[書評] 自省録
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。
私は自分のことを
「中途半端に賢いヤツ」
だと思っている。
そのこころは、
「馬鹿で考えなしなら、
人生にこんなに悩んでいない」
「相応に賢いなら、
今抱えている悩みにも答えを見つけて
処置できてしまうだろう」
というもの。
それが的を射ているか否かは
分からないが、
どうあれ 日々悩みは尽きないもの。
私はどう生きていくべきなのか。
私という人間に
どのような価値があるのか。
思考思索は趣味を超えて、
もはや習性のようなもの。
往々にして 自身について
考えるときというのは、
険しい顔になっていると思われる。
この習性が発現してから
かれこれ 20年くらいは
経つ気がするが、
いろいろと思うところがあって
ここ1年くらいから その思考を
SNS で発信するようになった。
どこかの誰かの何かの
ヒントになれば幸いである。
(実際どうかは分からないが)
そんなことを始めたのは、
自身の内での問答が他者にとっての
気付きになるということを
世界と歴史が
証明してくれたからだった。
今回は その原点ともいえる本を読んでみた。
世界史を好きになった理由
高校時代は
理系コースに在籍しながら
一番好きな教科は世界史だったが、
それは振り返ってみれば
先生の影響が大きかったかもしれない。
中学時代も それなりに
社会科の先生は親しみやすくて
授業は楽しかったものの、
学問的にそこまで
興味が惹かれた記憶はない。
この先生は 他の先生と異なり
毎回 オリジナルの
レジュメを用意して、
ユーモアたっぷりの
授業をしてくださった。
その名前の略称から
「ヤマケン」と呼ばれていた先生は、
今は元気でおられるだろうか。
先生は私の卒業と同時に
定年退職を迎えられ、
私自身も卒業後に
地元を離れてしまったので
つながりがなくなってしまったのが
残念でならない。
原典に触れてみる
「なんでもオリジナル、
原典を読んでみよう」
そのヤマケンから
いただいた言葉の中でも、
特に私の印象に残っている
ひと言である。
過去に 自省録の入門書を
読んだことがあるが、
入門書だけあって
自省録の位置づけや
著者についての解説が多く、
自省録そのものの内容については
ごく一部を扱うに留まっていた。
当然 その自省録の
言葉に対する解説もあり
それはそれで
受け入れやすかったのだが、
やはり 全文が
紹介されているわけではない。
なまじ その本が分かりやすく
面白かったために、
それならば原典を読んでみようと
思うに至ったのが今回である。
自省の持つ意味を考えたとき、
この先も自らの自省を
発信していくうえでも、
ぜひ自省録の原典を
読んでおきたかった。
まぁ原典とは言っても
ギリシャ語は門外漢なので、
日本語訳ではあるのだが。
今ひとつ ピンとこない
実際に読んではみたものの、
結論から言えば
私は何度も読もうとは思わなかった。
入門書を読んだ時には
「なるほど、面白いことが書いてある」
と思ったものの、いざ読んでみると
その感覚が なかなか湧いてこないのだ。
もちろん 12巻分もあるから、
多少は共感できたり
自身の立場に置き換えて
考えさせられるものはある。
だが、これを書いた者は
世界的な帝国を治める皇帝であって、
しかも戦争に従軍した最中に
書いたわけである。
当たり前だが私は日本国において
しがない一市民でしかないし
(少々古い表現をすれば、
家庭という一国一城の主ではあるが)、
当然ながら戦争の中にいるわけでもない。
(先の大戦時には生まれていないし)
(邦訳を除く)入門書や
解説を介さない彼自身の言葉には、
彼自身が置かれた状況が
大きく関わっている。
どうにも そのギャップが
大きいせいなのか、
彼の言葉を読んでも
今ひとつ ピンとこなかったのだ。
自省録を知る
もし これが国語か哲学の授業で
「これを読んで自分の意見を述べよ」
と言われたら、
それなりに答えることはできる。
だが 私は何も学問的な理由で
この本を手に取ったわけではない。
私は「知を愛する」という
語源的な観点から
自身を哲学者と規定しているが、
本を読む際は
「読んでいて楽しい」
「楽しさの中に気付きがある」
ということを大事にしている。
その点からいえば、
この本は私にとっては
些か高尚で難解過ぎた。
何度も繰り返し読む本ではなく、
「本来の自省録とは斯様なもの」
と知ることができただけで
私としては十分な収穫である。
どれだけ世界中で
名著・名作とされるものでも、
人の感性によっては
感動が生まれないものは当然ある。
これは本と読者の双方に関しての
善悪や優劣を意味しない。
純粋に相性の問題である。
ただ、これだけは大いなる収穫だ。
私は読書における中途半端は
どうにも苦手である。
一度読み始めた本は、
どれだけ つまらなくても
最後のページまで読み終えないと
ムズムズするし
(結果的に流し読みで妥協するのだが)、
入門書を読んでも
原典を読まない限りは
その本を知ったことには
ならない気がしてしまう。
自称哲学者として、
そして自省という習慣を
大事にしている者として、
この「自省録」だけは
読んでおきたかった。
そして今回、その原典を完読した。
これで入門書を読んで以降、
ずっと続いていた
ムズムズ感から解放された。
この自省録は、その英題から
かつては「瞑想録」とも
呼ばれたことがあるという。
それをいうと 本書を読み終えた後の
私の この爽快感は、
まさしく瞑想を終えた後のような
感覚である。
こんな人にオススメ!
・哲学に興味がある人
・自省というものを学びたい人
・皇帝の悩みや葛藤、
胸の内を除いてみたい人
こんな人には合わないかも…
・哲学に全く興味がない人
・難解な文章表現が苦手人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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