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第32話 総勘定元帳って何?勘定科目ごとに集める帳簿

青葉製作所の事務所では、前回使ったホワイトボードに、まだ決算までの流れが残っていた。

日々の仕訳

総勘定元帳へ転記

決算整理前試算表

決算整理仕訳

決算整理後試算表

損益計算書・貸借対照表

山田くんは、その中の「総勘定元帳」という文字を見つめていた。

「佐藤先輩、試算表はなんとなく分かってきたんですけど……その前にある総勘定元帳が、まだ少しぼんやりしています」

中村みおも横からのぞき込んだ。

「そうそう。名前が強そうですよね。総勘定元帳。なんかラスボス感あります」

そこへ、佐藤先輩が資料を持ってやってきた。

「今日は、その総勘定元帳を整理しようか」

みおはノートを開いた。

「お願いします。できればラスボスじゃなくて、町内会長くらいの感じでお願いします」

「たとえが独特やね」

佐藤先輩はホワイトボードに大きく書いた。

総勘定元帳 = 勘定科目ごとに金額を集める帳簿

山田くんはノートに書き写した。

「勘定科目ごとに金額を集める帳簿……」

そのとき、現場から高橋さんが入ってきた。

「お、今日は元帳か!」

みおがすぐに言った。

「高橋さん、また名前だけ知ってるパターンですか?」

「今回は、なんとなく分かるぞ。現場で言うたら、品番ごとに実績を集める表みたいなもんやろ!」

佐藤先輩はうなずいた。

「かなり近いです。仕訳は取引ごとの記録。総勘定元帳は、それを勘定科目ごとに集めた帳簿です」

山田くんは少し考えた。

「つまり、仕訳は一つひとつの出来事。総勘定元帳は、現金なら現金、売上なら売上というように、科目ごとにまとめるんですね」

「その通り」

佐藤先輩は、まず一つの仕訳を書いた。

借方 売掛金 50,000 / 貸方 売上 50,000

「これは、商品50,000円を掛けで売った仕訳です」

みおが言った。

「売掛金は資産だから借方。売上は収益だから貸方」

「いいね。では、この仕訳を総勘定元帳に移すとどうなるか」

佐藤先輩は、ホワイトボードに二つの箱を書いた。

売掛金
売上

「売掛金の元帳には、借方に50,000円を記録します。売上の元帳には、貸方に50,000円を記録します」

山田くんは確認した。

「仕訳で借方にあったものは、その科目の元帳でも借方へ。仕訳で貸方にあったものは、その科目の元帳でも貸方へ、ということですか?」

「そう。それを転記といいます」

みおはノートに書いた。

転記 = 仕訳の内容を、総勘定元帳へ写すこと

「転記って、ただ写すだけですか?」

「基本はそう。でも、どの勘定科目のどちら側に書くかを間違えないことが大事です」

高橋さんが腕を組んだ。

「現場で言うたら、加工実績を違う品番に入れたらあかんのと同じやな!」

「まさにそれです」

次に、佐藤先輩はもう一つ仕訳を書いた。

借方 仕入 30,000 / 貸方 買掛金 30,000

「商品30,000円を掛けで仕入れた場合です」

山田くんが説明した。

「仕入は費用なので借方。買掛金は負債なので貸方」

「では、総勘定元帳には?」

みおが少し考えながら答えた。

「仕入の元帳の借方に30,000円。買掛金の元帳の貸方に30,000円」

「正解」

佐藤先輩は、ホワイトボードに科目ごとの箱を並べた。

売掛金
売上
仕入
買掛金
給料
普通預金

「仕訳が増えてくると、いろいろな勘定科目が出てきます。それを科目ごとに集めていくのが総勘定元帳です」

みおは言った。

「じゃあ、総勘定元帳って、勘定科目ごとの部屋みたいな感じですね」

「いい表現やね」

佐藤先輩は、みおの言葉をそのままホワイトボードに書いた。

総勘定元帳 = 勘定科目ごとの部屋

「売掛金の部屋には、売掛金に関係する金額を集める。普通預金の部屋には、普通預金に関係する金額を集める。売上の部屋には、売上に関係する金額を集める」

山田くんは少しずつ整理できてきた。

「仕訳だけだと、取引ごとに並んでいる。総勘定元帳に転記すると、勘定科目ごとに残高が分かるんですね」

「その通り」

そのとき、社長が事務所に入ってきた。

「総勘定元帳の話か」

「はい。仕訳を勘定科目ごとに集める説明をしています」

社長はうなずいた。

「元帳を見れば、普通預金がどう増減したか、売掛金がどれだけ残っているか、買掛金がどれだけあるかが分かる。会社の数字を見るうえでは大事やな」

みおはノートに書いた。

元帳を見ると、科目ごとの動きと残高が分かる。

佐藤先輩は、簡単な例を出した。

「たとえば、普通預金に関する仕訳がいくつかあるとします」

借方 普通預金 100,000 / 貸方 借入金 100,000
借方 給料    20,000 / 貸方 普通預金 20,000
借方 支払利息   3,000 / 貸方 普通預金  3,000

