ゲーテはすべてを言った 鈴木結生:著
登場人物たちは皆、落ち着き払っている。何があっても取り乱さない。主役は"一度書かれて標本にされた言葉"だからなのだろう。どこまでも言葉を追い掛けてゆき、それが見つかったからといって何がどうなるわけでもなく、平凡な一家の生活は続いてゆく。言葉の先にある空白に落下したような、特別な読後感を味わった。
まさに、小川洋子はすべてを言ったではないが、この選評に全てが言い尽くされてしまっている。読書日記としては忸怩たる思いだが、敢えて全文を引用させてもらった。付け加えるなら、その空白の世界は決して不快ではなく、居心地は悪くはない。
