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成功ってなんなんだろうな──『イノベーションのジレンマ』読書感想文

書籍データ

古い本だが、組織のビジネスのつまづきポイントとしてはいまだに納得感のある内容だと感じた。

要旨

本書で取り上げられるイノベーションには大きく2つの種類がある。「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」だ。

しかし優れた経営者による経営の王道は、前者のシチュエーションに限定されたものが大半である。「破壊的イノベーション」においては、既存の成功事例に従い優秀な経営者が真っ当な判断をすればするほど、組織が危機に陥る可能性が高まると本書は述べている。

その「破壊的イノベーション」における企業のジレンマのポイントとして、主に下記が挙げられる。
※主にp.144-146「破壊的イノベーションへの対応」、p.293-297「まとめ」、p.301-303「破壊的技術の原則」の内容に準じていますが、噛み砕いて理解するよう努めているので、個人的な解釈も含まれます。

  1. 顧客(取引先)と投資家に資源を依存している
    →優良企業であればあるほど、顧客が求めないアイディアを切り捨てるシステムが整備されているため、成果の不透明なことや利益が相反することへの投資がしづらい

  2. 小規模な市場では、大企業の成長ニーズを解決できない
    →破壊的イノベーションが有効にはたらくのは小規模(新規)市場だが、大企業になればなるほど成長率維持のために一時的とはいえ小規模な市場への参入は難しくなる

  3. 存在しない市場は分析できない
    →破壊的イノベーションにおいて、確実な市場調査と綿密な計画はできないため、組織内部に対してのプロジェクトの価値説明の難易度は高くなり、正当な予算が得られない

  4. 組織の能力は無能力の決定的要因になる
    →破壊的技術によって生み出された新しい市場において、既存の市場で培われてきた固定化したプロセスを盲目的に辿ることはリスク以外の何者でもない

  5. 新しい技術であればあるほど市場ニーズを汲み取ることが難しい
    →新しい技術であればあるほど市場ニーズを汲み取ることが難しい。そのため、無用な技術(性能)のアップデートに終始したり、好機を逃したりする。市場は必ずしもハイスペックであることを採用の最優先事項として置くわけではなく、価格と利便性(利用する製品への適応)なども重視する。技術に対する市場の反応を注視し、開発に還元することが必須だが、イノベーションにおいては技術の改善のみに視点が置かれがち

それらの解決策として、著者は以下を挙げる。

(1)〜(3)の課題においては、破壊的技術の開発を、そのような技術を必要とする顧客がいる組織に任せることで、顧客理解の問題をクリアし、プロジェクトに資源が流れるようにする。独立組織は、小さな勝利にも前向きになれるよう小規模にする。

→スピンアウトや買収という手段を用いて、「破壊的技術によって生じるチャンスが動機づけのチャンスになるほど小さな組織」にその任を任せることで、マネジメント層が組織説得に時間とエネルギーを費やすことを回避し、プロジェクトに必要十分な資源、注意力、エネルギーを傾けることができる。

(4)〜(5)の課題においては、組織の考え方・在り方の柔軟性が重要。

→失敗を前提とし、失敗に備える。最初のアイディアにすべてを賭けず、破壊的技術を商品化するための初期の努力は、学習の機会と考える。市場や技術に対する理解を深め、データを収集しながら修正すればよい。

感想

どんなビジネスにおいても結局行き着くところは、状況(組織、ステークホルダー、市場、技術など)の正確な把握と柔軟な対応なのだというところに落ちる。
成功までの道のりも一通りではなくて、ジレンマにはまって途中で尚早に「失敗」だと断じられるケースだってもちろんあるのだろう。

柔軟に策を弄してなんとか成功と呼ばれるまでに漕ぎ着けたプロジェクトや技術も、変化の激しい現代においては一瞬のものでしかなく、その一瞬を得ることすら叶わないプロジェクトや技術も五万とある。

「イノベーションと呼ばれるもの」が成功するハードルはとても高いし、それが持続するのは稀有なことだ。

大半が失敗するとわかっていてなお、成功に向かって努力することはとても大切だと思う。
けど、成果が出ないとあきらかにわかっていることにも、本人の意思と関係なく努力を迫られることがある。そういう時、仮染の成功に向かって努力すればするほど目が曇ってしまうように思うのはなぜだろう。

そもそも、成功ってなんなんだろうな。

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