[書評] タッチ
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家 として、
自らを定義しています。
今年もプロ野球が
開幕して1カ月と少々。
スポーツニュースベースとはいえ、
また野球を見るようになってから
3年くらいか。
私自身は野球部ではなかったから
身体が疼くことはないけれども、
代わりに無性に
野球マンガを読みたくなることが
年に数回訪れる。
…というわけで何を読もうか
考えていたところに、
今回 白羽の矢が立ったのが
この作品である。
子どもの頃に実家のスカパーで
放送されていたアニメを
見たことがあったから、
断片的に大筋の話は知っている。
でも 実際に全編通して
見たことはないし、
いわんや原作は全く読んだことがない。
「何事も原典に触れることが大事」とは
高校時代の恩師からいただいた言葉だが、
それも相まって
一度読んでみようと思ったのだ。
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野球マンガではあるけれど
中学生くらいの頃から
野球の面白さを知り
野球マンガも いろいろと
読むようになったが、
ほとんどの作品に共通するのは
「熱血」と「必殺技」
前者は いわゆる
「スポ根」というほどではなくとも
(スポ根全盛期の作品は、
ドカベンでお馴染みの
水島新司作品くらいしか読んでないが)
だいたい ここぞの場面では
闘争心を燃やして
ライバルと勝負する描写が多い。
一方 後者は
"The マンガ" とでも言おうか
「魔球」だの「○○打法」だのという
映えるプレーである。
こちらは大なり小なり
多くの作品にあるもので、むしろ本当に
現実的な描写しかない作品は
驚くほどに少ない印象がある。
それを鑑みると「タッチ」は、
驚くほどに(個人的には)
特異な印象である。
達也にしても和也にしても
負けず嫌いではあるものの、
「熱血」という印象は感じない。
むしろ やる気を見せないというか
適当というか、少なくとも
暑苦しさを感じることはない。
(和也は真面目に取り組んでるが)
さらには必殺技的な描写は 一切なく、
至って現実的な
プレーのみが描かれている。
まぁ達也が直球一本で
甲子園まで行ってしまうのは、
現実的といっていいのか分からないが。
(実はスライダーとか投げるのかしら)
他の あだち充作品は分からないが、
少なくとも 私が今まで読んできた
野球マンガとは明らかに
一線を画すものであるといえる。
"省" の技術
これまた他の作品との比較になるが、
今回 私が読んだ
完全復刻版の巻数は 26。
電子書籍で読んだから
1冊を手にした厚みの実感はないが、
感覚的には一般的な密度である。
そう考えると、
中学3年から高校3年の夏までを
この26巻の中で収めているわけだ。
最近の野球マンガは
(と言えるほど多くを読んではいないが)
一試合における描写が細か過ぎるが故に、
ストーリー全体におけるテンポというのは
驚くほどに遅い印象がある。
たとえば私の好きなある作品などは、
全71巻で描かれるのは 高校入学前から
高校1年の夏の甲子園終了までである。
もちろん これは
かなり極端な方かもしれないが、
それにしても
高校(中学でもいいが)3年間を
書き切る作品というのは
私は あまり知らない。
(それこそ 水島新司先生の
ドカベン~大甲子園までの通貫は
非常に見事だったと思っている)
タッチが純粋な
野球マンガというわけでなく、
上杉兄弟と浅倉南の三角関係に
代表されるラブコメ要素が
あることを考慮しても、
(時間軸的な意味で)この密度は
如何に本筋と外れた枝葉を省くのが
上手いかということだと思う。
シンプルに完結する良さ
私はどんなマンガであっても、
最終的には完結して初めて
適切な評価ができると思っている。
もちろん全編を通しても
面白さの波はあるのは当然だが、
それ故に未完結の作品は 結局
「あの頃までは面白かったのにな」
という評価で終わる可能性が残される。
言わずもがな理由はどうあれ
打ち切りやフェードアウトと
なった作品は、
「○○のシーンは面白いが
中途半端で終わったマンガ」
という評価になる。
少なくとも私は、
中途半端で終わったマンガが
自分の中で高評価となることはない。
それ故に、好きだったのに
無念な結末を迎えた
もどかしい作品も多いのだが。
(それがあって 一時期は未完結の作品は
意識的に読まないようにしていたほど)
そういう価値観を確立してしまうと、
連載中の作品というのは 常に
「無事 完結するのだろうか」という
不安が付きまとうことになる。
これはそれまでの面白さとは
全く無関係な不安だ。
作者のやる気や作品の人気が絶えずとも、
人間 常に今日と同じような
明日が来る保証はないわけである。
こうして適度な話数で
しっかりと完結を迎える作品というのは、
省く技術と まとめる技術の両方があって
初めて成り立つと思う。
人がマンガに求めることは
様々だろうが、個人的には もう少し
「コンパクトにまとめる」という部分が
評価されるようになってほしい。
それでいうと今読んでいる
ONE PIECE や キングダムは、
無事に完結する日が来るのだろうか。
諸手を挙げて「名作だった」と
言える日が、早く来てほしいものである。
こんな人にオススメ!
・青春時代を振り返りたい人
・昭和の雰囲気を感じたい人
・有名(王道)作品に触れたい人
こんな人には合わないかも…
・密度の濃い野球マンガが好きな人
・淡白な話では物足りない人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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究極のところ、需要を満たすだけなら今さら自分が頑張らなくたって先行者たちが既にやっている。だからこそ、自分は自分として自分の思うがままに書いていく。そこに「これ いいね!」という反応がついたとき、新しい需要が生まれるんだ。その需要は自分だけのものだよ。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) April 30, 2025
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