魔急精神病院〜カケル〜 第18話
大井 え〜!?
内山 彼女は入社2年目の若手社員でした。彼女はお酒が苦手だったので、決して酔って暴れたわけではありません。また、我が社は残業が比較的少なく、私が言うのもなんですが、決してブラック企業とは言えないため、過重労働でもなかったと思います。
しかし、私も知らなかったのですが、彼女は高校生の時に学校でいじめられたのをきっかけに、抗うつ剤のサインバルタや抗精神病薬のエビリファイ等を服用するようになりました。そこから8年以上服用してきましたが、長年体内に蓄積されてきた向精神薬が、遂に彼女に牙を剥きました。
私が彼女の異変に気づいたのは、始業時間後にかかってきた彼女のお母様からの電話でした。その日、彼女は始業時間になっても出社せず、休みの連絡もなかったため、「何か事故に巻き込まれたのでは?」と少し心配していました。しかし、お母様の電話でその原因が分かったのです。お母様は「大変です!娘が家で夫のゴルフクラブを振り回しています!」と仰いました。
大井 修羅場ですね…。
内山 私は「すぐに向かいます!」と返答し、会社を出ました。彼女の自宅に着くと、中から家財が壊れる音と女性の悲鳴が聞こえてきました。私はすぐに中に入れてもらいました。
中はまさに地獄絵図でした。私が特に驚いたのは、その時の彼女が一糸まとわぬ姿だったことです。
大井 信じられません。何故そんなことになるのでしょう?
内山 友人の内科医によると、向精神薬の副作用の一つに感覚過敏があるそうです。つまり、五感が過敏になり過ぎるため、彼女の場合、着ている服が気持ち悪く感じてしまったのでしょう。
大井 そんなことが起きるんですね。怖いですね。
内山 そうですね。彼女は理解不能な言葉を叫びながら家財を壊していたため、私は猫騙しをしました。幸い、彼女は正気に戻りました。しかし、目の前に男性、しかも会社の上司が立っていることに気づき、彼女は顔を真っ赤にしながら泣いてしまいました。
私は彼女に服を着るように優しく言った後、お母様とお話ししました。その時に先ほど申し上げた話を聞きました。
その後、彼女はそのまま退職しました。部下に聞いた話では、彼女は退職後に転院し、向精神薬を減断薬し、今では結婚してお子さんもいるそうです。
大井 それは本当に良かったですね。
内山 はい、私も胸をなでおろしました。身近でこのような経験をしたため、さすがに私は精神医療を疑うようになりました。私は件の友人の内科医と、居酒屋でこの2つのエピソードを話しました。すると、友人はこう言いました。
「向精神薬は医者が処方する麻薬だ。そして、精神医療は人を治すための医療じゃない」
そして、私は彼から精神医療の真実を教えてもらいました。その後、彼がこう呟きました。
「いくら医者や活動家が精神医療の危険性を訴えても、状況は悪化する一方だ。もうこうなったら、エンターテイメントを通して人々に伝えるしかないのだろうか」
その言葉を聞いた私は、精神病院を舞台にしたアトラクションを作る決意をしました。
