2023年1〜3月読書記録
2023年1〜3月までに読んだ本一覧です(note記事にしたもの・するものは除く)。
記事化するものに比べて感想が短いのは、その本の内容がどうこうではなく、今の私が得たもの・感じたものの総量が異なるというだけです。
2023/1
命を見つめて | 日野原重明
書名は記憶にないのだけど、以前にこの方の著書を読んで「やさしい視線」「包容力」のようなものを感じたのを覚えていて、図書館で見つけて手に取った。臨床で長く医師として働いてきた著者の話は、絵空事感がなくて心に響く。それを容れる容れないは別問題だけど、経験に裏打ちされた主張に勝るものはないと思う。
笑いのセンス | 中村明
笑いのレトリックをロジカルに解説していて、”笑いを誘う文章の型”を再確認できる。そして、例として挙げられているお笑い話の内容が古典から現代漫才まで幅広く読み物としても面白い。著者が本当に笑いを好きなんだなと感じられるところも好き。
この人はなぜ自分の話ばかりするのか | ジョーエレン ディミトリアス 他2名
日常の中でおこなっている他者観察の話。誰もが意識的・無意識的にやっていることを、改めて文章化してある感じ。
第三のチンパンジー | ジャレド ダイアモンド
人間の特徴。自然破壊とジェノサイド。どうして人類は自ら破滅に向かうという習性をもつのか。根本的な人間性というものには今も昔もなくて、ホモサピエンス特有の本能をなるべく広範囲にどうコントロールするかが人類が生き残る唯一の術なのかも。 狩猟中心の生活であったと考えられる10万年前の人間が食べていたものは大半は小型の獣と植物性の食物。自身のリスクが伴う大型の獣を狩るという行為はほとんどなかったのではないかということ。 生死のかかったリスクを極力取らない生き方をするという感覚を持つ人間の姿がリアルで「ああそうだよね」ってすごくしっくりきた。
旧約聖書の誕生 | 加藤隆
教典と呼ばれるものは、その変遷を辿るとどのような意図で作られ、どのように利用されていたのかがわかる。宗教(教典)は目的をもって誕生させられ、時代に応じた目的によって変化させられ(大元が変化する場合もあるし解釈が変化する場合もある)、当然受け入れられ方も変化する。その「どのように受け入れられるように仕向けたのか」「どうして受け入れられたのか」部分が人間のもつ普遍的ななにかを探すのに役に立つと思うから私は宗教に興味があるのだけど、自分が何も知らないことにほんとに愕然とする。 知識つけて一周回ってまた解釈しなおすって行為を何度も繰り返さなきゃいけない。知識の蓄積と思考の深化は一生かけて地道に。
2023/2
子どもが自立できる教育 | 岡田尊司
人間には特性があり、その特性に応じた柔軟性のある教育、評価指標を与えられるべきと本書はいう。 教育が、いずれかの子の自尊心を傷つけたり自己肯定度を低めてはいけない。 人間として、社会の中で他者と調和し、自分の生活を営んでいける人間に育てることがゴール。 グループ学習の有効性。 相互に支え合い、社会性や共感生を生む教育。 自立心を育む。 努力や行動の結果を伝えつつ、自己責任。放任との垣根が悩ましい。 職業訓練重視。 あるタイプの子には有効な教育だけど、早い時期に可能性を狭めてしまうのではないかということと、これからの世の中でその技術だけできちんと食べていけるのかを見極めないと危険。
共同体の基礎理論 | 大塚久雄
全ての共同体は土地を基礎とする。血縁的結びつきをベースとしたアジア的形態。土地の私的利用に関しても「共同態的規制」が強くはたらく。次に古典古代的形態。私的利用の範囲が拡張し、新たな公地獲得のために侵略という行為が始まる。そしてゲルマン的形態。さらに役割の分化が起こる。人類の根本的な共同体の形が血縁にスタートしていることは頷けるけどそこにアジア的のネーミングを冠するのは前時代的(書かれた頃は特にアジアにこういう形態が多く残存していたからか)。共同体というものを一つに定義しようとする壮大な試みはすごい。でもやっぱり地理とか文化とか個別文脈を無視しすぎてる感。どこまでいっても社会は共同体の集合なのであるってところは、心に留めておくと面白いかもなと思った。しかし1900年代中期までの学術書はめちゃくちゃ文章が読みづらい。
