clairvoyance the moon


#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

わたしの心身に宿った愛は泪で形成されている。
月光の陰が装った切なさと儚気に姿を現す弓張り月に似ている。

満ちては神秘に欠けを廻り、受容的に
懐抱されゆく情景。
月にまやかされるというけれど
むしろ透視(みすかし)の表現法が
正義であると感ずる。

愛は容易に口にする言葉ではない。
極めて神聖成る[言霊]なのだ。

11000日も前にわたしは愛と共に背中の羽根を削ぐわれてしまった。
ある男の憎魔という名の口車に轢かれて
喪った……。

この全貌は月だけが憶えている。
傷みの嘆きはやがておぼろげな痕跡を残し愚者と成って行った。

永いときを経てフラグメントと化した
羽根の再生を強く願う愚者は弓張り月と望月が放つ燭に縋り、11000日を更に遡り茫洋たるいにしえの世界で生きていた
己に逢いに向かった。


伝えたい言霊達は七つ集めて神様を呼び起こすDRAGON BALLの様に遥か彼方へ
散りばめられた。

何としてでも。
知らねば成らない理由と貴重で正当な想いを打ち明けたい一心で…
恩人でも在り、わたしの心身に真実の愛を授けてくれた唯一無二のその人と再逢する為願いは華開いた。

幾度も幾度も…躊躇いのなかの疑問は
絶え間も無く上弦の月に託して…。


湯源郷を思わせるもうひとつの世界で
出逢ったその人は優柔不断で誂えた羽根を背中に持った天女に潜られては遊び疲れた仔猫みたいに木洩れ陽の下で眠っていた。
ときには強い信義心でやるせなさをストレート直球でぶつけてくる大胆不敵な人だ。そうかと思えば、あらゆる出来事に
感極めてしまう泣き虫で、意に修まらない自由奔放な蝶々を一心不乱に追い掛けている純朴な少年の様な人。


淡く、刹那的な黎明前の追憶だ……。


逢う都度に愛おしさは躊躇いに、
エンゲージメントには抗いを憶えていった……。
薬指にはエゴを型取ったしるしが刻まれて
笑顔のままでその人は曇り空の下、白昼夢となり去った。

貴い愛を持ったその人を蹴ろうとしていたのはわたしの意思なのだ…。
躊躇いにエゴをブレンドした苦すぎて口には運べない珈琲をその人に差し出した様な感情で……。

何故にわたしでなければいけないのか、
我儘なわたしのことなどにかまけていないで他の素敵なひとに目を向けて欲しい……と嫌気に似た魔が差してしまったのかも知れない。
都合の利いた愚かな感情である。
最後に残して行ったその人の言霊も途方に暮れゆくマゼンタ色の夕日のなかへ融けて行く……。

行き場を失ったリグレットは
ときが流れて静寂な月の元へ、悲幻影となった潜在意識は海の向こうへ終う決意をしていた。けれども…心は反比例と化学反応を引きずり出そうとしていた。

悲しみの囚われは……
わたしだけが握る鍵の付いた日記。
そのなかで心憂いの泪に含まれ大きくなったリグレットが【彼は真実の言霊を求め続けている筈だ】と頻りに訴え掛けている………泪を伝い、いま在る心想に従えば紡いでゆけると。

そうしてわたしの願いは昇華へと
シェイプシフトを遂げた。
神のみぞ知り得る軌跡。
唯一無二の存在と信念と感謝、そして
泪で繋がれた愛への挑戦状(神怪的経験)として記す……。











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