汗が奪うもの。東洋医学から考える、夏の疲れの正体
はじめに
久しぶりのnote、また少しずつ書いていきます
こんにちは、Bricoの植田です。ずいぶんご無沙汰になってしまいました…。皆様、お変わりございませんか?
まず、昨年は意気揚々とnoteの定期更新を志していたにも関わらず、急に更新をストップしてしまい申し訳ございませんでした。(そんなに私の更新を見ている方も少ないのではと思いますが…)最終更新が『9ヶ月前』となっており、改めて時間が過ぎる速さを感じています。
実は、投稿が滞り始めた9ヶ月前の昨年11月頃から、眠らせていた医薬品登録販売者の現場実習を始めました。将来的にサロンで漢方を取り扱うのが目的です。本業の定休日を利用しての研修ですので、ほぼ休みがない状態になってしまいました。初めは心配していた体力も、おかげさまでしっかりつき、早半年経ったところで生活リズムも取れてきたので、また定期的にnoteを書こうと思った次第です。またコツコツ頑張って更新していきますので、ぜひ覗いてみてください!(近況については、また別の記事で書きますね)
今年の夏は、なぜこんなに疲れる?
「何もしていないのに疲れる」の正体
さて、noteを放棄した秋口から季節がだいぶ巡り、現在は盛夏。今年も暑い日々が続いております。みなさん、夏バテや夏風邪、患っていませんか?地球温暖化の影響でしょうか、最近は毎年『熱中症に気をつけて!』とよく耳にするようになりました。
わくわくのバカンスシーズンから、もはや命を脅かすほどの季節になってしまった夏。今回は、『猛暑なのに何もしていないのに疲れる』『身体が重だるい』そんな夏の不調について、東洋医学の視点からお話ししたいと思います。
汗は、体を守る大切な仕組み
人体に備わった天然のクーラー
汗、かいていますか?私は、しっかり汗かいています。昔っから汗っかきで、若い頃は悩んでいたくらいです。歳を重ねた今、汗を自然にかけて良かったと思っています。
嫌がられる存在の汗ですが、実はなくてはならないものです。汗は全身の毛穴に存在する、汗腺という腺から分泌されます。体温が上がると分泌され、体表で蒸発することで体温が下げられる、いわば人体に備わったクーラーのようなシステムです。素晴らしいシステムですよね。
長年、鍼灸師としてたくさんの方を診てきましたが、一定数の方で汗をかけない人がいらっしゃいます。汗をうまくかけない方は、体温調節が苦手なため、熱中症のリスクが高まることがあります。逆に、締まりなくだらだらと汗をかいてしまう人、汗をかくことを慣れていない人にもリスクがあります。汗をうまくコントロールできないということは、人体に備わったクーラーがうまく作動しないということ。今やクーラーなしの夏はもはや考えられないように、汗をうまくかけない人にとっては大変辛い季節でしょう。
汗をかくにも、エネルギーが必要
東洋医学でいう「気」の消耗とは
では、汗を東洋医学的に考えてみましょう。
汗をかくにはエネルギーが必要になります。東洋医学では、エネルギーのことを『気』と表現します。発汗するには、気を消耗するのです。
たくさん汗をかいた後の感覚を思い出してみてください。例えば、運動をしてたくさん汗をかいた後、サウナやお風呂でたくさん汗をかいた後など、なんとも言えない気だるさがありませんか?それが気を消耗したという証拠です。
気は、体を動かしたり、内臓を働かせたり、体温を保ったりするために常に使われています。発汗も、その「気」を使う働きの一つです。体力に余裕がある人(気が旺盛な人)なら、汗をかいた後に爽快感を感じることもあります。
一方で、もともとエネルギー不足の人は、汗をかくだけでぐったりしてしまうことがあります。
暑さに負けない体をつくるには
汗をかける体を育てる
アドバイスとしては、普段から汗を問題なくかける体力を作っておくことが大事。軽い運動はもちろん、お風呂で汗をかく練習をしておくのもよいでしょう。急に汗をかくと体調を崩すので、無理せずゆっくりが肝。筋トレも急にやると肉離れしますよね、それと同じです。季節が暑くなってからの運動は辛いので、本来なら涼しい時期から備えておくのがいいですね。
夏は「無駄な汗」を減らすことも養生
あともうひとつ大事なのは、無駄な汗をかかないようにすること。前述したように、汗をかくことはエネルギーを消耗します。夏バテをしないよう、健やかに夏を過ごすには、できる限り無駄な汗をかかないようにします。上手にエアコンを利用し、人体も省エネを心がけましょう。レジャーなどで汗をたくさんかくような場所に行く場合は、早めから適度な塩分を補給しながらの水分補給を心がけましょう。
