オリジナル曲で終わらせないXGの音楽づくり〜「曲を育てる」という発想〜
楽曲は、リリースされたら完成。
多くのアーティストにとって、それがひとつの区切りではないだろうか。
もちろん、ライブでアレンジが加えられたり、REMIXが制作されたりすることは珍しくない。
しかし、それらはあくまで「特別なバージョン」であり、中心にあるのはオリジナル曲であることが多い。
ところが、XGの活動を振り返ってみると、少し違う景色が見えてくる。
一度世に送り出した楽曲を、さまざまな形へ発展させながら、その可能性を広げ続けている。
その姿を見ていると、私はXGの音楽づくりには、「曲を育てる」という発想があるように感じる。
他のアーティストとの出会いが、曲を育てる
その象徴とも言えるのが、REMIX作品だ。
「SHOOTING STAR (BARS REMIXX)」では、Rico Nastyが参加し、新たなラップによって楽曲はより力強い表情を手に入れた。
「LEFT RIGHT REMIXX」では、CiaraとJackson Wangという世界で活躍するアーティストが参加している。
さらに印象的だったのは、2023年のCoachellaだ。
Jackson WangのステージにCiaraがサプライズ出演し、二人は「LEFT RIGHT REMIXX」を披露した。スクリーンにはXGの「LEFT RIGHT」のMVが映し出され、XG本人は出演していないにもかかわらず、その楽曲は世界中の観客へ届けられた。
また、「WOKE UP REMIXX」では、日本と韓国の実力派ラッパーたちが集結し、一つの楽曲を軸にアジアのヒップホップシーンが交差する作品となった。
REMIXは単なる別バージョンではなく、他のアーティストとの化学反応によって、曲そのものの可能性を広げる役割を果たしているように思える。
ライブが、曲に新しい命を吹き込む
曲を育てているのは、他のアーティストだけではない。
XG自身もライブの中で、楽曲に新たな命を吹き込んでいる。
「SHOOTING STAR」のRock Ver.
「LEFT RIGHT」のY2K Ver.
「PUPPET SHOW」のCity Pop Ver.
「Is This Love」のPiano Ver.
どれも原曲の魅力を残しながら、新しい世界観をまとったアレンジだ。
特に印象的だったのは、「Is This Love」だ。
Coachellaや東京ドーム公演では、静かなPiano Ver.から通常バージョンへと自然につながる構成になっていた。
単なるアレンジではなく、一曲の中に物語を生み出し、ライブだからこそ味わえる表現へと昇華させていたように感じる。
曲と曲が出会い、新しい作品になる
近年のライブでは、さらに一歩進んだ試みも見られる。
2ndワールドツアー「THE CORE」では、「GRL GVNG」と「HOWLING」をMashupし、一つの作品として再構成している。
さらに「XDM」では、「HESONOO + X-GENE」をはじめ、「GRL GVNG」「WOKE UP」「TGIF」「PUPPET SHOW」「NEW DANCE」「SHOOTING STAR」「LEFT RIGHT」など、多くの楽曲が新たな形へと生まれ変わった。
一度完成した曲を、そのまま残しておくのではなく、新しい流れや空気の中で再構築する。
ライブそのものも育っていく
そして、この考え方は一曲だけにとどまらない。
2ndワールドツアー「THE CORE」を観ていて特に感じたのは、ライブ全体の完成度の高さだった。
曲と曲の間は驚くほど自然につながり、観客は流れが途切れたようには感じない。
ライブ全体が、一つの作品として設計されている。
曲順だけでなく、曲と曲のつなぎまで一つの演出として設計されていることで、観客の感情が途切れることなく次の楽曲へと引き込まれていく。
その流れの中で、メンバーは自然に給水や立ち位置の移動を行っている。それすら演出の一部に感じられるほど、ライブ全体が滑らかにつながっている。
だから、一曲一曲を楽しむというより、一本の映画や舞台を観終えたような感覚が残る。
私は、このライブはいつ映像作品として配信されても違和感がないほど完成度が高いと感じている。
それもまた、一曲一曲をさまざまな形で育ててきた積み重ねが、ライブ全体を一つの作品へと昇華させているのかもしれない。
もちろん、こうしたREMIXやアレンジには、ライブ演出を豊かにしたり、新たな音楽表現を生み出したりする役割もあるだろう。
しかし、それ以上に私が感じるのは、一つの楽曲を大切に育て続けようとする姿勢だ。
リリースは、ゴールではない。
他のアーティストと出会い、ライブで姿を変え、新たな楽曲と融合しながら、一つの作品として育っていく。
ここまで見てくると、XGは曲を「作る」のではなく、「育てている」と考えた方がしっくりくる。
XGにとってオリジナル曲とは、完成形ではなく、新たな表現の始まりなのかもしれない。
だから私は、XGの音楽を「曲を育てる音楽」だと思っている。
XGを見ながら考えたことの記録
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