マイノリティのカミングアウト(開示)
はじめに
最近、とあるアーティスト(以下A氏)は公共の場で同性に対して性的暴行したということで、不同意性行容疑で逮捕されました。一方、とあるアーティストが(以下B氏)はイベントでセクシャリティを開示し、それをきっかけにフォトエッセイを発売しました。
ボクは一般人で(笑)セクシャリティに関してと2つの障害に関しても、広くカミングアウトしていて、様々な活動をさせてもらってます。
A氏やB氏の報道を見聞きして、ボク自身の今のスタンスやこれまでの生い立ちを振り返ったとき、何かが違い、何かが一緒で、何かに違和感を感じました。
それがなんなのか…今、ボクの中にあるモヤモヤをクリアにしたくて(笑)言語化していこうと思います。
この記事は全く持って自慰行為と同じなので(笑)サラッと読み流していただければ、と思います。
1.ボクのマイノリティ要素をカミングアウトするということ
何度もお伝えしますが、ボクはゲイで身体障害者(HIV感染症)で精神障害者(双極症Ⅱ型)です。←もうクドいって(笑)
自己紹介をするとき必ず「ボクは3つのマイノリティ要素があります」とお伝えします。どうしてそのような表現の仕方をするのか。
一つはゲイ(セクシャルマイノリティ)であり、病気でも障害でもないけれど、マジョリティではないですよね。
もちろん、あとの2つは障害です。障害者です。
障害者ということは、マジョリティではないですよね。
だから「マジョリティではないボクの一部として」という意味で、「3つのマイノリティ要素」とお伝えするのです。
以前、『発達障害のあるLGBTsの自助会ウェルカム』の代表、沢村永太郎くんにPodcastのインタビューをした時に永太郎くんは『発達障害+セクシャルマイノリティ』という2つの要素を持ち合わせているので『ダブマイ(ダブルマイノリティの略)』と表現していました。
ということはボクは『トリマイ(トリプルマイノリティの略)』ですね(笑)
だからボクは、3つのマイノリティをカミングアウトする機会があった、と言うことです。
それぞれをカミングアウトする際に、「カミングアウトしやすいマイノリティ要素」と「カミングアウトしづらいマイノリティ要素」があったことは事実です。
じゃあ、何がどの様に影響して「カミングアウトのしやすさ、しづらさ」に影響するのでしょうか?
これは、書き出したらきりがないくらい様々な要因があります。年齢(出生した時期)・生まれた場所・育った場所・両親・友人関係・家族関係・宗教・思春期の過ごし方・出会った人々などなど…
しかし、最終的にはボクは以下の2つに集約されるのかな~と思いました。

2.外的偏見
パッと思いつくのはこれでしょう。
つまり、そのマイノリティ要素に対して、自分以外の周囲の人々が、どのような偏見を持っているのか。
また、持っているだけでなく、それをどうやって言語や態度で表現しているか、と言う要因です。
「偏見」とは・「偏見」の意味
「偏見」とは、偏った見方・根拠のない差別的な考えのもと、特定の集団や特徴的な個人・人種に対し、根拠もなく悪い評価で判断することだ。「偏見」は、差別的な意味合いを持った言葉で、基本的に良い意味で使うことはない。
「偏見」を英語で表記すると、先入観という意味の「prejudice bias」である。また、固定観念という意味がある「stereotype」を使うケースも見られる。しかし、相手を見下すというニュアンスを持った「prejudice bias」の方が、より「偏見」の英語表記に適しているといえる。
(中略)
「偏見」の類語は、不当に取り扱いを区別すること・差をつけて分けることという意味がある「差別」、最初に知った知識を基に判断するという意味の「先入観」、「先入主」、「固定観念」などが挙げられる。
ボクの例で例えましょう。
例えば「ゲイに対する偏見」をキーワードにすると、ボクの周囲の人がゲイに対する評価を、根拠のない差別的な考えのもと悪い評価で判断し、それを言語や態度で表すと…そりゃ、ボクは「ゲイである」とカミングアウトすることを躊躇するでしょ?
それは、HIV感染症や双極症Ⅱ型も同じですよね?
そして実は、ボクのもつ3つのマイノリティ要素には共通した特徴があります。それは『パット見では分からない』『見てそれと分からない』『本人から自己申告(カミングアウト・開示)しないと周囲が知ることはない』ということです。
周囲の人は、ボクがカミングアウトしなければ、そのマイノリティ要素に対する評価(良いことも悪いことも)を、何の配慮もせず、言語化したり態度で示したりする可能性が高いですよね。
特に悪い評価という意味で「偏見に満ちた言葉や態度」をする人ばかりが周囲にいれば、カミングアウトを躊躇することは容易に想像できると思います。
つまり、自分自身のマイノリティ要素をカミングアウトしたら、その偏見が自分に向けられる可能性が高く、周囲との人間関係が破綻し、孤立することで、様々な物事が立ち行かなくなるからです。