なぜか、現代では汗は老廃物として考えることが多いようですが、東洋医学では『汗は血と同じ源から作られる(汗血同源)』と考えられています。特に更年期以降はストックが少なくなっていますので、無駄遣いするのは要注意です。汗は老廃物ではなく、あくまで温度調節の要であり、老廃物は便や尿として考えるのが東洋医学の考え方です。
甘味・酸味・苦味を上手に取り入れる
薬膳的に体の水分を補ってくれるものは、甘味と酸味と言われています。日本人なら真っ先に思い浮かぶのは、梅干しですね。はちみつ漬の梅干しは、まさに!な食材です。他にも、はちみつレモンやハイビスカスティー、経口補水液であるOS1も塩っぱいような甘いような、そんな味ですね。酸っぱい味は、毛穴を引き締めて無駄な体液の漏出を防ぎます。
体にこもった熱をクールダウンさせるには、苦味のある食材がおすすめです。代表的なものとして、にがうり、ピーマン、レバー、お茶など。夏野菜に苦味のあるものが多いのは、偶然でしょうか。季節のものを食べることが養生になるという先人の教えには、納得ですね。
鍼灸で自律神経と体温調節を整える
では、この体温調節や発汗について、鍼灸はどのように作用してくれるのでしょうか?
体温調節や発汗は、自律神経と脳の視床下部というところがコントロールしています。外気と室内温の差が一般的に5度以上あるような寒暖差のあるところを行ったり来たりすると、自律神経が疲弊してしまい、寒暖差による疲労や夏バテが生じます。鍼灸治療は、皮膚や筋肉へ刺激を与えることで、自律神経や視床下部に働きかけ、乱れたバランスを整える効果が認められています。
体表に施した鍼やお灸は、その刺激を神経が感受して、遡って脳幹や視床下部へアプローチされます。それにより、過剰になっている交感神経を鎮め、副交感神経が優位になることで自律神経のバランスを整えます。
また、冷房刺激などで収縮した末梢の血管を拡張させ、末端の冷えや冷えのぼせのような症状の改善をサポートします。
自律神経の不調は、内臓の調子にも影響を与えます。夏バテの代表的な症状の一つ、食欲不振や胃もたれはそれによるもの。胃腸につながるツボを刺激することで、胃の蠕動運動が促進され、消化液の分泌が促進されることは、エビデンスでも証明されています。
ただ、一点注意したいのは無理に食べなくてもよい、ということ。エネルギーは体温を上げるときに必要になるため、実は夏よりも冬の方が消費カロリーが多くなります。暑い夏は体温を上げる必要がないので、食欲が落ちるのは自然な現象なのです。無理して食べると、ただでさえ弱っている胃腸の働きを更に悪化させてしまう可能性があるので、食事の量は体の声を素直にきいてあげてくださいね。
夏の睡眠も、鍼灸がサポートします
また、体温調節がうまくいかず、夜間にも体の深部体温が下がらないと、良質な睡眠につながりません。鍼灸は前述のとおり、副交感神経優位を促しますので、施術後は穏やかな睡眠を促します。また、寝室は室温を思い切って下げることも、夏場の良質な睡眠のポイントのひとつです。
鍼灸治療は、鍼もお灸も血行を巡らせ体を温めるイメージが強いため、あまり夏場のイメージがなかったのではないでしょうか。実は、夏場に陥りやすい体温調節による自律神経疲労には、とても有効な治療方法のひとつなんです!定期的に鍼灸治療を受けているお客様からは、『夏バテ知らず!』『夏冷え知らず!』などとの嬉しいお声もいただいています。
おわりに
夏は「頑張る季節」ではなく、体を守る季節
夏は「暑さに耐える季節」ではなく、「上手に体力を守る季節」。
汗をかくことも、冷やすことも、眠ることも、すべては体のバランスを保つための大切な働きです。
「なんとなく疲れが抜けない」「夏になると毎年調子を崩す」
そんな方は、どうぞ無理をせず、体からのサインに耳を傾けてみてください。
東洋医学には、そのサインを読み解くヒントがたくさんあります。
夏の不調でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
夏を元気に過ごすための、お手伝いを。
東洋医学では、不調が大きくなる前に体を整えることを大切にします。
「なんとなく疲れる」
「いつもの夏と違う気がする」
そんな小さなサインも、どうぞ気軽にご相談ください。
夏の体調やお悩みに合わせて、その日のための施術をご提案いたします。
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