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プロフェッショナルな"ふつう"の青年たちの10年──『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』読書感想文

※書籍の内容に詳細に触れているわけではありませんが、ネタバレ等をしていないこともないので未読の方は閲覧ご注意ください。


書籍データ

BTSが好きなんです

まず、本の前段として私が彼らのファンになったきっかけをお伝えします笑
2021年の秋、ほんっとうにふとしたきっかけからBTSのことを知ってしまいまして。

ぶっちゃけ、どハマりしました。

芸能というものに超絶疎い私は、それまで彼らの代表曲ともいえる「Dynamite」すら知らず、当然アイドルと名の付くものにハマった経験もなし。

K-pop好きの友だちに手取り足取り追っかけの方法を教えてもらい、時間を見つけてはPV、ダンプラ、バラエティ、ファン制作映像……ありとあらゆる動画を摂取しはじめました。

見始めたきっかけは、パフォーマンスとビジュアルの良さだったと思います。
でも、なんだかそれだけでは説明できない何かがある。。。
彼らの何がこんなに自分を惹きつけるのかもわからないまま動画を見漁っていたある日、沼落ち確定する出来事がありました。

それが、2018年の国連スピーチの映像との出会いです。

このスピーチを行ったBTSのリーダーRMさんの存在は、衝撃的でした。
自分の経験を、他者のために、自分の言葉として発することのできる人。
そのスピーチが誠実さにあふれていることくらい、動画越しにだってわかります。

この人は、アイドルという言葉では括れない。
こんな言葉をくれる人、好きにならざるを得ないじゃないか。と。

30半ば過ぎの私が、マジでそう思いました。

アイドルの仮面

本書では、今までに表立っては語られてこなかった舞台の裏側(歌詞やドキュメンタリーなどに彼らの苦悩が垣間見えることはありましたが)が描かれています。
もちろん、それでも心の中すべてをさらけ出せるわけはないと思いますが、10年経って「過去」として精算できていることについて、彼らの誠実さをもって語ってくれているインタビューがベースとなっています。

その時々に彼らの置かれた過酷な環境。彼らの個々の思いと行動。グループとしての関係性の深化。周囲の反応の変化。

屈辱的な日々も、限界に挑戦し続けた日々も、何か自分の意思ではないものに突き動かされるように過ぎた日々も。
彼らは、時に自分を壊すほどの数多の感情を抱えながら、10年ひたすら沈黙を保っていた。

そのすべてを乗り越えられた要因の一つが、彼らが持つおそろしいまでのプロフェッショナルとしての矜持だったのではないかと思います。

「仮面」──この言葉を使うと、外面とか、嘘偽りとか、そういう風に捉えられると思います。特に、仮面をかぶる主体がアイドルと呼ばれる人間ならなおさら。

けれど、彼らは他ならぬファンのために仮面を被るのです。

休む日がほとんどないワーカホリックに陥ったことのある人ならよくわかっていただけると思いますが、多忙さは時に自分を見失わせます。
私も一時期家庭と仕事がうまくまわらず、常にキャパオーバーでパンク状態終わりの見えない日々を過ごしていましたから。
うまく笑えない。感情のコントロールができない。常にマイナス思考。鬱手前ですね。

常に衆目監視に晒され、業界で孤立し、SNSでは謂れのないバッシングを受ける。成功したら成功したで「孤独」や「前例なき未来」に立ち向かわなければいけない。
彼らの生活は私の比ではないほど過酷だったと思います。

なのにつらくても、彼らはカメラの前では、ファンの前では仮面を被るのです。

「一番良い姿を見せるために」そして「ファンに幸せになってもらうために」

ただ聞けばこれも戯言のように、嘘くさく聞こえるかもしれません。
でも、この10年間彼らはそれをずっと実践してきて、それで多くのファンが幸せになった。

その事実が、彼らの誠実さの証明であるということに他ならないと思うのです。

RMという人

前述の通り、私はリーダーのRMさんが大好きです。

彼の、とてもこの記事内では語り尽くせない魅力については、たくさんの動画がYouTubeに上がっているのでそちらをご覧ください笑

私が彼に尊敬というか畏敬に近い念を抱いているのは、
高い理想を抱きながら、それを現実へ落としこむことの重要性と難易度を認識し、そのバランスを取るための最大の努力をし、それを常に実践しているから。

1994年生まれの彼は現在28歳です。
非常に聡明で、理性のある人ですが、一方で感情の強い人のように感じます。だから、今に行き着くまでにどれだけの葛藤があったのかと思います。

以前に別記事のインタビューでも語っていましたが、彼が感銘を受けた言葉の一つが画家のソン・サンギさんの下記の言葉。

たぶんもっとも偉大な芸術家とは、自分のもっとも個人的な経験をもっとも普遍的な真理に還元させた人ではないだろうか。その人が芸術家なのではないだろうか

BTSはデビュー以来「アイドル」という記号に振り回され、その概念を取り払うことに苦心してきました。(結果、アイドルという概念を塗り替えたというか超越してしまっていて側から見ると超痛快ですが)
※彼らの楽曲「IDOL」にもその心境が綴られています。

彼らをアーティストと呼ぶことに、まだ異論を持つ人もいるかもしれない。けれど、彼らは10年積み重ねてきた歌とパフォーマンスで何を成したか、がもうその証明そのものだと思うんです。

世の中に、これだけ「個人的な経験を普遍的な真理に還元させた人」は今も昔も他にいるだろうか? と。

事実として、にわかに信じられないほどに多くの人の心を動かし行動を変化させた彼らを、芸術家といわなくてなんというんだろう。

だから、もし彼らをアーティストと呼ぶことをどこかの誰かが認めないのであれば、まだこの世には「彼らをぴたりと言い当てる言葉がない」というだけのことなんだと思います。

私にとってのBTS

大人になることは、現実に生きることに終始し、夢を忘れ、ただただ若い日々を恋焦がれることなのかと思って失望していた時期もありました。

でも、彼らとの出会いが確実に私の中の何かを変えてくれたと思います。

「良い大人」とは何だろうと迷っていたけれど、彼らが一つの答えを導いてくれた気がします。

成長するということは、過去の自分を切り捨てるのではなくて、過去には到底許せなかった自分や他人を愛せるようになるということなんだと。
そういう風に考えたら、これからの人生で成長し続けていく意味がより鮮明になるように感じられますし、
これからの人生がより美しく感じられ、生きる希望が持てるような気がしてくるのは私だけでしょうか。

……以上、こんな調子で10万字くらい語り続けられそうですが、今日はここまで。


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