[書評] たーたん
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家 として、
自らを定義しています。
「若いって素晴らしい」
「あの頃の自分に戻りたい」
これらは性別や世代を問わず、
(若さを満喫してる世代以外は)
皆が望むことなのかもしれない。
私も前者については、
まぁ 概ね共感できる。
ただ 後者については、
不思議とあまり思わない。
今の経験と記憶をそのままに
タイムリープできるのならば
それなりに上手く
立ち回れるとは思うけれど、
現実に通ってきた過去は
それほど美化するようなものでも
なかったから。
ところが まさか、若さそのものを
苦々しく思う日が来るとは
予想したこともなかった。
Kindle で書評集を出しました!!
※ Kindle Unlimited 対象です ※
※ Amazonアソシエイトに参加しています。
年頃の少女と中年の童貞と
人間 初めてのことには
不安や恐れを抱くことが多いのに、
なぜか男子という生き物は
性的な「初めて」には
興味深々であることが多い。
むしろ「初めて」を所望するあまり、
「初めて」の機会がないことを
必要以上に気に病むほどに。
その旺盛な好奇心の1割でも
勉学や趣味に回せたならば、
どれほど人生が豊かになることか。
この作品の主人公のひとりである
"たーたん" も、
そんな男子のひとりだった。
ただひとつ違っているのは、
ひょんなことから
少女の父となったこと。
「初めて」を体験することなく、である。
もちろん自然の営みの理から
外れた関係であるから、
遺伝子的には赤の他人。
でも 赤子の頃から共に暮らせば、
誰が見ても立派な親子。
時は流れて15年。
高校受験も間近に迫った少女と
未経験の父、そして
実の父親を巡る物語である。
無邪気さが嫌い
彼女の実父は殺人犯。
服役にあたり、とある事情で
面倒を見れない母親に代わって
赤子を託されたのが彼の旧友である
未婚の童貞 "たーたん" だった。
年頃にもなれば、なぜ自分には
母親がいないのかは
気にならない方が不自然というもの。
しかし 母のことを話そうとすれば、
自ずと実の親子ではないことも
話さなければならなくなる。
その上 実の父親が人を殺めて
服役中などと、
どうして話すことができるだろうか。
そんな度胸があったのならば、
とっくの昔に初体験は済ませている。
だから当然、話せずに頭を抱える。
ところが子供というものは
隠せば隠すほど知りたがる
性質を持っているようで、
父の気も知らないで
無邪気さ全開で訊いてくる。
父が答えあぐねているのをいいことに、
彼女の妄想は どんどん膨らんでいく。
母は きっと冴えない父に
愛想をつかして出ていったに違いない。
きっとどこかで生き別れた自分のことを
想い続けてくれているに違いない。
そして それを臆面もなく父の前で話し、
さらに父にプレッシャーをかける娘。
決して悪意などはなく、
あるのは ひたすらに純粋な期待。
だからこそ、その無邪気さに
イラついてしまう。
きっと私が男で、中年で、
冴えない時代が長かったからだろう。
(今は冴えてると信じてるが)
思春期って こんなんだったか
そして また、彼女の周りにも
大人の恋模様が見え隠れする。
大人だって恋もするさ。
子どもがいたって
人を愛することもある。
不実でないなら、
再婚したって構わないだろう。
…でも、それが実の親だったなら?
自分の父が女性に好かれてはいけない?
自分の母が男性と
懇ろになってはいけない?
男と女が出会って
やることをやったから
自分がこの世に生まれたというのに、
なぜ自分の親が新しい恋をするのは
許せないのだろう。
"男" であること、"女" であること、
それは汚らわしいこと。
中学生とはいえ 子どもとは、
なんと 浅はかで
視野が狭いのだろうか。
これが思春期特有の意識なのか。
彼女が、彼女の友人が、
私は髪の毛が逆立つくらい
嫌いになった。
これは 子ども向けの作品なのか?
大人が読むから苛つくのか?
でも、子どもの人生経験で
この作品の真意が理解できるのか?
彼女たちだけじゃない。
たーたん たち大人も含めて、
どいつもこいつも苦々しい。
だけど、冷静になって考えれば
人間なんて誰もが
こんなものなのだろう。
もちろん自分だって そうだ。
どんな鋭い言葉で、
整然とした理屈で
彼女たちを
言い負かしてやりたかったことか。
でも、みんな最初は子どもなんだ。
誰もが子どもを経て大人になっていく。
登場人物たちの
すれ違いによる もどかしさは、
西炯子 作品には いつもあること。
それが分かっていても なお、
やっぱり読んでいて もどかしい。
また読むかと言われたら分からない。
読んでも、また彼らの子どもっぽさに
苛立つかもしれない。
それでも、もしかしたら 二度目は
温かく見てあげられるかもしれない。
何度読んでも癖になる。
それが私にとっての
西先生の作品だから。
こんな人にオススメ!
・西炯子 先生のファン
・思春期の子どもを持つ人
・思春期の中高校生(特に女性)
こんな人には合わないかも…
・複雑な家庭環境の人
・もどかしい、じれったいのが苦手な人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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究極のところ、需要を満たすだけなら今さら自分が頑張らなくたって先行者たちが既にやっている。だからこそ、自分は自分として自分の思うがままに書いていく。そこに「これ いいね!」という反応がついたとき、新しい需要が生まれるんだ。その需要は自分だけのものだよ。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) April 30, 2025
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