[書評] 算数障害の人が見ている世界
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家 として、
自らを定義しています。
大した自慢にも
ならないと思っていたのだが、
こと算数に関しては
ほとんど苦労をしたことがない。
これが数学になると
特に幾何学あたりで
どうしようもないほどの
適性のなさが顕著となり
苦手意識を持つようになったが、
小学生の頃は全く苦労したことがない。
これは エンジニアとして
自身が持っている謎のプライドを
スパルタで叩き込んでくれた父親と、
両親ともに習っていたからと
やりたくもない珠算塾に
放り込んでくれた母親の
おかげだったと思っていた。
(どちらも大嫌いだ)
だが 今回取り上げる本を読んだら、
決してそれだけが
理由ではないのだと思った。
与えられた教育の
是非は ともかくとして、
その教育を理解するだけの
素質があったから
算数が得意な小学生でいられたのだ。
世の中には、算数が苦手な人がいる。
それは「やる気がない」とか
「理解力がない」とか、
そういった軽率な議論では
収まらない理由に
起因する場合があることを知った。
個人的に、近年稀にみる
啓蒙的な1冊である。
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世界観を知るのが好き
大人になって
読書が楽しくなった頃から、
いろいろな世界観を知るのが
好きになった。
マンガやアニメなどで
よく語られるような 世界観ではない。
(個人的には あの文脈での表現は
「世界 "感" 」が適切だと思っている)
本来の意味での世界観。
つまり
「世界がどう見えているのか」を
知ること。
物理的には同じものを
見ているはずなのに、
その目を通して見る景色には
驚くほど ひとりひとり違っている。
「この人の目には、世界がどのように
見えているのだろうか」
決して共有することのできない
クオリアを想像するのが楽しく、
ひとつ知ることで 自分の中で
世界が広くなるような感覚があるのだ。
算数障害の人が見る世界
そういう意味で、
まさしく興味をそそられる表題。
一切の他意を含まず言うが、
私は算数が苦手な人の感覚が
理解できなかった。
そりゃあ 学校のテストともなれば
計算ミスだったり 文章問題の読み違え、
公式や定理の勘違いなどで
点数を下げることはあるだろう。
でも 少なくとも教科書を読めば、
理解できないことはなかった。
九九だけは 何度も暗唱して
頭に叩き込んだものの、それ以外は
すんなり理解できた気がする。
…というより、
苦労した記憶がないから
たぶん そうだったのだろう。
でも、世の中には
そうではない人がいる。
暗算が苦手、九九を覚えられない。
このへんは まぁ分かる。
暗算は脳内で数字を処理するあたり
(私の趣味である)
将棋で手を読むときの
イメージと重なるし、
九九はそれこそ暗記の世界。
自慢じゃないが
記憶力の低さには定評があるから、
むしろ自分が
よく記憶できたものとさえ思う。
でも、桁が違う数字の大小が
感覚的に理解できないということ。
「いちご 6個」と「ゾウ 6頭」の
「6」が全く違う数字のように
感じるということ。
これらの感覚は、これまで私には
一切感じたことがないものだった。
感じた経験どころか、
聞いたことすらなかった。
友人が多い方ではなかったとはいえ
小学校から大学まで出てきて、
周りも含めて
ただの一度も聞いたことがない。
ということは、
それなりに認知度は低いのだろう。
そして それは、周囲の無理解ゆえに
「なんでこの人は
こんな計算もできないのか」
という残念な目で
見られていることになるだろう。
私にも心当たりがある
周囲が何の苦労もなくできることが、
自分には どうしてもできない。
むしろ 周りがどうしてできるのかが
自分には理解できない。
その心細さたるや、
どれほどのものだろう。
そんな風に悩める人たちへ
思いを馳せていたら、
昔 私も似たような経験が
あったのを思い出した。
体育の授業で
バスケットボールをやったとき。
私はレイアップシュートが
どうしてもできなかった。
球技全般が苦手だったことを
差し引いても、この技術だけは
全く次元の違う難易度だった。
どのタイミングから
シュートの体制に入って、
どのタイミングで
どちらの足で踏み切ればいいのか、
全く持って理解ができなかった。
それでも私以外のクラスメイトは、
(シュートが入るかどうかは別として)
ごく自然にシュートを放っていく。
彼らの動きを
いくら食い入るように見ても、
全く仕組みが分からない。
私自身も、
なんで自分ができないのかが
うまく言語化できない。
あの時間の居心地の悪さと孤独感は
何とも形容しがたいものがあった。
私の悩みに理解を示そうとしてくれなかった
彼らを恨めしくすら思った。
そして 私は、算数障害の方々に
同じように思われていたのかもしれない。
「なんで この人は
理解してくれないのだろう」と。
そして世の中には、同様に
周囲の無理解に苦しんでいる人がいる。
どの人が何に苦しんでいるのか
その全てを理解することは
できないだろう。
それでも
「こういう世界の見え方がある」
ということを知るだけでも、
きっと また自分の世界観も
変わっていくのだろう。
自分の見えている世界は、
決して万人に共通するものではない。
その事実を多くの人が理解したならば、
世界は きっと優しくなっていくはずだ。
こんな人にオススメ!
・算数障害について学びたい人
・算数が苦手な人の気持ちを知りたい人
・算数ができることが
当たり前だと思っている人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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究極のところ、需要を満たすだけなら今さら自分が頑張らなくたって先行者たちが既にやっている。だからこそ、自分は自分として自分の思うがままに書いていく。そこに「これ いいね!」という反応がついたとき、新しい需要が生まれるんだ。その需要は自分だけのものだよ。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) April 30, 2025
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