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会計の基本的な流れを知っておこう!──『人事屋が書いた経理の本』読書感想文

書籍データ

経理の本質とは何か。
「経営の状態を正しく把握し、戦略を立てるための指標を見える化することである」と本書を読んで私は受け取った。

株主や金融機関などへの報告レポート制作のためではないんだな(笑)


本書のダイジェスト

この本のテーマは「会計の流れを全体的に掴もう!」ということ。
それを把握するための3つの帳票が順を追って紹介される。

  • [P/L]損益分岐とその活用法

  • [B/S]総合的に見る目を養う

  • [資金繰表]手元カネの有無は意外な盲点


そもそも会計とは

会計とは、フロー(ながれ)とストック(のこり)の関係をつかむことである。
前期繰越(STOCK)+FLOW IN-FLOW OUT=次期繰越(STOCK)

  • B/S=バランスシート=STOCK

  • P/L=プロフィット・アンド・ロス・ステイトメント=FLOW INとFLOW OUT


P/Lで見る損益分岐(Break Even Point)とその活用法

費用には売上に紐づいて動く変動費と、売上があろうがなかろうが発生する固定費がある。固定費は、回収しない限り赤字となる費用である。
だから、固定費を回収する戦略が必要。それが商品の「付加価値」と呼ばれる部分である。

損益分岐点とは、この付加価値[mPQ]と固定費[F]が等しくなること。

STRAC(ストラック)式の会計では、売上高[Sales]を平均単価と売上個数に分けることにより、売上高を上げようとする差異に平均単価の上下×売上個数の上下という戦略のバリエーションを持つことができるメリットがある。

損益分岐を指標として売上高を増やすためには大きく2つの戦略があることがわかる。

  • 付加価値[mPQ]アップ

  • 固定費[F]ダウン


ちなみにここからは完全に個人の所感だが、
P/Lを経営戦略を立てるための指標とするためには、「変動費」「固定費」の恣意性という部分が一番のキモになるのだろうなと思う。

業種(その中でもその企業が担うサービス)によって、「変動費」「固定費」に分類されるべき費目は異なる。
その恣意性のある数値の振り分けルール決めの前提としては「正しく組織のあり様が見える」ことが重要なのだろうが、それを意識して決めている組織がどれくらいあるんだろう。
(見栄えも大事だし、組織が大きくなれば大きくなるほど定着したルールを変更し徹底するのは難しいだろうし、ルールが本質や実情にそぐわなくなってもそのまま放置みたいなこともたくさんあるのかも)

企業のルールだからと特に何も意識せずに自動的に振り分けている経理の人たちもいるだろうし、「この費目は変動費(固定費)の方が……」みたいなことを常々考えているけど個人の力ではどうしようもない経理の人たちもたくさんいるのかもしれない。


B/Sを総合的に見る目を養う

B/S(バランスシート)の左右を一言でいうと、「右:目に見えるもの(金の運用)」「左:目に見えないもの(金の出どころ)」ということになるらしい。
なるほど。

この左右の見比べで、企業の状態の「良い」「悪い」を見極められるようになるらしい。

具体的にいうと、まず着目すべきは右の「自己資本比率」。
これが少ないということは、業務上必要な費用の大半を他人のカネでまかなわれているということ。他人のカネとは借入金なので、借入や返済に追われている自転車操業体質であることがわかる。

次に、「支払い能力」。これは左の「流動資産」と右の「流動負債」を見比べることで明らかになる。流動資産/流動負債で出る数値を流動比率と呼ぶ。これが高いほど短期的な企業の支払い能力が高いといえる(200%が理想とされるが、業種によって差異がある)。
また、流動資産の中でも、確実な売上の「当座資産」とまだ未確定の「棚卸資産」があり、当座資産/流動負債を当座比率と呼ぶ。この当座比率がプラスになること、すなわち当座資産で負債をペイできるか否かが信用につながる。

B/S表の下部で着目すべきは「固定資産」と「自己資本」である。
固定資産<自己資本であれば、必要な資金がすでに所有されている資本で賄えることになるので、安定した財務体質であることがわかる。

しかし、B/Sは単純ではない。A社・B社で財務体質の良し悪しを比較する際に(実際に他社とのB/S比較が意味がある行為なのかどうかはわからないが)、それぞれの指標が一長一短だったりすることはよくある。
そこで登場するのがP/Lとの掛け合わせだという。
B/Sの左を回転期間(各資産÷1か月平均売上高)で表すと、より短期でカネの回収ができる回転の早い「筋肉質」な企業の方に強みがある。これは特に借入金の金利負担が相対的に大きくなる低成長期に顕著になる。

上記のことから導き出される、根本的なB/Sの戦略は、「自己資本を増やす」ことと「資産の回転率を上げる」ことであると述べられる。その余力で、効果的な先行投資を行うことができれば、企業は盤石だ(すべて、あくまで「それが実現できれば」の世界だけど)。


手元カネの有無は意外な盲点

企業の状態を見るのはP/LとB/Sを併せ見れば完璧! と思いきや、そうでもないらしい。
なぜかというと、ビジネスにおいて現金でやりとりする取引が主であれば良いのだが、大抵は売上と入金のタイミングがずれる支払いの方が多いからだ。
利益が計上されるタイミングと、カネが入るタイミングがずれる──このことを念頭に置いておかないと黒字なのに手元のカネがなくて倒産ということが生じる(しかもかなりの確率で!)。

それを管理するのが「資金繰表」だ。

ここまできてようやく会計はP/LとB/S、そして資金繰表を併せ見る3つのフローで成り立っていることがわかる。

  1. P/LからB/Sへ利益が流入する

  2. B/Sはこの利益をエネルギー源として動く「固定資金」と「運転資金」の2サイクルエンジンである。この利益と固定資金の運用いかんによって支払い能力の増減(B/Sの骨格)が決まる。

  3. さらに企業は毎日の営業活動に必要な運転資金を維持せねばばらない。この運転資金を差し引くと、手元の現預金の増減が決まる。
    →この③が企業の今のパワーということ、だよね?

会計の目的は、この3つのフローを制御すること。つまり、戦略的にコントロールすることだと本書には書かれている。


一応本の内容を読み砕きながらまとめたつもりだが、ケーススタディを使ってワークしたわけでもないし、2-3日でざっと把握したものだから当然細かい部分は全然わかっていないし「経理というものにほんの少し近づいた。経理から見るビジネスの視点がほんの少し得られた」くらいの認識でいる。
経理・会計面を根拠とする経営判断のセオリーのような部分にも触れられたので、その因果関係がわかって、なるほどそういうことかと納得できる部分もあり、個人的には満足している。

(経理にもトレンドがあり、この本で使用されている考え方がすでに古いみたいなこともあるのかもしれないが)順を追って経理の基礎を説明してくれるので、とてもわかりやすかった。
このような知識がもう少し深く必要になった時に、また必要な部分を穿って読もうと思う。

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