[書評] 詰むや、詰まざるや - 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 -
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。
諸行無常が世の理と考える中で、
いたずらに
「あの頃は良かった」
「それに引き換え、今は…」
という懐古主義に浸るのは
あまり好かぬのだが、
そうは言っても 誰にでも
趣味趣向というのはあるわけで。
一時期 ドはまりしていたプロ野球も、
平成のプレーオフ制度が
導入してからというもの、
プレーオフ とりわけ
日本シリーズだけは
興醒めも甚だしい。
リーグ優勝チーム同士が争わずに
「日本一」を懸けた戦いなど、
真剣に考えれば考えるほど
乾いた笑いしか出てこない。
(当事者たちには申し訳ないが)
もっとも プロ野球の本質は
興行であるから、
興行的に効果的なのであれば
それが正解でいいはずだ。
ここまではあくまで、
一個人のぼやきである。
さて、「プロ野球」で
「ぼやき」といえば
往年のファンにとって
お馴染みなのが
故・野村克也 氏である。
今回は その野村 氏の
野球人生の中でも、
とりわけ濃密だった
2年間を描いた1冊である。
俯瞰的に楽しむ野球ファン
野村氏の著書から
野球の奥深さにハマった私ではあるが、
キッカケがそれだっただけに
とりわけ 捕手というものに
対する憧れは強い。
私はどちらかといえばプレーするより
観戦して楽しむファンだったし、
ひとつのプレーや試合以上に
シーズンとか球史全体とか
俯瞰的に見るのを好む。
(このあたりは、世界史好きと
相通じるものを感じる)
私が本格的に野球に興味を示したのは
ちょうど 21世紀に
入った頃だったから、
当時で球史に残る常勝軍団といえば
V9 時代のジャイアンツ、
そして 昭和末期~平成初期にかけての
西武ライオンズだった。
加えて 平成に入ってのセ・リーグだと、
ムラは大きいものの
野村監督率いるヤクルトスワローズの
優勝回数の多さが目立つ。
そして その西武ライオンズと
ヤクルトスワローズが 2年続けて
両リーグの覇者として
しのぎを削ったのが
1992・1993年の日本シリーズ。
今なお
「史上最高の日本シリーズ」
と呼ばれることも多く、
少なくとも この評価においてだけは
決して懐古主義者の妄言ではないと
私も思う。
理想のチーム
両者の対決は 1992年から始まる。
当時 弱小球団となっていた
スワローズを、野村氏が
3年がかりでリーグ優勝に導いた。
対する西武ライオンズは、
広岡 前監督時代から鍛えられた選手が
森 監督の下で存分に実力を発揮。
こと森 監督時代の
西武ライオンズといえば、
9年間で8度のリーグ優勝、
3連覇が2回の 計6度の日本一。
森 監督自身が現役時代に経験した
ジャイアンツの V9 という
偉業に続いて、
球史で文句なしに 2番目の
黄金時代を築いたチームだった。
私が今まで 三十何年 生きてきて
未だに最高の、そして
理想のチームだと思っているのが
この森 監督時代の
西武ライオンズだった。
敵将・野村 監督をして
「監督が腕組みしていても勝てる」
と言わしめたほど、
ひとりひとりが
プロフェッショナルとして
能力だけでなく
深い戦術理解までを備えている。
私も会社員としての仕事柄
チーム作りや
その運営の一端を担っているが、
ここまでのチームを率いていたら
監督としては さぞかし
やりがいがあるだろうと思う。
もっとも それだけの
チームを作ることや
「勝って当然」と言われる重圧の下に、
どれだけ苦労があったかは
凡人には とても想像し得ないが。
時代が動いた瞬間
そんな球界の絶対王者たる
西武ライオンズに対して、
成長の勢いに乗る
ヤクルトスワローズが挑んだ
1992年。
「西武、圧倒的有利」という
大方の予想を裏切っての大接戦。
結果は最後の最後で
ライオンズが王者の意地を見せた。
そして翌1993年、
両者 堂々リーグ連覇を果たして
迎えたリベンジマッチ。
前年に次ぐ熱戦・接戦の末、
ついにヤクルトスワローズが
悲願の日本一を達成した。
その後の 1990年代は
ライオンズの時代は陰りが見え、
ヤクルトスワローズの
存在感が増していく。
('90年代のスワローズは
4度のリーグ優勝、3度の日本一)
長い日本のプロ野球史において、
2年間というのは
一瞬のようなものかもしれない。
だが、この2年間は まさに
プロ野球の時代が動いた瞬間だった。
そんな熱闘の日本シリーズが
臨場感あふれる文章で綴られ、
そこに関わった者たちの想いが
鮮やかに振り返られる。
この本を読んで、改めて思う。
"日本一" という重み。
一時代を築くという大変さ。
強いチームとは、どういうものなのか。
懐古主義者と言われてもいい。
別にプレーオフが悪いとも思わない。
それでも やはり、
長いシーズンを制した
"覇者” 同士がぶつかる
日本シリーズが見たい。
「リーグ戦では
1位じゃなかったくせに…」
「倒したチームが
リーグ3位ではね…」
日本一という言葉が
ケチで安っぽいものに
なっていかないことを、
切に願うばかりである。
こんな人にオススメ!
・(特に昭和~平成にかけての)プロ野球ファン
・マネジメントに携わっている人
・チーム作りに悩んでいる人
こんな人には合わないかも…
・野球に全く興味がない人
・昔のプロ野球には興味がない人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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個人が愚かであれば、個人が上手くいかぬだけ。だが リーダーが愚かであれば、チーム全体が上手く機能しなくなる。たとえ どれだけ良質なメンバーを揃えようとも、だ。だからこそ リーダーたる者は、常に研鑽を怠るべきではないのだ。優秀な彼らを 無能な集団に変えてしまわないために。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) January 15, 2025
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