天使のラッパその音色 【ショートショート】
チャイムが鳴るまで、あと五分。俺の腹はすでに限界を超えていた。冷や汗、貧乏ゆすり。
それは祈りだった。
頼む、早く終われ——そう思った瞬間だった。
「先生のモノマネしまーす!」と後ろのアイツが立ち上がった。
最悪だ……。
教室が笑いに包まれる一秒後、空気が凍った。
「……ふざけるな」という地獄の使者のような先生の低い声によって。
終わった。完全に終わった。授業は延長戦に突入するしかない。
腹が、鳴る。いや違う、これはもう警報だ。
時計の針がやけに遅い、あと三分が永遠みたいに長い、意識をそらそうと黒板を見るが、白いチョークで書かれた文字が全部トイレに見えてくる。
『の』なんてお尻にも見えてきた……。
「お前らまだ終わらなくて大丈夫だよな?」先生の追撃。
やめてくれ。
そのとき、俺は悟った。このままでは人として終わる。
俺は静かに手を挙げた。「先生、すみません。人命に関わります」
俺のか細い声を掻き消すように学校にチャイムが鳴り響いた。奇跡か、偶然か。そんなことはどうでもいい。
俺は立ち上がり、走った。もう振り返れない。
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