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[書評] アオアシ

昭和の終わりに生を受けたが、
子どもの頃の憧れは何だったろうか。

仮面ライダーやウルトラマンは
レンタルビデオを
見せてもらった記憶はあるし、
戦隊もののテレビも好きで
見ていた気がする。

だが それらに「憧れていたか」と
考えると、たぶん違う気がする。

初めての憧れは思い出せないが、
記憶をさかのぼる限り、
マンガの登場人物に自己投影をして
楽しんでいたのが 憧れの感情に
近かったのではなかろうか。

それは私にとって所謂
ヒーローごっこのようなものであり、
今なお趣味としている読書においても
そのケはなくなっていない。

そして ここ数年で一番自己投影を
楽しめた作品を挙げるならば、
間違いなく この
"アオアシ" になるだろう。


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プレーヤーよりマネージャー

会社員として働き、
同じ会社で10年以上もいると
自ずと立場も変わってくるもの。

最初は いち兵隊として
最前線で仕事をしていた自分も、
いつしか部下を持ち
小さいながらもチームを
預かるようになる。

私は父親が将棋や戦略ゲームを
愛好していた影響なのか、
"采配を振る" ということに対して
憧れを抱くようになっていた。

昨今では若い世代を中心に
(実際に私の身近でも)
管理職になりたくない人が
増えているようだが、
私自身は早く管理職になって
チームを預かる立場に
なりたいと思っていた。

責任と引き換えに権限を預かり、
自分の思想と戦略を
マネジメントに反映するということが
どれだけ魅力的なことだろうか。

つまり 仕事の渦中における
采配もさることながら、
チームビルディングや
人材育成を含めた
大局的視点に基づくマネジメント。
それが会社員としての私にとって、
最も やりたい仕事だった。

今はまだ参謀的な
立ち位置でしかないが、
それでも自分の意見を具申し
チームをより良い方向へ導くというのは
実際にやってみると
なかなかに奥深くて面白いものである。

ユースという育成の場

そんな意識を持ちながら
仕事に明け暮れる中で、
このアオアシの存在を知った。

私は昔から野球は好きだったものの
展開が速くて理解の追いつかない
サッカーには興味が乏しかったのだが、
あらすじを読むと 何やら
「Jユース」というプロチーム下部の
育成組織を舞台にした作品だという。
ものは試しとマンガ喫茶で読んでみた。

これがユースを舞台にした 単に選手を
主人公とした物語だったなら、
私は興味を示さなかっただろう。
正直、サッカー自体に
興味はなかったからだ。

だが 主人公こそ選手であるものの、
もうひとりの主人公とも言える人物が
ユースの監督として描かれていた。

序盤から明らかに
"育成" や "チーム作り" といった
テーマを強く感じた私は、
本来ならば あまり連載中の作品は
手を出さない性分だったのだが、
迷わず既刊全巻を
まとめ買いして読み耽った。

私は主人公を差し置いて
ユース監督の立場に自分を重ね、
選手たちを育て 起用し
チームで結果を残していく楽しさに
夢中となってしまったのだ。

考える葦が育っていく

主人公の名前は「青井あおい葦人あしと

地元の公立中学校レベルでは
抜けた存在であるものの
小中学生の頃からユース組織で
鍛えられてきた同世代の
ライバルやチームメイトたちとは、
技術的にも理解度的にも
大きく劣っていた。

そんな彼がユースという戦場で
勝ち抜くために選んだのが
「徹底的に考える」ということだった。

私は彼ほどの運動神経を
持ち合わせてはいないが、
そうした身体面や
特別な才能がないからこそ
「人間は考える葦である」の言葉を胸に
常に思考思索を習慣にしてきた。

彼には他にも
特殊技能的な武器はあるのだが、
仮に彼が その能力と
強いフィジカルを武器に
戦うようなスタイルであったなら、
きっと私は この作品のファンには
なっていない。

一見 劣っている立場であったとしても
強い意志の下で考えに考えて
プレーすることで、
ディスアドバンテージを
跳ね返すことができる。

そんなメッセージ性を感じさせる
葦人という主人公もまた、
この作品に大いに魅せられた理由の
ひとつである。

育てる側も 育つ側も

プロチームへ選手を送り込むために
育てる側の立場があり、
プロ選手を目指して
育っていく立場がある。

その両方の視点から描かれた
育成と成長のドラマが
このアオアシである。

もちろん 純粋に
サッカーマンガとしても、
多分な魅力に溢れている。

だが それ以上に人材育成や
チームビルディングという視点で
まさに仕事にあたっている壮年や、
自らも成長しつつ
これから後輩の育成を担っていく
青年諸氏にも
ぜひともオススメしたい作品である。

極論を言うなら
難解なビジネス書を読んで
唸りながら勉強するよりも、
アオアシを 何度も熟読する方が
自身も楽しみながら
成長していくことができるだろう。

こんな人にオススメ!
・サッカーやスポーツものが好きな人
・チームビルディングを学びたい人
・人を育てる立場にある人
・考えることを大事にしている人


お読みいただき、
ありがとうございました。


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