不登校親、三者懇談の日程を間違える。
中学校で夏恒例の三者懇談があった。
学校に行っていない中2娘からすると、出たくない会合だ。保護者の私にとっても、積極的に行きたいものではない。
今回は特に行きたくなかった。なぜなら、事前に担任の先生から、ある話題について話すことになっていたからだ。
うちの地域では、中2になると職場体験をすることになっている。これは中2の一大イベントで、数ヶ月前から準備を始め、職場体験自体も1週間程度と比較的長い。
進級する以前から、この職場体験だけは参加するように先生から勧められていた。
いよいよ希望の事業所についての調査書を受け取った際、娘に参加意思があるか聞いてみたものの、「行かない」とのことだった。
そんなわけで不参加の旨を学校の連絡アプリで伝えたら、先生から「三者懇談のときに詳しく伺います」と食い下がられ、受理されなかった。
そういう顛末があったから、今回の三者懇談はいつも以上に構えていた。
以前から娘に三者懇談について伝えていたせいか、今回はスムーズに用意をしてくれた。
車で学校に向かった。下校中の生徒がいるかと思ったら誰もおらず、校内は薄気味悪いほど静まり返っていた。
集合場所が教室か職員室か分からず、ひとまず職員室へ向かった。職員室のドア窓をのぞくと、何やら物々しい雰囲気。先生全員が席に着き、奥に立っている一人が話している。
ドア窓から覗いているのが、ドア正面の先生にバレて、出てきてくれた。
「今、職員会議中なんですけど…」
「あれ?すみません、2年の〇〇なんですけど、確か今日三者懇談だったような…」
「ちょっと確認しますね」
するとしばらくして、担任の先生が出てきて、
「あれ、一週間早いですよね?」
「あれ、そうでしたっけ?」
「あ、でも、せっかく来てくれたんで、やっちゃいましょうか。ちょっと待ってくださいね」
自分の物覚えの悪さに辟易する。グーグルのスケジュールアプリを改めて確認すると、確かに一週間後だった。何をどうやって脳内変換したのだろう。寸分の疑いもなく、自分の記憶を信じきった私。
先生に平謝りしながら、3人で教室へ向かう。3つの机をくっつけて懇談スタイルにした。先生の正面に娘、娘の隣に私が座った。
開口一番、職場体験について聞かれた。娘が返答に困っていたようなので、私が毅然と答えた。
「ハードルが高すぎるんです」
実は、事前に臨床心理士さんにこの件を相談していた。言われたのは、「職場体験はハードルが高すぎると思う」「学校にちゃんと意思表示したほうがいい」ということ。
確かに、先日焼肉店に行って店員さんとやり取りが出来たばかりの娘にとって、職場体験は赤ちゃんに割り算を解かせるくらいのハードルの高さだ。
それに、私の態度も中途半端だった。先生の気分を害さないように、断るのも回りくどい表現をしていた。娘は明確に「行かない」意思表示をしているし、中学卒業まで学校に行く気はないと言っている。だから、こちらの立場をはっきりと示してもいいはずだ。
長く、毅然とした態度を取れなかったけれど、臨床心理士さんの後押しで私の覚悟が決まった。
私が「ハードルが高すぎるんです」と答えたら、意外にも先生は「そうですよねー」と言って、すんなり受け入れてくれた。大分拍子抜けした。深読みしすぎたか?
そしてここから、尋問のような時間に入った。
「夜何時くらいに寝てるの?」
「朝何時に起きてるの?」
「家では何をしてるの?」
生活調査項目を一個一個潰すように、矢継ぎ早に質問された。私は先生の質問を聞きながら、娘の反応を心配した。でも、意外にも娘は淡々と自分から答えていった。
「夜の12時くらいに寝てる」
「起きるのは昼12時くらい」
「AIに指示出して小説書いてもらって、ニヤニヤしてる」
先生も娘の回答に対して否定することなく、受け止めてくれた。
「私も20代の頃、休みの日はそんな感じだったなー」とか「AI使ったことないんだけど、そんなこともできるんだー」とか。
また、進路についても少し触れられた。
「通信制高校も面接はあるけど、面接の練習とか力になれるから」
と、娘に伝えてくれた。娘は黙って聞いていた。
前半は私が代弁していたけれど、後半はほぼ娘と先生のやり取りだった。
去年の三者懇談は、ほぼ私と先生のやり取りだった。焼肉の時といい、三者懇談といい、少しずつ娘が他人と自分から話せるようになってきたようだ。
三者懇談の日程を間違える凡ミスをし、気合を入れすぎて空回りし、なんだか私だけ暴走している感覚が否めないなあ。まあでも、焦らない焦らない。私は引き続き、娘に対しては何もしないだけだ。
いいなと思ったら応援しよう!
応援していただくと泣いて喜びます!いただいたチップは、中1娘と平日外出する費用に使わせていただきます!