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土星先生と螺旋階段の踊り場で

占星術の世界では、土星のことを親しみと畏怖を込めて「土星先生」と呼ぶことがある。

この先生は、なかなか厳しい。
私たちが目を背けたい課題を突きつけ、制限や責任という名の重石を載せてくる。けれど、その重みに耐え、一歩を踏み出したとき、私たちは以前よりもずっと確かな足場に立っていることに気づく。

生まれてから約29年半。土星が空を一周し、自分の生まれた時の位置に戻ってくる「サターンリターン」。
1回目は30歳前後。社会という荒波の中で、自分が何者であるかを問い直される時期。 そして2回目は60歳前後。ここはいわば、第2の人生に向けた「編集会議」の時間。

人生はよく、螺旋階段に例えられる。
同じところをぐるぐると回っているようでも、一周回ったとき、景色は少しだけ高い場所へと変わっている。以前起きたことと同じような厄介事が起きても、今の自分は、かつての自分より少しだけ賢く、しなやかに対処できる。直線ではなく、渦を巻きながら進む螺旋。

私も、二度の通過儀礼を終えた。 気がつけば、あんなに嫌だった「思い通りにいかないこと」を、どうにか工夫して乗りこなすことが、密やかな愉しみになっている。

思った通りに行かないことは、相変わらずたくさんある。 けれど、そこであきらめるのか、それとも別の道を探るのか。 その選択の隙間にこそ、人生の醍醐味が詰まっている。ようやく、そう思えるようになってきた。

その間にも、世間は勝手に次の季節へ移っていった。

私はこれから先、冥王星が牡羊座に入るのを見届けたいと思っている。
あと40年ほど。
土星先生は、もう1回まわる計算だ。

亀の甲より、年の功。
空を見上げれば、土星は今日もそこにある。


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