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魔急精神病院〜カケル〜 第17話

内山 はい。実は、20年ほど前に睡眠薬のマイスリーを何回か服用しました。当時は弊社の企画部の部長になったばかりで、慣れない仕事にストレスを感じ、寝付きが悪くなっていました。
しかし、マイスリーを飲んで寝ると、翌日は体が鉛のように重く、必ず頭痛を起こしていました。当時はまだ、精神医療が危険なものであるとは知らなかったのですが、本能的に「マイスリーを飲み続けるのは危ない」と感じ、マイスリーの服用を止めました。それ以来、向精神薬は飲んでいませんし、精神科にも行っていません。

大井 早めに止められて良かったです。何種類もの向精神薬を何年も何十年も服用する人も本当に多いので、数回の服用で止められたのは幸いでしたね。

内山 そうですね。しかし、私の妹はそんな向精神薬を最大で1日50錠以上服用していました。

大井 ご、50錠!?

内山 えぇ。15年前、妹は義弟に都内の某精神病院に入院させられました。妹は更年期障害はありましたが、私からマイスリーを服用した時の怖いエピソードを聞いていたからか、向精神薬を飲んではいませんでした。勿論、精神科に通院したことも入院したこともありませんでした。
しかし、当時の妹は義弟と離婚寸前で、親権を争っていました。ただ、甥たちはもう高校生と中学生で、自分で意思決定できる年齢でした。優しくて働き者の母親と、高収入だが、傲慢で育児を母親に丸投げしていた父親。子どもたちがどちらを選ぶかは明白でした。
義弟もそのことを分かっていましたが、彼は会社を経営しており、子どもたちに跡を継がせるべく、親権を取りたいと考えていました。そこで、義弟は悪魔に魂を売ることにしました。何と、通院していた精神科の院長と共謀し、勝手に妹に「統合失調症」のレッテルを貼り、精神病院に入院させてしまったのです。
そして、妹が入院してから半年以上が経ち、私はようやく彼女が入院させられたことに気づきました。両親は既に他界し、妹には私たち家族と息子たちしか身内がいませんでした。私たちは必死に彼女を退院させようと尽力しましたが、時すでに遅しでした。

大井 時すでに遅しとは…まさか!

内山 先ほども言いましたが、妹は1日に50錠以上もの向精神薬を飲まされ、まだ40代だったにも関わらず、車椅子でないと移動できなくなりました。最後に会ったときの妹の姿が今でも忘れられません!髪はすっかり白くボサボサになり、目は虚ろ、深いクマができ、涎をダラダラと垂らし、おばあさんのように皺だらけで痩せこけていました。しかも、知能は小学生と同じレベルにまで低下し、時折奇声を上げたりブツブツと独り言を呟いていました。そんな妹を見て、私たちでは手に負えないと退院を諦めざるを得ませんでした。

大井 酷い病院ですね!

内山 そんな妹は、最後に会ってから1週間後に、保護室の中で亡くなりました。入院してから1年も経っていませんでした。私はこの時もまだ、「妹がこうなったのは統合失調症を発症してしまったからだ」と考えていました。
しかし、この出来事から2年後、私はようやく精神医療そのものが間違っているのだと認識しました。

大井 何があったのですか?

内山 私の部下だった女性が自宅で大暴れしました。


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