第7回:私が星野リゾートから学んだ「勝てる戦略」の教科書
こんにちは、ブラーボデザインの藤村です。
前回は、私たちのフラッグシップ店舗をモデルに、スポーツ施設経営のリアルな数字と現場の熱量についてお話ししました。今回は、私たちが経営目標の最上位に掲げている**「質の高い体験価値とサービスを提供する」**ための、具体的な取り組みについてお話したいと思います。
私が経営の指針としているものの一つに、星野リゾートの星野佳路代表が提唱されている**「ファイブウェイポジショニング」**があります。
1. 「教科書通り」を愚直にやり抜く勇気
星野佳路社長は、常々「経営に勝手なアレンジはいらない。教科書通りに忠実に取り組むことが最も成功への近道である」と説かれています。
多くの人は、つい「自分流」の工夫を入れたがります。しかし、偉大な先人たちが作り上げ、証明されてきた理論(教科書)には、時代を超えて通じる真理が詰まっています。私はその教えに従い、この「ファイブウェイポジショニング」という教科書を、自社の戦略のど真ん中に据えています。
2. 「5・4・3・3・3」の黄金比:一流の神話を捨てる
この戦略の核心は、**「5・4・3・3・3」**という数字の配分にあります。 ビジネスにおける競争軸は、以下の5つです。
価格(Price)
サービス(Service)
アクセス(Access):利便性
商品(Product)
顧客体験(Customer Experience):経験価値
教科書によれば、成功する戦略とは、この5軸のうち**「1つで5点(業界No.1)、1つで4点(差別化)、残りの3つは3点(業界標準)」**を目指すことです。
すべてにおいて5点を目指すことは、一見「一流」に見えるかもしれません。しかし、リソースを分散させ、すべての項目で満点を取ろうとすることは、経営資源の浪費に繋がり、結果としてどこにも特徴のない「選ばれない施設」になってしまいます。これが「一流の神話」と呼ばれる罠です。
3. 全員で定めた、私たちの「5」と「4」
この理論を自社にどう当てはめるべきか。 今から約3年半前の2022年10月。私は毎月行っている全社会議の場で、メンバー全員にこのファイブウェイポジショニングについて説明しました。
「私たちの強みはどこにあると思う?」 「お客様が私たちに本当に求めているものは何だろう?」
従業員のみんなからも、自社に置き換えたときの考えを忌憚なく聞きました。現場を支えるメンバー一人ひとりの声を聞き、議論を重ねた末に、私たちはブラーボデザインが進むべき方向性を明確に定めました。
5点(圧倒的No.1):顧客体験(経験価値)
4点(強い差別化):サービス
3点(業界標準):価格、アクセス、商品
私たちが最もこだわり、絶対に他社に譲らない「5点」は、**「顧客体験(経験価値)」**です。
貴重な余暇の時間を、何をして誰と過ごすか。同業だけではなく、買い物に行く、自宅でのんびり過ごす、映画を見に行く、体を動かしに行くなど、数ある選択肢の中から、ノアに行くという選択をして下さったお客様に対して、スタッフやここで出会った仲間と会話を楽しみ、汗を流し、お店に足を踏み入れ、帰路につくまでのすべてのプロセスで得られる「体験」の質で、業界No.1を獲りに行く。
そして、その最高峰の経験価値を支えるのが、4点に据えた**「サービス」**です。サービスが良いのはプロとしての大前提であり、その先にある「ここでしか得られない経験」こそが、私たちの真の提供価値なのだと、自社の目指す姿に決めました。
4. 捨てることで、本物が生まれる
「3点でいい」と決めることは、経営者にとっても、誠実に現場を支えるスタッフにとっても非常に勇気がいることです。しかし、あの会議で全員と方向性を共有できたからこそ、今の私たちには迷いがありません。
私たちが「環境整備点検」で場を清めるのも。 毎月、各店舗で生まれた「ほっこりするような小さな感動」や「人と人がつながる縁がうまれたエピソード」、「涙を流すようなスタッフの成長物語」を共有し合う会議を行っているのも。
すべてはこの、全員で決めた「経験価値」を一人でも多くの方に体験してもらうためです。戦略を絞り込み、全員のベクトルが揃っているからこそ、私たちはそこに圧倒的な熱量を注ぎ込めるのです。
最後に
「質の高い体験価値」とは、すべての項目が満点であることではありません。 あの日、みんなと誓った「経験価値」という一点において、お客様の事前期待を超え続けること。
教科書を信じ、アレンジせず、全員で愚直にやり抜く。 「ノアに来ることで、人生が少し豊かになった」 そう感じていただける唯一無二の経験をこれからも積み重ね、業界を代表する偉大な企業を目指して、挑戦を続けていきます。
どうぞよろしくお願いします。
株式会社ブラーボデザイン 藤村 武
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