言わないで」と呼びかけた本当の理由──AI時代、日本の希望はIOWNにある。
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