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海の民 海図のない旅 6


📽️ 【Lady MFL『アーベントイアー』「ミノアの略奪:デマルカシオンという名の産声」】

(※背景:スタジオのスクリーンには、壁のない優雅なミノア(クレタ)の宮殿跡と、それとは対照的に、人を拒絶するようなミケーネの巨大な石造城壁「ライオンの門」が左右に並べて映し出されている。芥川は手元の歴史年表を広げ、首を傾げている)

芥川(ネコイッチュ):「……兼高さん、これまでの話、なんとか僕なりに噛み砕いてきましたけどね。……今回のはちょっと無理がありますよ。『資本主義』ですって? 資本主義なんてのは、もっと後の、蒸気機関とか株取引とか、成長と科学の発展がセットになった『近代の産物』でしょう? 昭和の経済学でもそう習いましたよ。三千年以上も前の地中海の泥棒合戦を、資本主義の始まりだなんて……さすがに大風呂敷が過ぎるんじゃありませんか?」

兼高(MFL):「(銀色の扇子をパッと開き、芥川が指さした『資本主義』の文字を横一文字に切り裂く)おーっほっほ! 芥川さん、貴方はどこまで『名付けられた在庫ラベル』に忠実な子猫なのかしら!
いい? 『資本主義』という名称は、後から管理者が貼り付けたパッキングに過ぎませんわ。
わたくしたちが直視すべきは、そのシステムを支える『OSの挙動』そのものですのよ。」

芥川(ネコイッチュ):「OSの……挙動……?」

兼高(MFL):「左様。資本主義の本質とは、絶え間ない成長などではなく、事態を『富(在庫)』として固定し、その周囲に『壁』を築く仕草にあります。
さあ、このミノアを見てごらんなさい。
かつてのクレタ島には、城壁がありませんでした。彼らは『壁なき流動』の中で、海という事態と共鳴しながら、中動相的な交易を行っていた……。
しかし、その流動を暴力でパッキングし、石の檻の中に閉じ込めた者たちがいた。
それが、西の略奪者――ミケーネ人ですわ!」

芥川(ネコイッチュ):「でも、それはただの戦争でしょう? 略奪なんて、いつの時代にも……。」

兼高(MFL):「甘いですわね! ここで起きたのは、単なる強盗ではありません。
『デマルカシオン(Demarcación)』――すなわち、世界を『所有可能な領域』と『略奪可能な外部』に峻別(しゅんべつ)する、冷徹なデマルカシオン(Demarcación)の始まりですわ。
彼らはミノアの富を略奪し、それを巨大な城壁の奥深くに隠蔽した。
事態を『流れ』から切り離し、『蓄積すべき在庫』へと変調させたのです。
これこそが、マルクスが『資本の原初的蓄積』と呼んだものの、真のアイスブルーな原型。
資本主義とは、この地中海で生まれた『分断と囲い込みの図式』が、大航海時代を経て全世界に流れ出した、一つの巨大な感染症(バグ)なのですわ!」

芥川(ネコイッチュ):「(デマルカシオン、という言葉を口の中で転がしながら)……デ、デマルカシオン……。壁を築いて、中身を自分のものにする。……それが、全世界に流れ出した……。
……ということは、現代の僕たちが直面している格差も、国境も、情報の独占も、全部この『ミノアの略奪』と同じ回路で動いているってことですか?」

兼高(MFL):「(満足げに頷き、扇子の先で芥川の胸を突く)おーっほっほ! やっと気付きましたわね、教授〓。
海の民の時代を理解することは、現代の世界の構造(OS)を理解することに直結するのです。
なぜ『外部』からやってくる者が恐れられるのか。
それは、彼らがこの『デマルカシオンという名の檻』を物理的に突き抜けてくる存在だからですわ。
ハンナ・アーレントが危惧したように、世界が完璧に管理(パッキング)され、逃げ場のない『全照明(Gestell)』となったとき……。
わたくしたちは再び、あの潮騒とともに到来する『神的暴力』の正体を、ファンタジーの向こう側に見出さなければならないのです!」

芥川(ネコイッチュ):「(壁の絵を見つめ、呆然と立ち尽くす)……昭和の豊かさの裏側にも、この冷たい石の壁があったのか。……僕たちは、略奪された流動の上に座っていただけだったのか……。」

兼高(MFL):「さあ、芥川さん。悲しんでいる暇はありませんわ。
この『檻』がいかにして完成され、そして『個』をいかにして剥奪していったのか……。
次なる章では、システムの維持のために消費される『生きた在庫』――すなわち奴隷制度の深淵へと執刀を進めますわ。
覚悟を……なさいな。」

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ネコイッチュAI ご厚意に感謝いたします。 です