朝鮮民族を読み解く | 古田博司
日本人と朝鮮人の”情”というものへの感覚の違い。ウチとソトとの付き合い方、信頼の証明の仕方、義理という観念。二国のどちらにも深く関わる著者の論は明快ですごく納得がいく。ただ、30-40年前まではこれだけ違う感覚を持っていたにも関わらず、2000年代にwebが急速に世界中に広まってその差異はどんどんなくなっているのも肌で感じる。そのように考えると、人間の本質は同じ。人種による違いなんてなくて、地理や環境により影響を受けるだけというジャレドダイアモンドの根本的な主張がより頷ける。
中世再考 | 網野善彦
農民中心社会でなく、機動性に富む”遊民”中心の中世史。正史に残らない見えにくい存在、境目の存在、けれど”確実にその時に存在して、確実にその時の社会に影響を与えていた人々”の存在にスポットライトを当てる試みが面白い。
何歳からでも美肌になれる! | 天野佳代子
やることやってないのに「老けた……」って愚痴言っててもほんと仕方ないよね。 何より自分を好きになりたいからっていうモチベーション最高だと思った。ポジティブでいこう!
千のナイフ、千の目 | 蜷川幸雄
プロフェショナルとして極めて行き着く先の思考って誰しも似たようなものになるのだろうか。 そこまでの葛藤も、高みにおいてなお持つ葛藤も。
[好きな言葉]
「客席に千人の青年がいるとしたら、彼らは千のナイフを持っているのだ。俺はナイフを持つ舞台をつくらなければならない、とぼくは考えていた。それが俺の役割なのだ」
「ぼくの心のどこかに、小劇場を捨てて商業演劇へ走ったと批判されたぼくが、なにひとつ変質しているのではないということを、黙って証明しなければならないという、自分では意識的ではないけれど、いつも沈潜している暗い核のような、あるいは泥沼の底に沈潜しているヘドロのようなものがあって、ぼくを必要以上に、倫理的にしているのかもしれなかった」
2023/3
魯迅「野草」全釈 | 魯迅
只事でない雰囲気の裸体の男女二人を取り囲んだ野次馬が、そのまま時間が経過しただ老いていく『復讐』(二人にとってはその時間は無駄ではないところもポイント)。奴隷の愚痴を聞いてそれを打破する行動を即座に取る馬鹿、その馬鹿を止めて主に偽りの報告をして身の保身をする奴隷、その奴隷の報告を聞いて「それは良かった」と微笑む利口者の三者の関係が描かれる『奴隷と馬鹿と利口者』。
わかりやすく皮肉の効いた話が好き。 はじめて魯迅を読んだけど、生真面目で、清廉で、厳しい現実に不満を抱きながら、若者や社会に期待を捨てきれず、裏切られ、でも皮肉な視点を持ちながらもやっぱり希望を捨てられない人間味のある人だなと思う。
仮面の告白 | 三島由紀夫
何度か読んでいるけど、粘着質だよなあ。今回は途中離脱。
生涯健康脳part2 | 瀧靖之
好奇心をもって、何事も楽しんで生きよう。以上。
EQこころの鍛え方 | 高山直
ポジティブシンキングのマインドセットの話で、ちょっと拍子抜け。
EQリーダーシップ | ダニエル ゴールマン 他1名
ペースセッター型の上司は「危険だ」と理解しつつ、この型がリーダーを担う場面が実際は多いのではないか。 すべては人ありき。人を見ずに、人を無視しての組織改善・変革などあり得ない。 p.266のユニセフのドライバーの仕事への意識変化・主体性の獲得は感動的。やはりビジョン(我々は何をなすのか、我々がサポートしたい人は誰か)を身をもって理解するのが重要。