3.内的偏見
外的偏見を持つ集団の中に長く属していると、それが当たり前になります。外的偏見の何が厄介かと言うと、自分以外の人たちの偏見(価値観や思想)がいつの間にか、自分自身の価値観や思想だと、刷り込まれてしまうことです。
内的偏見は、『アンコンシャス・バイアス(unconscious bias:無意識の偏見)』と言われています。簡単に言えば、『思い込み』『固定観念』なのですが…
アンコンシャス・バイアスは、「無意識の思い込み、偏見」と訳され、誰かと話すときや接するときに、これまでに経験したことや、見聞きしたことに照らし合わせて、「この人は○○だからこうだろう」「ふつう○○だからこうだろう」というように、あらゆるものを「自分なりに解釈する」という脳の機能によって引き起こされるものです。
アンコンシャスバイアスは日常にあふれていて、誰にでもあるものです。ただ、あることそのものが悪いわけではありません。問題なのは、気づかないうちに、「決めつけ」たり、「押しつけ」たりしてしまうことなのです。
基本的に、外的偏見があるからこそ、内的偏見が形成されていきます
人間の精神や心理について、どの様に発達し成長してくのかは、正直、明確な答えがないのが現状ですが、ただ一つお伝えしたいのは
「自分の価値観や信念は自分のオリジナルではあるけれど、それは自分と関係性のある人たちや様々な媒体から得られた情報を元に取捨選択して出来上がったもの」
だということです。
厄介なのは、「内的偏見は自分自身で気付くことがとても困難である」ということです。
ボクはHIV感染症に対して内的偏見がありました。本当に全く気付きませんでした。しかしHIV陽性告知後から受けてきた心理カウンセリングの中で、約1年ほどかけて、それに気付くことができました。

4.A氏とB氏
ここからお伝えすることは、あくまでもボクの考えであり、そして報道されている内容を元にした、推論です。
A氏は広くカミングアウトしていませんでした。しかし、一部の同じマイノリティの間では『SNSの裏アカ』が存在していて、A氏がそのアカウントを通して性的な表現をしているようでした。
一方B氏にSNSの裏アカがあるかどうかは分かりません。しかし、前述のフォトエッセイには、今までお付き合いした同性のパートナーとの関係性について、言及しています。
A氏とB氏の明暗を分けた大きな理由は何か…ボクは、先程述べた『外的偏見の存在』と『内的偏見との折り合い』だと思っています。
A氏の周囲には、ご自身と同じようなマイノリティ要素をお持ちであったり、また、それを受け入れてくれたりする集団(個人)がなかった。または、それは『隠すべき要素だ』と言う価値観を植え付けられ、カミングアウトすることで幸せに生きているロールモデルがいなかった、のかもしれません。
一方B氏は、同じマイノリティ要素を持っていたり、また、それを受けて入れたりする集団(個人)があった。または『カミングアウトしても大丈夫』という、ご自身の信念、または周囲の人に対する信頼があったのかもしれません。

おわりに
最終的には「ありのままの自分を受容できるか(自己受容)」というテーマになりそうなのですが(笑)
しかし…しかしですよ!
先ほどお伝えした通り、自分自身の価値観というものは、周囲からの影響を強く受けます。受けたくない、と思っても受けてしまうものなのです。
だから…だから!!
周囲が偏見を持たず、根拠のない悪い評価をしない世の中が必要なのです。
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