Leicaで巡る、与那国島の放牧地帯 ── Apo Telyt 135
戦争は遠い国の出来事ではない
与那国の南牧場を車で走っていると、戦車の列が通過していった。
なんでも台湾有事に備えて、最西端この島には自衛隊が配置されており常に対応できる体勢になっているとのこと。
実際、灯台から目を凝らすと向こう側に台湾が見える。それくらい近い。
車の後方へと走っていく戦車をサイドミラー越しに見ながら、普段、自分が戦争についていかに「遠い国で起こっている出来事」だと片付けてしまっていたのかを実感した。
きっと、この島で暮らす人たちにとっては、僕よりも身近に感じているのではないだろうか。
車より馬が優先な島
そんなことを考えていると、目の前には馬がいるではないか。

与那国島馬だ。普通に道路を歩いている。
そもそも、この島の馬にとっては、「牧草地 = 活動エリア」ではない。

道路であろうが、海沿いの断崖絶壁であろうが、関係なく歩く。
自由に逞しく堂々と生きている。そう自由に。

与那国馬は、「南牧場」「東牧場」で見ることができるが、「牧場」とは名ばかりで、半野生状態で生息している。
というのも、飼育員がいて餌を与えるわけではないし、柵も見当たらない。
実際、これまで与那国島には2度訪れており、牧場には何度も訪れているが、飼育員も清掃員も見かけたことはない。
つまり、牧草地以外の道路や断崖絶壁の崖など広大な土地の中で自由に暮らしている。
飼われているというより、むしろ放たれているといった方が正確かもしれない、
島が牧場化している。

絶滅危惧種である与那国馬。その理由がなんだか悲しい
とはいえ、与那国馬の未来が決して明るいわけではない。
与那国馬は絶滅危惧種だからだ。
その理由の1つに、与那国馬の価値の消失が挙げられる。
機械化が進んでいなかった戦前までは、与那国馬は、農業や人の移動手段として重要な役割を果たしていたが、耕運機や車など機械化が進むにつれ、使われなくなった。
そして今では観光資源としての用途しか無くなってしまったのが現実だ。
人間の経済活動次第で動物の数が変動してしまうのは少し悲しくなる。
とはいえ、そんな事情は当の本人である与那国馬にとっては関係ないこと。
馬を見ていると、本人たちは「食べる餌にも困ることなく、何かに襲われる危険もなく、自由にのんびりと暮らしている」と言っているかのような自由感が伝わってくる。
つまり幸せそうであるということだ。
Apo Telyt 135mmに、いい意味でに期待を裏切られた
少し話はそれるが、この記事を書きながら撮影した写真を選定していると、採用している写真のほとんどが、Apo Telyt 135mmで撮影したものであることに気づいた。
購入した当初は、こんなにも活躍を期待していなかった。実用性よりロマンを求めて購入したからだ。
だが、結果として旅においては、はなくてはならないレンズとなった。
また、どこかでApo Telyt 135mm の魅力を語りたい。

そして、時折、馬が道を塞いでしまい、しばし動けなくなることがある。
馬が道を封鎖。そうなったら車を停めてしばし休憩。
焦っても意味がない。馬が自ら退いていくのをただまつ。

この島では馬が優先。

邪魔だからといって追いやらない。
日常の中に普通に馬がいる島。

