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アナログ派の愉しみ/音楽◎ハイドン作曲『天地創造』【追記】

このたび〈音楽◎ハイドン作曲『天地創造』〉の記事にレスポンスをいただいたみなさまに感謝いたします。以下、追記です。


この楽曲で、わたしがひときわ感銘を受けるのは、1986年6月にドイツ・バイエルン州のオットーボレインにあるベネディクト修道院礼拝堂で、レナオード・バーンスタイン指揮のバイエルン放送交響楽団・合唱団とジュディス・ブレゲン(ガブリエル)、トマス・モーザー(ウリエル)、クルト・モル(ラファエル)、カート・オルマン(アダム)、ルチア・ポップ(エヴァ)が行った上演のライヴ映像です。まさにいま目の前で世界がつくりあげられていくかのような沸騰する演奏には、つい時間が経つのも忘れてしまいます。

 
のみならず、手元のDVDにはバーンスタイン自身によるレクチャー映像が添えられ、これも強烈な内容となっています。そのなかで、かれは人類が神の似姿としてつくられた以上はリンゴを食べて知識の探求に乗りだすのは必然だったと断言しながら、その結果、数千年後のわれわれの世界は知識と罪悪とさらには放射能の恐怖に見舞われているとして、このコンサートが行われるのがチェルノブイリ(チョルノービリ)の原発事故の数週間後であることに注意を喚起してこう述べます。

 
「あと何週間、何か月、または何年かのうちにふたたびチェルノブイリが起こるのかを、だれかは知っているのかもしれないが、われわれは知りません。このまま突き進んでいったら愛する地球を汚染し尽くしてしまうのかもしれないのです」

 
バーンスタインはこのときから4年後の1990年に72歳で世を去りましたから、2011年3月の東日本大震災にともなう福島第一原発のメルトダウン事故を知ることはありませんでしたが、しかし、はっきりとこうした未来を見通していたのでしょう。やがて人類は暗い闇の底に落ち込んでいってしまいかねない、この危機を回避するために、かれは楽園のリンゴの毒を中和する解毒剤の必要性を訴えます。そこにこそ、われわれが神とともに「光あれ!」と唱える意味があるのだ、と――。

 
ハイドンのオラトリオ『天地創造』はいまこそ、人類にとってアクチュアルな音楽のようなのです。
 
 

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