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[書評] TIME OFF - 働き方に“生産性”と“創造性”を取り戻す戦略的休息術 -

もう15年以上前の話ではあるが、
20代の頃の私は
なかなかの "社畜" であった。

有休なんてものは
必要最低限しか取らなかったし、
休日出勤も多かったが
その代休すら賃金精算としていた。

それでいてプライベートな時間は
仕事(エンジニアをしている)や
資格取得のための勉強や
教養を高めるための読書に
充てていたのだから、
いくら要領の悪い自分でも
それなりに力はついたものである。

それでも仕事に
やりがいを感じていたし、
エンジニアとしての
スキルを磨くことに
充実感を覚えていた。

今にして思えば、あの頃は
「とにかく仕事で早く一人前になる」
ことだけを考えていたような気がする。

職業として賃金をもらう以上は
若かろうが何だろうが
プロフェッショナルで
あるべきだと思った。

当然 知らないことばかりであったが、
それ故に "働くこと" や
"勉強すること" が
自分のやるべきことであり、
"休むこと" や "遊ぶこと" は
無責任であることと ほぼ同義だった。

しかし平成から令和へと
時代が移り変わった今では、
私の考え方はすっかり変わった。

仕事を「人生の中心」から
「人生の一部」に戻し、
むしろプライベートな時間を
有意義に過ごすことの方が
重要だと感じている。

そんな価値観の変化を振り返りながら、
この本を読んでみた。


何のために知を用いるのか

平成から令和に元号が変わって早7年。

「働き方改革」とか
「ワークライフバランス」
といった言葉も一般的になり
ひと頃よりは
だいぶマシになったものの、
まだまだ日本では
「余暇を過ごす」ということが
軽視されているような気がする。

かつて古代ギリシャ世界において
知的な営みは "高尚な余暇" であり、
決して労働のためだけに
あるわけではなかったという。

私自身も思索と読書が趣味なのだが、
過去の私を含めて現代人は
仕事の効率や成果ばかりを
追及するあまり、
いつの間にかそれすら
タスクの一環としてしまっている気がする。

思索好きの私としては
本書に紹介されている
アリストテレスの話は
非常に面白いと共に、
随分と納得させられるものがある。

勤勉さと労働が悪とは言わぬが、
それが尊いと盲目的に信仰するのは
考えものであると日頃から感じていた。

必要な仕事を如何に効率よく終わらせて
残りの時間で自分の好きなことを
楽しんで過ごせるかを、
みんな もっと真剣に考えるべきであると。

それなのにせっかくの思考力や勤勉さが、
仕事のためにしか使われないというのは
なんと残念なことだろうか。

時間を売るということは

「自分の時間を他人に握らせる代わりに
 報酬を得る」
という点においては、
よくよく考えると
現代の労働者は
古代の奴隷と何ら変わりはない。

大きな違いは
奴隷は主人の意思で取引されるが、
現代の労働者は自分の意志で
自分の時間を取引することである。

だが 奴隷たちは
自由を夢見て働いていたのに対して、
現代人は むしろ自分の時間を
積極的に他人へ差し出そうとする。
(かつて私もそうだったように)

これが当たり前となった現代社会を
アリストテレスや当時の奴隷たちが
目の当たりにしたら、
きっと理解に困るに違いない。

なぜなら彼らにしてみれば、
現代人は自ら奴隷労働に
身を堕としているように
見えるのだから。

もちろん労働自体を
否定するつもりはない。

ただ 組織や与えられる仕事に
翻弄されている人にとっては、
「自分の時間の主導権は
 自分自身にある」
という感覚を取り戻すことが
必要だと思うのだ。

余暇こそが創造的な時間

哲学的な話題
(哲学者以外の言葉も含む)が
各所に散りばめられているところは、
とりわけ私にとっては楽しめた。

また(主に欧米社会ではあるが)
時間の価値観や捉え方の
変遷をたどる上でも
非常に面白い1冊である。

だが 本書の最大の魅力は
哲学的な洞察だけでなく、
実際に余暇を
「創造の準備時間」として活かす
実践的な視点についても
述べられている点であろう。

余暇を過ごすと言っても、
常に横になったり当てもなく
散歩したりするばかりではない。
(それ自体が悪いとは言わない)

余暇の時間があればこそ、
こうして note を書くような
創作活動にも
精が出せるというものなのだ。

私の夢(いや、目標と言うべきか)は
「日がな1日本を読んで暮らすこと」

その足がかりとして
こうして note で書評を書いたり
本の紹介をしたりして
楽しんでいるわけだが、
そんな私の目指す暮らしも
本書が推奨する生き方の
ひとつなのだろう。

よく無職への皮肉に
「働かずに食う飯は美味いか」
という言葉があるが、
間違いなく美味いに決まっている。

自分の時間を自由に使えて
飯が食べられるなら、
この上ない幸せである。

その生活が自らの力によって
(他人に依存せずに)
成り立っているのだとするならば、
なんら恥じることはない。

願わくは私もそんな美味い飯を
毎日食べたいものである。

こんな人にオススメ!
・毎日頑張り過ぎて疲れている人
・休むことに引け目を感じている人
・もっと自由に生きてみたいと思う人
・チームの仲間をもっと元気にしたいと思うリーダー層

こんな人には合わないかも…
・「24時間たたかえますか」を信条としている人

お読みいただき、
ありがとうございました。


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