画像・音声・動画を生成するAIについて #5
「AIって文字打って返事もらうやつでしょ」
少し前まで、私もそう思っていた。
テキストで質問して、テキストで返ってくる。それがAIとの付き合い方だと思い込んでいた。
ある日、試しにChatGPTのカメラアイコンを押して、
手元の資料を写真に撮って送ってみた。すると、その資料の内容を読み取って、要約まで返してきた。「あ、こいつ目があるじゃないか」と思った瞬間だった。
この記事では、テキスト以外のAI活用——
画像、音声、動画——について整理する。難しい理論ではなく、「こういうことができるのか」という驚きを持ち帰ってほしい。
マルチモーダルAIとは「目と耳を持ったAI」のこと
「マルチモーダル」とは「複数の情報形式を扱える」という意味だ。
従来のAIは、テキスト(文字)だけを扱うシングルモーダルが主流だった。質問を打ち込むと答えが返ってくる——それが基本形だった。
マルチモーダルAIは、テキストに加えて画像・音声・動画・センサーデータなど、複数の情報を同時に処理できる。
💡 補足:「モダリティ」とは情報の形式のこと。視覚・聴覚・触覚など、人間の五感に相当するデータの入り口が複数あるのがマルチモーダル。
たとえばこんな使い方ができる。
「この写真の料理のレシピを教えて」と画像と一緒に聞けば、
AIは写真を見て料理を特定し、レシピをテキストで返してくれる。
人間が目で見て、言葉で質問する感覚に近い。
2026年時点では、主要なAIサービス(ChatGPT・Claude・Geminiなど)はほとんどマルチモーダルに対応している。気づかずに使っていた機能がある人も多いはずだ。
画像生成AI 文章だけで絵を描く
マルチモーダルの中でも一番わかりやすいのが、画像生成AIだ。
テキストで指示を出すと、AIが画像を作ってくれる。
「夕暮れの渋谷を歩く会社員のイラスト、水彩画風」と入力すれば、数秒でそれらしい画像が出てくる。
絵が描けなくても、頭の中のイメージを「言葉」にできれば形にできる。
主なサービスとしては、DALL-E(ChatGPTに統合)、Midjourney、Stable Diffusion、Adobe Firefly、FLUXなどがある。
それぞれ画風や得意なジャンルが異なるため、用途によって選ぶ楽しさもある。2026年時点では「万能な一択」ではなく、用途別に使い分ける時代になってきている。
実際に使ってみた感覚
初めて告白するが、私はこの記事シリーズのバナー画像をAIで作っている。
やり方はここではお伝えしないが、画像生成の後手直しをパワポのように自分でするやり方を行っている。
それまで「イラストはデザイナーに頼むもの」だと思っていたが、
テキストで指示を出すだけで試作できる世界に変わった。
ただし、人の手や文字の描写はまだ苦手なことが多い。
「6本指の手」「読めない文字」が出てくることもある。
「アイデアの叩き台・方向性の確認」に使うのがちょうどいいと感じている。
こんな使い方から始めると試しやすい
SNS投稿のヘッダー画像を作る
プレゼン資料のイメージカットを用意する
「こういう雰囲気のデザインが欲しい」の見本を作って伝える
音声AI 話しかけるだけで動く
「文字を打つのが面倒」というときに試してほしいのが、
音声AI(ボイスモード)だ。
ChatGPTには音声で会話できるモードがあり、
話しかけると音声で返答してくれる。
テキスト入力なしで使えるため、移動中や作業中にハンズフリーで動かせる。英語のネイティブスピーカーを相手に会話練習するような使い方も人気だ。
GoogleにはNotebookLMというサービスがあり、
資料を読み込ませると「その資料について話し合う2人のポッドキャスト音声」を自動生成してくれる。
長い論文や報告書を音声で聴きながら理解したい、という使い方ができる。2026年4月時点ではGeminiアプリとの統合も進み、機能が大幅に拡張されている。
💡 補足:NotebookLMはGoogleが提供する無料のAIリサーチツール。資料に基づいたQ&A・音声まとめ・動画解説などが可能。Googleアカウントがあれば無料で使い始められる。
(※機能は変更の可能性があります。公式サイトを確認ください)
ハンズフリーで使えることで、AIとの付き合い方が「デスクの前だけ」から「生活の中に溶け込む」形に変わっていく感覚がある。
動画生成AI まだ発展途上だが急速に進化中
テキストや画像から動画を生成できるサービスも急速に広がっている。
2026年5月時点での主な選択肢は、Runway(Gen-4.5)、Kling、Google Veo 3.1などだ。「青い海を泳ぐクジラ、映画のような映像」と指示するだけで、短い動画クリップが生成できる。
なお、OpenAIが提供していた「Sora」は2026年4月26日にサービスを終了した。動画生成AIの世界は入れ替わりが速く、半年前の情報が古くなっていることも多い。
ただし、正直に言うとまだ「すごい」と「惜しい」が混在している段階だと感じている。人物の動きが不自然だったり、背景の物体が途中で変わったりすることがある。
商用クオリティで安定して使える場面はまだ限られている。
一方で、進化のスピードは異常に速い。1年前には不可能だったことが当たり前になっているのがAI動画の世界だ。
「今すぐ使いこなせるか」より「こういう世界が来ると知っておく」ことが、今の段階では重要だと思っている。
注意点 AIが作った「本物っぽいもの」との付き合い方
マルチモーダルAIの広がりには、便利さと同時に注意すべき問題もある。
ディープフェイクとフェイク画像の問題
実在する人物の顔や声をAIで生成・合成する「ディープフェイク」は、すでに社会問題になっている。有名人の偽動画、架空の証拠写真——
見た目だけでは本物か偽物か判別しにくいコンテンツが増えている。
「AIが作った」と知らずに拡散してしまうリスクもある。SNSで見た画像・動画を信じる前に、「これは本物か」と一拍置く習慣をつけることが重要になってきた。
生成コンテンツの著作権問題
AIで生成した画像・音声を商用利用するとき、学習データとして使われた元の著作物との関係が問題になることがある。これは法整備が追いついていない部分も多く、各サービスの利用規約を確認しながら使うことが基本だ。
AIの「誤認識」も起きる
これは私もよく遭遇するのだが、画像をAIに読み込ませるとき、細かい文字や複雑に重なった物体を誤って認識することがある。
画像内の情報をそのままAIの回答として信頼するのは危険で、重要な判断は別途確認することを習慣にしたい。
「テキストで質問するだけ」だと思っていたAIが、
気づけば画像を見て、声で話して、動画を作れるようになっていた。
この変化は技術の話というより、
AIという道具の「使える場面」が増えているという話だ。試す選択肢が増えたことで、自分の仕事や生活に合った使い方が見つけやすくなる。
まず一つだけ試してみてほしい。写真をChatGPTに送って「これ何?」と聞くだけでいい。そこから「こんな使い方があったのか」という発見が始まる。
次回は、AIへの頼み方——プロンプトの書き方——の話をする。同じ質問でも、伝え方ひとつで返ってくる答えがまるで変わる。知っておくと地味に効く話だ。
「AIで画像や音声を使ったことがある方、どんな使い方が一番よかったか教えてください」——新しい使い方のヒントを、ぜひコメントで。 面白かったと思ったらスキを押してもらえると励みになります。
