ロンドンでXGが選んだ3曲
2025年のCoachella出演は、XGにとって一つの到達点だった。
世界最大級の音楽フェスの舞台に立ち、多くの観客の前で自分たちの存在を示した。
そして2026年、XGはロンドンのCapital's Summertime Ballに出演した。
CoachellaとCapital's Summertime Ballは性格の異なるイベントだ。Coachellaが世界中の音楽ファンが集まるフェスだとすれば、Capital's Summertime Ballは英国のメインストリームポップシーンを象徴するイベントの一つである。
毎年数万人規模の観客を集め、英国を代表するアーティストや世界的な人気アーティストが出演する。
そんな舞台にXGが立った。
日本ではワールドツアーやCoachellaへの出演が話題になることが多いが、英国最大級のポップイベントへの出演もまた、XGの現在地を示す出来事だったように思う。
少なくとも、もはや「海外進出を目指しているグループ」という段階ではない。
世界の音楽シーンの中で活動するアーティストの一組として、XGはそこにいた。
わずか3曲に込められたもの
当日の天候は決して恵まれていたとは言えなかった。
時折雨が降る中、それでも8万人に近い観客がウェンブリー・スタジアムに集まり、XGもその舞台に立った。
今回披露されたのは、
Hypnotize
Flowers(Sweet Female Attitudeのカバー)
Something Ain't Right
の3曲だった。
正直なところ、最初にセットリストを見た時は意外だった。
XGにはWOKE UPやGRL GVNGのような強烈なインパクトを持つ楽曲もある。
限られた時間の中で、それらを選ぶこともできたはずだ。
しかしXGが選んだのは別のアプローチだった。
Hypnotizeでは洗練されたハウスサウンドとボーカルを聴かせる。
Flowersでは歌唱力だけでなく、オリジナルのコレオグラフィを加え、長いランウェイを7人がシンクロしながら進む圧巻のパフォーマンスを見せた。
そしてSomething Ain't Rightでは、ボーカルとダンスの両方を全開にする。
振り返ってみると、この3曲は単に「人気曲を並べたセットリスト」ではなかった。
歌えること。
踊れること。
そして魅せること。
XGというグループの魅力を、わずか3曲で伝えようとした構成だったように思う。
あえてFlowersを選んだ理由
特に印象的だったのはFlowersだ。
この曲はSweet Female AttitudeによるUKガレージの名曲として知られている。
持ち時間はわずか3曲。
しかも多くの観客にとってXGは初見だった。
それなら自分たちの楽曲を1曲でも多く披露した方がいい。
そう考えることもできる。
だからこそ、あえて1曲をカバー曲に使ったことに驚いた。
しかし、今振り返ると、それはXGの自信の表れだったのかもしれない。
「私たちは歌で勝負できる」
そんなメッセージを感じた。
しかも単なるカバーでは終わらない。
オリジナルのコレオグラフィを加え、XGならではのパフォーマンスへと昇華していた。
そしてもう一つ感じたのは、英国の音楽文化へのリスペクトだ。
Something Ain't RightにもUKガレージの影響が感じられる。
その中で、Sweet Female AttitudeのFlowersを選んだことは偶然ではないだろう。
英国の観客に向けて、XGなりの敬意を示した選曲だったようにも思える。
それでも考えたこと
一方で、率直な感想を言えば、もう少し攻めた構成も見てみたかった。
XGの直前にはFatboy Slimが出演していた。
会場全体を巻き込む圧倒的な盛り上げ方はさすがだった。
その熱気を引き継ぐという意味では、今回のXGのセットリストは少し落ち着いていた印象もある。
もちろん選曲の意図は理解できる。
会場にはXG目当てではない観客も多く、決してホームの空気ではなかった。
実際、現地の観客へのインタビューを見る限りでも、他の出演者のファンが多かったように感じる。
そんな中で、まずはXGというグループを知ってもらうことを優先したのだろう。
それでも、フェス仕様のアレンジや意外性のある演出があれば、さらに大きなインパクトを残せたかもしれない。
ただ、それは裏を返せば、まだ伸びしろがあるということでもある。
本当の答えはこれから分かる
今回の会場は、決してXGのホームではなかった。
だから今回の出演を、
「何人の観客が盛り上がったか」
だけで評価するのは少し違う気がする。
むしろ重要なのは、この日をきっかけに何人がXGに興味を持ったのかだ。
何人が検索したのか。
何人がSpotifyで楽曲を再生したのか。
何人が9月2日のロンドン公演に興味を持ったのか。
その答えは、今日の時点ではまだ分からない。
しかし、バックステージでは他アーティストとの交流も見られた。
ステージの上だけでなく、その外側でも新たな接点は生まれている。
XGがこれまで歩んできた道は、いつもそうだった。
一つひとつの出会いを積み重ねながら、少しずつ世界を広げていく。
Capital's Summertime Ballでのパフォーマンスは、わずか3曲だった。
しかし、その本当の成果は数か月後、あるいはもっと先になって見えてくるのかもしれない。
今日のステージを見て興味を持った人が、どれだけXGの名前を覚えていてくれるのか。
どれだけ検索してくれるのか。
どれだけ楽曲を聴いてくれるのか。
その答えはまだ分からない。
だからこそ、これからも英国でのXGの歩みを見続けていきたいと思う。
XGを見ながら考えたことの記録
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