「これを普通預金の元帳だけに集めると、こうなります」

普通預金借方貸方借入金100,000給料20,000支払利息3,000

「普通預金は、借方に100,000円、貸方に23,000円あります。差し引きすると、普通預金は77,000円増えていると分かります」

山田くんはうなずいた。

「仕訳がバラバラでも、元帳に集めると、その科目の動きが見えますね」

「そう。これが総勘定元帳の大事な役割です」

高橋さんが言った。

「つまり、仕訳は日報、元帳は品番別の実績表みたいなもんやな!」

佐藤先輩は笑った。

「高橋さん、今日はかなり分かりやすいです」

「よし!」

みおは少し疑問を口にした。

「でも、今はExcelや会計ソフトがあるなら、自分で転記しなくてもいいんじゃないですか?」

佐藤先輩はうなずいた。

「実務では、会計ソフトが自動で元帳を作ってくれることが多いです。ただ、簿記を学ぶうえでは、仕訳が元帳に転記され、試算表や決算書につながる流れを理解することが大事です」

社長も言った。

「システムがやってくれるからこそ、仕組みを知らないと、数字がおかしいときに気づけない」

山田くんは、深くうなずいた。

「たしかに、元帳の意味が分かっていれば、普通預金の残高がおかしいときや、売掛金が残りすぎているときに確認できますね」

「そう。総勘定元帳は、勘定科目ごとの動きを追うための帳簿です」

みおはノートの端にこう書いた。

仕訳は出来事ごと。
元帳は勘定科目ごと。

佐藤先輩はそれを見て、笑顔で言った。

「今日のまとめとして、かなりいいね」

最後に佐藤先輩は、前回の試算表とのつながりを書いた。

仕訳
↓ 転記
総勘定元帳
↓ 集計
試算表

「試算表は、総勘定元帳の金額を集計して作ります。だから、元帳が分かると、試算表の意味も分かりやすくなります」

山田くんはノートの最後に書いた。

総勘定元帳は、仕訳を勘定科目ごとに集める帳簿。
転記によって、取引ごとの記録が科目ごとの記録に変わる。
その元帳を集計すると、試算表につながる。

青葉製作所の帳簿は、日々の出来事を仕訳として記録し、総勘定元帳に集め、試算表へとつながっていった。

簿記の地図は、また少し細かく見えるようになってきた。


今日の簿記ポイント

総勘定元帳とは、仕訳で使った勘定科目ごとに金額を集める帳簿です。

仕訳は、取引ごとの記録です。
総勘定元帳は、勘定科目ごとの記録です。

仕訳
↓ 転記
総勘定元帳
↓ 集計
試算表

今日の大事な言葉

総勘定元帳

勘定科目ごとに金額を集める帳簿。

転記

仕訳の内容を、総勘定元帳へ写すこと。

残高

勘定科目ごとに、借方と貸方を差し引いた結果残っている金額。


仕訳と総勘定元帳の違い

項目内容仕訳取引ごとに記録する総勘定元帳勘定科目ごとに記録する

覚え方としては、

仕訳は出来事ごと
元帳は勘定科目ごと

です。


転記のイメージ

例1:商品50,000円を掛けで売った

借方 売掛金 50,000 / 貸方 売上 50,000

この仕訳は、次のように転記されます。

勘定科目借方貸方売掛金50,000売上50,000


例2:商品30,000円を掛けで仕入れた

借方 仕入 30,000 / 貸方 買掛金 30,000

この仕訳は、次のように転記されます。

勘定科目借方貸方仕入30,000買掛金30,000


普通預金の元帳例

次の仕訳があったとします。

借方 普通預金 100,000 / 貸方 借入金 100,000
借方 給料    20,000 / 貸方 普通預金 20,000
借方 支払利息   3,000 / 貸方 普通預金  3,000

普通預金だけを集めると、次のようになります。

普通預金借方貸方借入金100,000給料20,000支払利息3,000

普通預金は、
借方100,000円 − 貸方23,000円 = 77,000円増加
と分かります。


注意ポイント

総勘定元帳では、勘定科目ごとの動きが分かります。

たとえば、

普通預金がどう増減したか
売掛金がどれだけ残っているか
買掛金がどれだけ残っているか
売上がどれだけ発生したか

などを確認できます。

会計ソフトでは自動で作られることも多いですが、簿記3級では仕訳から元帳、試算表へつながる流れを理解することが大切です。


覚え方

仕訳は出来事ごと
元帳は勘定科目ごと
試算表は元帳を集計したもの

もっと短くすると、

仕訳を科目別に集めたものが総勘定元帳

ミニ問題

問題1

総勘定元帳は、取引ごとに記録する帳簿でしょうか?
それとも、勘定科目ごとに記録する帳簿でしょうか?

問題2

仕訳の内容を総勘定元帳へ写すことを何といいますか?

問題3

次の仕訳を転記すると、売上は借方・貸方のどちらに記録されますか?

借方 売掛金 40,000 / 貸方 売上 40,000

問題4

総勘定元帳を集計すると、次に何の表につながりますか?


答え

問題1

勘定科目ごとに記録する帳簿です。

問題2

転記です。

問題3

売上は貸方に記録されます。

問題4

試算表につながります。


次回予告

今回は、総勘定元帳を学びました。

次回は、実際に仕訳から総勘定元帳へ転記し、
その金額を試算表に集計する練習をしていきます。

第33話
「仕訳を元帳へ転記してみよう。試算表までの流れ」

山田くんたちは、手を動かしながら、仕訳・元帳・試算表のつながりを確認していきます。

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