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魔急精神病院〜ココロ〜 第9話

「動画はどう?私、今日は眠いからもう寝るね」
 お風呂から上がり、パジャマ姿の日和が唯史に声をかけた。
「うん、面白いよ。明日は休みだし、時間もまだ22時過ぎだから、このまま見ちゃうね。お休みなさい」
 唯史は日和にこう言うと、再び画面に視線を移した。
 紗良たち6人は他の職員に混じって、正面玄関から病棟内に入った。受付ロビーには患者はいなかったが、沢山の病院職員で賑わっていた。
「これでも、かなりの人間が休暇中だ。いかに職員が多いかよく分かるだろ」
 仙石は紗良たち4人にこう言った。4人は無言で頷いた。 
 そして、6人がロビーのエレベーターの前まで行くと、仙石が小声で指示を出した。
「あずまさんは渡辺さん、山本さんとナースステーションに行き、遺品に関する資料のコピーを取り、倉庫に向かってほしい。高橋さんと伊藤さんはわしと倉庫に来てくれ。倉庫は地下1階にあり、ナースステーションはこの階にある。では、健闘を祈る」
 そう言うと、仙石たちはエレベーターに乗り、東方たちはナースステーションに向かった。
 仙石たち3人は地下1階でエレベーターを降りると、そこにはしんと静まり返った薄暗い廊下と「第一倉庫」と書かれた観音開きの大きな白い扉が現れた。また、8月の暑い日にもかかわらず、洞窟の中のようにひんやりしていた。
「ここに遺品がある。早く入ろう」
 仙石はそう言うと、つなぎ服のポケットから鍵束を取り出し、素早く倉庫の鍵を見つけると、重たい扉をゆっくり開けた。
 そこは、まるで巨大スーパーのようだった。天井までの高さは5m以上あるが、天井に届く位の高さの棚には、所狭しと道具や備品が置かれていた。
「この中から遺品を?今日1日で見つかるでしょうか?」
 紗良は唖然としながら倉庫を見つめていた。それは千夏も同じだった。
「打ち合わせでも言っただろ。遺品のスペースまで案内するよ」
 仙石はそう言うと、棚の間の通路を歩き出した。2人は慌てて彼の後をついて行った。
「ここが仏になられた患者さんたちの遺品の棚だよ」
 仙石は倉庫の一番奥の棚に案内した。その棚は「D13」と番号が書かれており、患者の名前が黒い油性ペンで汚い字で書かれた段ボール箱が所狭しと並べられていた。
「遺品の入った段ボール箱には、名前と亡くなった日付が書かれている。首藤さんと白石さんは今年の4月末か5月頭、不動さんと木野さん、秋原さんは5月上旬だから、この辺りだな」
 仙石は新しい段ボール箱が並べられた箇所を指差した。すると、5人の遺品はすぐに見つかった。
「早く見つかって良かった。グループRINEで棚の場所と、遺品が見つかったことを2人に報告しますね」
 紗良は安心しながらそう言うと、スマホを取り出した。
「しかし、一つ問題があって…」
 仙石は腕を組み、難しい顔をしていた。
「問題?」
 千夏は不安そうに仙石を見つめた。
「不動さんの手記だけ見つからないんだ。さっき、あずまさんたちに資料のコピーを依頼したのは、その手がかりを見つけるためじゃ」

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