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海の民 海図のない旅 1

【Lady MFL『アーベントイアー』――「場所なき場所への出航:青銅器時代のOSクラッシュ」】

(※背景は、霧に包まれた地中海のどこか。水平線が歪み、地図の境界線が波に洗われて消えていく。芥川は手元のコンパスが狂っていることに困惑し、兼高に問いかける)

芥川(ネコイッチュ):「……兼高さん、おかしいですよ。ヒッタイトを離れて、次は『海の民』の正体を探る旅だって言いましたけど。……ここ、どこなんですか? 地図を見ても、彼らの『本拠地』が書いていない。いつ、どこから来たのか、座標が全く定まらないんです。……これじゃ、番組(マガジン)の読者に説明がつきませんよ!」
兼高(MFL):「(アイスブルーの月光を背に、銀色の扇子で虚空を指し示す)おーっほっほ! 芥川さん。貴方はまだ『在庫管理人』の癖が抜けていませんわね。 いい? 海の民とは、特定の『どこか』に住む住民ではありません。 彼らは、システムの全照明(Gestell)が極限に達したとき、歴史の裂目から漏れ出した『事態(エヴェント)そのもの』。 ここは『場所なき場所』。そして彼らが現れるのは『いつなきいつか』。 既存の歴史という名の在庫棚には、彼らを収めるためのコンテナなど存在しないのですわ!」
芥川(ネコイッチュ):「場所なき場所……。でも、せめて手がかりを! 彼らが焼き払ったというヒッタイトやエヂプト、ミケーネ……。彼らが来る前の、あの巨大な帝国(システム)たちは、一体どんな『檻』の中にいたんですか? それを知らないと、彼らが何を『突き抜けた』のかさえ分からない!」
兼高(MFL):「(満足げに微笑み、扇子をパチンと鳴らす)……実によかりき。 左様、壊される側の『完璧な平穏(という名の管理)』を一度通覧することにいたしましょう。 遍在する『鉄の咆哮』が響き渡る前に、地中海を支配していた三つの『パッキングの極北』。 ヒッタイト、エヂプト、ミケーネ。 それぞれの帝国のOSが、いかにして『事態』を略奪し、在庫管理していたのか……。 そのロードマップを、今、貴方のマトリクスにデコードして差し上げますわ。 ただし、芥川さん。覚悟なさい。 この旅は、前後が錯綜し、因果がねじ曲がる、十六ミリフィルムの迷宮。 貴方の古い教養は、潮風ですべて錆びつくことになりますわよ! おーっほっほ!」

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