掌編小説「幸と不幸の話」
誰も他人のことなど、本来どうでもいいものだ。
生まれ、生きて、死ぬまでに、死んだ後。
それから。
何があったかというだけの話。
⭐︎
仲が悪い神さまが寄せ集まって喧嘩しちょる。
だったら仲良うしやすくすればえぇ。
神A
〇〇があって、あいつはあの時××を△△した。許せん。
神B
あの時はお前たちが、あーだこーだで、こうなったんじゃないか!許せん。
神C
お前らがあの時、ああしなければ今頃は…。なんてことだ。許せん。
神D
だからあの時、ああしろこうしろと言うたではないか。苦労を無駄にしおって。許せん。
神さまたちは互いに混じり合い、結局何が悪いのかもわからず、ただただ互いに恨み事を言いあっていました。
これでは悪霊の呪いです。
ここに三柱の神が現れて諭します。
⭐︎
神E
いったい何があったのじゃ。誰がどれだけ苦しんだ。それはもう、とうの昔に過ぎ去ったのではないか?
神F
繰り返すことは日々の積み重ね。おぬしら、ようこんな気持ちの悪いもんにこだわるな?
神G
きっとつまらんもんを捏ねくり回すのが好きなんじゃろ。捨ておけ、捨ておけ。ワシらは遊んでいようかの?
⭐︎
呪い合っていた神さまたちは馬鹿らしくなりました。
それらの呪いとは、形のない神さまたちのアイデンティティで、自らを象徴する役割でもありました。
ですが、この場所では違う自分たちでも良いかな?と思うようになりました。
神さまたちが、仲良く居られる楽しい時間の流れる場所。これがパワースポットになりました。
神さまたちは永遠を生きています。
そして権能を持っていて、それらで人々に福を齎すことをアイデンティティとレーゾンデートルにしています。
「ライフワークじゃからの。」
神さまたちが地獄のような試練を与えることもあれば、天国のような一時を与えてくれることもあるのかもしれません。
これは幸せのお話です。
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