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創作大賞に応募したいんですが 5

あなたはSNSというものを、どうとらえますか?

真実がある場所でしょうか。
虚構にすぎないものでしょうか。

僕はあるときネットで(たしかTwitterだったと思います)とあるアカウントをフォローしました。フォロワー数は数百人くらいの読書垢です。

読書垢なので読んだ本についての投稿が多いのですが、そのアカウントは日常ツイートもよくしていて、ちらほらとアカウント主の生活が垣間見えました。

これから好きな人に会うのにメイクの出来がいまいちだとか、今日のご飯はアポロチョコだとかいう投稿と一緒に、細く白い腕や子どものようにすらりとした脚の映った写真があがっていました。

本の趣味が合うこと。そしてその子の現実感のないふんわりとした日常に興味があって、僕はフォローしたのだと思います。

ある日、その子が音声投稿をしました。

詳しい内容は忘れましたが、たしか好きな作家の新作を買った、というものだったと思います。普段写真と文字でしかみていない人の声。気になります。

再生して僕は驚きました。その子は男性だったのです。

思えばずっと一人称はボクだったし、写真にのっている服装は少年とも少女ともつかないものでした。でも投稿内容から僕は勝手に「そういうかんじの僕っこタイプの女の子」と思い込んでいました。

多様性的な意味でその子が本当に『男性』かという点は、すみません、ここでは言及しません。ただそのとき僕は、ネットとはいかに断片的なものか、あらためて知ったのです。

当人が隠すつもりのない情報すら見えないのですから、いわゆるネカマのような作りこまれた嘘は、もっとわからないだろうと思いました。

どうしてこんな話をしたか。

というと、やはり僕はまず疑ってみるべきだと思うんです。

姉の例の記事は、真実なのか。

記事によると、姉は結婚して夫と子どもがいていまは幸せに暮らしているようです。

それは本当でしょうか?

SNSの中にはキラキラした投稿も幸せそうな投稿も溢れています。それらの何割が、本当にキラキラして幸せでいるのか、わかったものではありません。「幸せです」と投稿したその指が、次の瞬間には暗い日常に触れているかもしれないのです。

自分の生まれ育った環境と家族を捨て、忘れ、幸せでいるなんてことが本当だとしたら、僕たち家族はなんなんでしょうか。

いえ、そもそもの話、子どもは本当にいるのか? 夫は? 本当に結婚している?
そこからだって真実かどうかわからないのです。

noteにもいろんな背景の人がいますが、彼らのプロフィールってどこまでが真実なんでしょうね。自称「作家」、自称「大学生」、自称「書くことで世の中を変えたい」。嘘をついている人は、いませんか? 虚構にすぎなかったりしませんか?

エッセイもそうです。実体験をもとに書いたとして、よく読まれるためには脚色も必要ですよね。創作大賞にたくさん出ているエッセイも、まったくのフィクションだって、あるかもしれません。

信じたければ信じていい。けれど疑おうと思えばすべてを疑える。SNSはそういう世界です。

ふと思ったのですが、僕たち家族に連絡を取らないままで結婚なんてできるものなんでしょうか。よく調べたことはないですが、戸籍とかなにか証人とか、問題はないのでしょうか。

実を言うと、僕がここまで疑うのには理由があります。

というのも、姉の書いた記事には明確な嘘が一つあるからです。とても些細で、僕と、そうですねあえて言うなら母にしかわからない嘘です。

忘れ物ナンバリングの4番。あれは「ペットボトル」ではなく本当は「毛糸」です。姉はどうしてか、その点を嘘で書き換えていました。

一つの些細な嘘。

でもほんのわずかに見える糸を辿った先に思いがけないものがある、そういう可能性を、僕は考えてしまうのです。

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