202話 幼な妻 The Young Bride 【エジプト編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
ネフェルセトは、待女たちを下がらせると一人になった。

今でこそ王太后など、大層な言われようだが、初めて来た日のことを思い出している。
まだ10代だったネフェルセトは、幼い表情で宮殿を見上げた。
大げさなほど丁寧に接してくれる宮廷の女官の視線が冷たい。

この時、王にはすでに七人の妻がいた。
第八夫人として丁寧に迎えられたが、針の筵だった。
ネフェルセトは、正王妃であるネフェルタメト以外では、この中で
唯一、王家の血筋だった。
特に態度の悪い扱いをしてきたのは、第七夫人 サトラメンである。

砂漠のオアシスの族長の娘で、自ら馬を走らせ、交易路の権益を握っていた。
戦になると騎馬隊を繰り出し、ラクダのキャラバンを組ませて
武器や食料を調達、運搬することができた。
宮廷に来る軍の将軍は、このサトラメンに頭が上がらなかった。
血筋は良いものの、このような軍事的背景も経済的背景もないネフェルセトは、宮廷には居場所がなかったのである。

そんなとき、優しく声をかけてくれた王妃が一人だけいた。
イセトである。
イセトは、第六夫人でネフェルセトより少し年上である。
ネブセド国を後ろ盾にしているため、軍事的にも経済的にも余裕があった。

イセトは、自分の部屋にネフェルセトとその待女を一緒に招き入れ、果物を用意してくれていた。
「わらわは、そなたの味方じゃ。」
「困ったときは、いつでもいらっしゃい。」
ネフェルセトは、涙を浮かべてうなずいた。
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