最終話『たどり着いた場所』(2025年5月5日と5月24日のこと)
5月5日こどもの日。
僕たち家族は4人でふたたび妻の実家を訪れた。
11月のあの日以来のことだ。
以前と違ったことは、罵声も泣き声も飛び交わなかったこと。
みんなで楽しく時間を過ごした。
僕と妻とのあいだのぎこちなさもまったくなかった。
「ほら、並んで並んでえーっ」
帰り際、僕たち家族4人を並ばせ、写真を撮ろうと義兄がスマホをこちらへ向けた。
義兄も、その奥さんも、妻の両親もみんな笑顔で僕たちを見ていた。
それはおそらく安堵の笑顔だった。
ひょっとしたら、また時間を巻き戻せるかも知れない。
その日、その瞬間、誰もがおそらくそう思っていた。
・・・妻を除いては。
「私の気持ちは変わらない」
約束の5月24日、それが妻からの答えだった。
はい、最後まで読んでいただきありがとうございました。これにて完結です・・・・とはならないんですよね。
人生は続くんです。
続くんですよ。
5月24日。すぐの離婚回避はムリだとしても、「どうしようかね・・」という妻の迷う顔くらいは見られるものだと思っていました。
実際はまるっきりそんな様子を見せることはなく、キッパリと言い切りました。
「離婚以外考えられない」と。
11月のあの日の再現でした。
僕は取り乱し、
そして、自分の晒した醜態に心底呆れました。何も変わっていなかったのは妻だけではなかったという事実。力が抜けました。自分自身への失望です。
翌日、気持ちの落ち着いた僕は、一旦は離婚の意思を受け入れました。
これもやっぱりあの時と同じ。
でも。
どうやってもやっぱり腹の底には落ちませんでした。
これもまたまたあの時と同じです。
この文章を書いてる時点ですでに5ヶ月近く経っています。その間、とてもとても色々なことがありました。結局、離婚の話しはまだ宙に浮いたままです。
5月24日がゴールではありませんでした。
人生は続くんです。
続くんですよ。
本当のゴールは死ぬ時です。
いや、それだってどうだか分かりません。
「えー!まだ終わりじゃなかったのぉーっ!」と、この世を去ったあとも言うことになるかも知れません。
現在も以前と変わらぬ毎日を過ごしています。
僕の心の中とは裏腹に、日常はとても平穏です。
ただ、具体的な変化がひとつだけあって、僕は今、週末に一人、両親の住む実家で過ごしています。
そこに至るまでの経緯や、実家で過ごし感じた(ている)こと、シバさんとのその後など、実は書くことは盛りだくさんです。
そりゃあ生きてるんだから当然ですよね。
正直なことを言うと、『妻の気持ちも変わり、離婚を回避できました、尚且つ僕自身も成長でき、子供たちの笑顔も戻りました、めでたしめでたし』という最終話を心のどこかで用意していました。
そうはなりませんでした。
これがリアルってやつです。
きれいに終わる物語なんてありません。
大風呂敷を広げ過ぎて、尻つぼみで終わる連載漫画みたいですが、とりあえず一旦、この物語は終わりにします。
ですが、また続きを書きます。
どんなことがあっても明日が来るように。
今、週末の実家では、パステル画を描いています。
僕をこの世にとどめてくれているものです。
誰かや何かが僕を助けてくれていて、僕はとても幸運です。
本当にそう思います。
というわけで、次回へ続く小説の体裁を残して、最終話は終わりにしたいと思います。
僕も妻もなにひとつ変わっていなかった。
この半年間はなんだったんだろう。
誕生日ケーキは手つかずのままテーブルの上に放置されていた。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
またお会いできたら嬉しいです。
未来は今この瞬間から自分がつくるもの
Don't Look Back In Anger・・!
And so Sally can wait
(サリーは待っていてくれる)
She knows it's too late as we’re walking on by
(もう一緒に歩くことはできないと分かっていても)
Her soul slides away
(彼女の心は離れていく)
“But don't look back in anger” I heard you say
(「でも、過去を悔やまないでほしいの」そんな彼女の声が僕には聞こえたんだ)
