掌編小説「あなたは話すのに扇子が必要か?」
ある落語家の寄席を観た。
1秒単位どころの調整ではない。
だが、実際には数秒からコンマ数秒の誤差があるだろう。
落語家の扇子は万能だ。
話を聴かせて楽しくするために、落語家がいる。
客は笑いたいから観に来る。
野次を飛ばしたいやつは何故居るか?
うまい噺と拍子を打つのは、セッションと同じだ。
それがコミュニケーションの醍醐味。
他人はコントロールできない。
だから何か人間関係でトラブルが起きるときは、外部で面白くないことが起きているのを忘れたい奴が当てつけにつけ火しているだけだ。
いらんことはせんでいい。
ただ阿保なことで面白おかしく笑っていればそれでいい。
笑う角には福来たる。
暗い顔をしていては、楽しいことを見失うぞ。
楽しむことに扇子はいらん。
……。
……やっぱり噺家には必要か。
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